断腸亭料理日記2008
2月3日(日)第二食
昨日から、雪になるといっていたのだが、
天気予報通り、朝起きると、雪。
それも、ちゃんと降っている。
前回降ったのは、1月23日。
あの時は、比較的気温も高かったのだろう、
積もることもなかった。
まあ、ウイークデーであったから、積もらなくてよかったのかも知れぬ。
今日は、積もりそうである。
日曜日でよかった。
昼、雪景色を見ながら、またまた、そばを食いにいこうか。
と、なると、雷門、並木藪はどうだろう。
あそまでいって、さらに隅田川、向島、、。
コートの下になん枚も着て、手袋もし、傘をさして、出る。
体感的には、寒いのであるが、
歩道やアスファルトは、それでも気温が少し高いのであろう、
積もってはいるが、シャーベット状。
ベチョベチョとして、歩きずらい。
今日は、裏通りではなく、歩きやすい浅草通りを行き、
並木藪。
日曜日の昼時、並木藪は、いつもであれば、行列もできたりするが、
さすがに、並んでいる人は、いないようである。
開けて入ってみると、なんのことはない、
ほとんど満席。
相席で、座敷の一角を案内される。
こんな雪の日に、わざわざ、浅草に来る、というのは、
なんであろうか。都内近郊の人ではあるまい。
地方の人の東京見物、で、あろうか。
(東京見物で東京にきているのなら、雪が降っても、
予定通り、浅草観光はするであろう。)
お酒と、天ぬきを、頼む。
お燗の具合を聞かれる。
普通で、と、頼む。
毎度書いているが、これも大事なポイントである。
酒だけを呑みにきているわけではないが、
常識として、燗酒を頼まれたら、温度を聞く、ぐらいのことは
してほしい。
お燗といえば、熱燗ですか?、などと聞いてくるところは、
言語道断であろう。
(まあ、お客の方も、お燗=熱燗、と、思い込んでいる人も
少なくない昨今、ではある。)
四角いお盆にのせられた、白木の一合枡を袴にした、
ちょっとずんぐりした真っ白な一合の銚子と、
真っ白な、猪口。それから、そば味噌。
雪の中、出掛けてきたので、燗酒が、うまい。
ここの酒はいつも、菊正宗の、樽酒。
ほどなく、天ぬき、も、くる。
熱いつゆに浮いた、厚い、芝海老のかき揚げ。
つゆを呑みながら、食う。
これも温まり、また、腹に染み渡るようで、うまい。
全部飲み干す。
温まったので、そばは、ざるにしようか。
しょうゆの濃い味の好きな筆者でも、
今さらのようだが、ここのつゆは、辛い。
本当に、ちょいと、つければ、十分で、ある。
うまかった。座敷で勘定。
お寒い中、ありがとうございます、という声の中、
まだ降り続いている、雪の外へ出る。
左に行って、雷門。
うっすらと、屋根に積もっている。
ここから、吾妻橋。
アサヒビールの例の、黄金のオブジェに雪が積もっている。
こちら側の土手も、積もった雪がシャーベットになって、歩きずらいが、
川っ淵まで降りてみる。
川っ淵もご存じのように、コンクリートの護岸、
ちょっとした遊歩道のようになっているが、ここも
べちょべちょのシャーベット。
向こう岸もアサヒビールと墨田区役所のビル、高速が
寒そうに見えるだけで、向島の雪見といった
風情でもない。
もう一度、土手の上の隅田公園に戻る。
ここの桜の木には、雪が積もっているが、
これもそれほどのものではない。
やはり、隅田川、向島の雪見も、今は昔、で、ある。
寒い、寒い。
帰ろうか。
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