断腸亭料理日記2008
1月12日(土)
さて、成人の日の三連休、箱根、で、ある。
毎年、暮れの天皇誕生日の連休に、年賀状を書きに、
行っていたのだが、今年は、内儀(かみ)さんの多忙により、
年明けのこの連休になった。
従って、目的の年賀状書きは、ない。
ただの休み。
昨年。
泊まるところは、例年同様、塔ノ沢の老舗日本旅館、福住楼。
むろん、温泉。
今年も、年が明けたが、二泊。
やはり、ここには、一泊ではいけない。
二泊して、はじめてよさがわかるし、
我が家のように、寛げる、と、いうものである。
午後三時過ぎ、拙亭を出て、車で向かう。
細かく、冷たい雨が降っている。
浜町から、首都高、そのまま東名。
厚木で降りて、小田原厚木道路を一気に、下る。
今日は、早かった、東京を出て、1時間半で着いた。
部屋に入り、待ち切れず、ビール。
二日間のうち、今日は、混んでいるとかで、少し、狭い部屋。
ここ、福住楼のある、塔ノ沢というところは、
小田急線の終着駅もある、箱根湯本から、
早川に沿って、一つ川上に、国道一号線を登ったところにある。
湯本からも、歩いてこられる。
早川沿いの狭い谷に、なん軒かの古い旅館が
並んで建っている。
福住楼はその一つ目。
早川に面して建っているため、よい部屋は、
早川の見える側なのである。
今日の部屋は少し狭く、川側ではなく、中側。
窓からは、中庭の、冬で葉を落とした、百日紅の木が見える。
川は見えないが、部屋の意匠は、凝ったもの。
床の間やら、かかっている掛け軸やら、違い棚やら
欄間、襖、その色、柄、などなど。
この福住楼の建物は、国の登録有形文化財。
創業が明治23年。
以来、様々な文化人、芸能人が訪れてきたという。
その時代の凝った部屋の意匠が、そのままなのである。
今時、やはり、珍しかろう。
また、今、この意匠の部屋を作ろうと思っても、
おそらく、莫大な金額がかかろうし、また、
作れる棟梁も、ほとんどいないのではなかろうか。
また、こうした、日本建築の細かいことはわからないが、
ただ古いだけなく、センスのよさ、というようなものを
感じるのである。
まるで、時代劇のセットに迷い込んだよう。
まったくもって、落ち着けることおびただしく、
これ以上の贅沢な時間というものも他には、
なかなか思い浮かばない。
普段の忙しく、落ち着かない生活に比べ、
こんな部屋で、持ってきた股引をはいて、
丹前を着、綿入れ半纏を羽織り、寝転んでいると、
しみじみと、自分が日本人であったことを、思い出す。
さて、夕飯。
毎年来ているので、変化がわかる。
昨年、一昨年と、同じ板さんであったのだと思われるが、
今年は、変わっている。
そして、今日は、20人の宴会が二つ、ということで、
作る方もたいへんなのであろう。
まあ、長く来ていると、こんなこともあろう。
風呂
この風呂は、小田急のロマンスカーの広告に使われていたので
見たことがある方もあるかもしれない。
丸い銅の縁が美しい。
温泉は、毎年来ても、変わらない。
これはよい。
風呂に入って、また呑んで。
よい休み、で、ある。
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