断腸亭料理日記2008
2月17日(日)夜
さて、3時過ぎ、かんだやぶそば、で、
一杯呑んで、蛎そばを食って、外へ出る。
これから、浅草へ回る。
夕飯は、内儀(かみ)さんの希望で、肉。
ステーキを食おうか、ということになった。
そこで、雷門の松喜の肉
は、どうだろうか、と、いうことになった。
ここから、雷門まで歩く、というのは、
一杯呑んでしまってもいるので、大儀、で、ある。
銀座線。
神田駅まで。
須田町の交差点に出て、向こう側、万惣のビルの脇、
地下鉄の入口。
ここから、浅く、天井が低く、少し長い通路がある。
銀座線は、ご存じの通り、開業が昭和2年で、
東京、いや、日本、最古の地下鉄。
戦前に通っていたのは、これ一本。
(少し前に、NHKの「その時歴史が・・」で、やっていた
が、なかなかな、ドラマがあったようである。)
この通路は、なぜか、両側でなく、片側に、床屋などの
店舗があったりし、ちょっと、薄暗い感じも、
そこはかとなく、歴史を感じさせる。
銀座線に乗って、末広町、上野広小路、
上野、稲荷町、田原町、浅草。
後方の改札から出て、雷門前の交差点を渡り、
三井住友銀行の前を通り、松喜。
店の前には、いつもの通り、列ができている。
並びながら、どれを買おうか、考える。
いわゆる、黒毛和牛の霜降りのステーキ肉。
下から、三番目、一枚、3500円程度、
と、書いてある。
このへんであろうか。
しかし、この黒毛和牛の霜降り肉、というのは
なんであろうか。
値段もそうなのだが、なんだって、こんな肉が出来上がったのか。
輸入ものだったりする、赤味のステーキ肉も、
日本では、どこのスーパーでも売っている。
そして、世界的には、ステーキをといえば、こちらの方が普通である。
堅かろうが、筋があろうが、今でもステーキ肉といえば、
アメリカでも、ヨーロッパでも赤身だろう。
もっとも、アメリカ、オーストラリアでは日本への
輸出を想定して、黒毛和牛やら、それに近い牛が
育てられ、最近は彼らの国内でも出回り始めた、
というような話も聞く。
日本でこうした霜降り肉がなぜできたのか、
よくわからぬが、おそらくは、すき焼き用に
できた、のであろう。
和牛が欧米の牛よりも、そもそも、脂が多かったのか、
わからぬが、堅い筋のある肉は、すき焼きで食べる
日本人にはだめで、脂の多いもの、それも、
脂身ではなく肉の中に、脂が混じった、
柔らかく、口当たりのよい肉が好まれるようになった。
もともと、日本人は肉を食べ慣れていなかったから
柔らかい方を好んだ、そういうことかもしれない。
農林水産省も考えているようだが、
この霜降りの黒毛和牛の精子は、是非とも国外持ち出し禁止にし、
大々的に、培養し、育て、世界各国に輸出しよう。
これこそ、日本のさほど多くない
国際競争力のあるものの一つに違いない。
ともあれ、その肉を買って、ここからは徒歩で、帰宅。
さて、肉。
どうであろうか、この見事な霜降り。
正直のところ、久方ぶりである。こんな肉を食うのは。
しかし、これを安い、と思う人はあるまい。
適正、あるいは、リーズナブル、だとも思わないが、
まあ、相場、というやつであろう。
こんないい肉であるから、シンプルに、塩胡椒のみでいいだろう。
両面塩をし、黒胡椒をミルで挽きながら、まぶす。
付け合せは、冷凍ポテト。
揚げ油を鍋に入れ、熱くする。
出来上がり時間を合わせた方がよかろう。
油温が上がるのを待って、ポテトを投入。
さて、フライパン。
鉄製、でいこう。
こちらも熱し、肉に付いていた、脂身を溶かす。
フライパンの表面全体に脂がまわったら、肉を二枚、同時に投入。
中火から強火。
両面こんがり、中はミディアムレア。
このあたりを目指す。
よいだろう。
ポテトもよさそう。
上げる。
皿にのせる。
内儀(かみ)さんが、野菜サラダを作った。
ビールを開け、ナイフフォークで、切って食べる。
うぉ、、、。
中が、冷たかった、、、。
焼き具合は、ミディアムレアなのだが、
冷蔵庫から出したばかりで、肉が冷たかったく、
中まで温まらなかったのだろう。
常温にもどしてから、焼かなければいけなかった。
むろん、牛肉であるから、問題ないが、せっかくの肉、
ベストな状態で、食べたい。
再び、フライパンへ。
再加熱し、皿に載せ、気を取り直し、食べる。
うんうん、よいよい。
うまいぞー。
もう、なにもいうことがない。
日本人にとって、霜降りの牛肉それも、この程度の大きさの
ステーキは、まず、みんながみんな、うまい、というであろう。
また、皆さんご存知の、あの霜降り肉の味。
これを幸せの味といわずして、なんであろうか。
素直に今日は、うまいものはうまい、とだけいえばよいだろう。
松喜
TEL : 03-3841-2983
住所 : 〒111-0034 東京都台東区雷門2丁目17−8
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