断腸亭料理日記2008
2月23日(土)第一食
さて、土曜日。
会社幹部への報告がいよいよ、来週に迫り、
準備と緊張で、くたびれ気味。
なんとか、がんばらねば。
朝起きて、少し資料の手直しなど。
一度、会社にいかねばならなくなった。
ついでに、路麺、水道橋、三崎町のとんがらしへ、
久しぶりに行ってみようか。
車で出る。
元浅草から、会社のある市谷牛込と、三崎町は方向は同じ。
ちょいと、寄っていけるところである。
清洲橋通り、蔵前橋通り、末広町から、
新妻恋坂をのぼり、本郷通りと合流。
右にカーブし、本郷二丁目の交差点、ガソリンスタンドを鋭角に
順天堂方向に左折。外濠通りにぶつかり、右折。
広い三車線の道。下り坂で視界が開け、天気がよい。
坂をおりる。
白山通りとの水道橋交差点を超えて、本当は一つ目、後楽橋の交差点を
曲がった方がよかったのだが、二本目、小石川橋を曲がってしまった。
ここを曲がると、日本橋川の向こう側、飯田橋側へ出てしまう。
神田川に架かる小石川橋を渡り、すぐ左側に日本橋川に架かる三崎橋。
ここで、神田川と日本橋川はT字に合流している。
日本橋川は江戸の頃はここまではなかった。
今、上を走る首都高の、神田橋ランプのある、堀留橋あたりまで。
神田川に繋がったのは、明治になってからである。
ちなみに、日本橋川は、ここから流れ始め、九段下、内濠に沿って
一ツ橋、神田橋、鬼平で火盗改の役宅のあったところとされている、
鎌倉河岸を通り、右にカーブし、常盤橋、日本銀行の前を流れ、
一石橋で左にカーブ。
日本橋、昔の魚河岸。江戸橋、大きく右に曲り、
鎧橋、東京証券取引所前を流れ、茅場町、新川、箱崎を抜け、
隅田川に注いでいる。
結局、この上に首都高を通したのが、日本橋の上に、首都高が
目触りに存在する、という今のテイタラクになっている。
これを取り払うとすれば、たいへんなことではある。
しかし、毎度いう通り、なん年かかっても、
私達はこれを目指さねばならないと思う。
首都東京のある意味での中心であり、日本国の道路の起点、
歴史ある日本橋を、今の日陰に置いたままでいいはずがない。
この日本橋川の首都高をすべて取り払えば、
今述べた、流域、日本銀行の前やらも、すっきりして、よいであろう。
(取り払ったら、地下化、で、あろうか。)
川というのは、河岸に木を植え、できれば殺風景なコンクリートの
護岸も、なんとかし、水をきれいにしておけば、
本来、人々に安らぎを与えるものである。
水運としての使い道がなくなってしまった今、水都とも
呼ばれた江戸からの、こうした川や堀の再開発も東京の街造りの
一つのアイデアではなかろうか。
特に、先にみたように、日本橋川は大手町、日本橋、兜町など、
東京でも中心的なオフィス街や、商業地域を流れている。
神田川も同様であろうかと思うが、これらがきれいになれば、
川や堀を背にするのではなく、川に向かった生活や、仕事の空間を
この地域に戻すことができよう。
今行われている、東京中心部の再々開発でビルを建て替えるのも
よいのだが、東京の川や堀にも私達は目を向けるべきではなかろうか。
これも筆者の考える東京を東京らしい‘いい街’にする
一つの提案である。
(ついでに、宝町、新富町、築地、銀座、汐留へ抜ける首都高も
もとは、楓川、であり、築地川であった。これも地下にし、
堀として、復活させてはどうだろうか。)
またまた、脱線してしまった。
路麺のとんがらし、で、あった。
後楽橋を渡り、JRのガードを潜り、右側にホテルエドモントの
再開発地域を見て、日本橋川に沿って南下、
人のみが渡れる橋はあるが、三崎町へ戻る橋は、しばらくない。
新川橋という橋を渡り、三崎町。
一通(いっつう、一方通行)のため、ぐるっと回り、
とんがらし、の、ある、路地にたどり着く。
パーキングスペースに停め、とんがらしへ。
着いたのは11時半前。
自動ドアを入ると、昼にはまだ間があるが、
たいへんな人、で、ある。
ここは、すべての天ぷらを注文を受けてから揚げる。
従って、昼時などは、食べている人よりも、
待っている人の方が多い。
寒いため、店の中で、列が回ってしまっている。
平日は、この界隈、学生街でもあるので、若い人も多いのであるが、
今日は、なんであろうか。
見たところ、ちょっと、もの馴れない様子から
わざわざ、遠くから来たと思われるような、初老の夫婦、
というような人もいる。
人気なのであろう。
注文は、並んでいる間に、小母さんに聞かれる。
天ぷら盛り合わせ、麺はひもかわで、頼んでおく。
盛り合わせというのは、小海老といか。
小海老を四つにするか、二つにして、茄子にするか、
どちらかを選ぶ。
筆者は、茄子。
また、これを、丼にした、盛り合わせ天丼で、
そばのついたセットというのもある。
コストパフォーマンスとすれば、こちらの方がよいので、
これを頼む人も、少なくない。
天ぷらを揚げているのが小父さん。
ご夫婦であろう。
六十はお二人とも超えているかもしれない。
揚げたてに合わせて、二人、声を掛け合って、小母さんが
そばや、うどんを用意する。
手間を惜しまず、揚げたて以外は出さない、というのが
小父さんのポリシー。
完全に揚げたて、というのは、都内、路麺多しといえども
まず、ここだけであろう。
15分ほど、待ったであろうか、盛り合わせ、ひもかわ。
これで、500円。
天ぷらが、熱い。
ひもかわ、というのは、きしめんのことであるが、
東京では、昔から、ひもかわ、と呼んでいる。
最近、ひもかわのあるところでは、
頼むことが多い。
ゆで麺であるが、これもうまい。
しょうゆの濃いつゆと、溶けてきた
天ぷらの衣をすする。
うまい、うまい。
三崎町とんがらし、稀有な立ち喰いそばや、で、ある。
お二人、身体に気を付けられて、少しでも
長く続けていただければ、と、勝手ながら、
思う次第である。
とんがらし
TEL 03-3234-1610
〒101-0061 東京都千代田区三崎町3丁目2−10
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