断腸亭料理日記2008
2月5日(火)夜
夕方、五反田でミーティング。
7時に終わり、五反田でなにか食べていこうと
思い、少し調べる。
五反田というのは、まだまだよくわからないが、
なかなか、やはりおもしろいところ、で、あるようだ。
以前に、五反田の街の歴史を少し見たことがあった。
今日見つけたのは、立ち喰いの鮨。
そもそも、江戸前鮨の起源は、
屋台で立ち喰いであったというのは、皆さんご存じの通り。
都内でも、今でも、というべきか、
立ち喰い鮨は、なん軒かあるが、そういう意味では、それらは、
創業の業態を保っている、ということになるのかもしれない。
有名なところもある。
筆者がいったことのあるのは、近所に住んでいた関係で、
葛飾は、立石仲見世の栄寿司。
御茶ノ水駅の裏にある、とちぎや。
(TEL:03-3291-9426
住所:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2丁目6)
あたり。
安い鮨やでは、回転寿司全盛の昨今、
こうした立ち喰い鮨は、なかなか多くはない。
(最近、チェーンの立ち喰い鮨というものあるが、
あれはだめ。あれは、回転寿司とネタのレベルは同じである。
あくまで、路麺同様、独立系、個人営業の、立ち喰い鮨。)
あるいは、もう少し範囲を広げて、
昔は、十円鮨、なんという言い方もしたような気もするが、
やはり個人営業の格安鮨。
例えば、浅草、花川戸の魚河岸寿司。
こういうのも、少なくなった。
うまくて安い。
まあ、うまくて、というのは、むろん限定が付く。
値段の割に、なのだが。
太助寿司のような、築地に二枚しかない、うに、など、むろん
あるわけがなし、江戸前のきちんとした職人仕事を
ほどこされた、芸術品並みの、小肌、というような
ものとは無縁である。
回転寿司との違いは、先に書いたように、個人営業、独立系であるということだが、
ネタとなる魚は安いが、ネタ選び、拵え方も、それなりに、
店なりの工夫をしている、ということ。
(回転寿司は、大量仕入れ、画一化されたネタを、
板さんは握るだけ。ひょっとすると、機械で握っている
ところも少なくなかろう。)
さて、五反田の立ち喰い鮨。都都井、と、いう。
場所は、JR五反田駅のガード下、というのか
駅に接しているともいえる場所。
JR五反田駅の東口を出て、
右、東急池上線方向へ歩くと、ガードがあるが
そのガード下。
自動ドアを押して、入る。
すぐにカウンター。
店自体が、JRのガード下で、変形しているのであろう。
カウンターは、鋭角のくの字に曲がっている。
先客は、奥の方で呑んでいる、おじさん二人。
手前に、筆者と同年輩のサラリーマン一人。
たまたま少ないのか、わからぬが、
この時間の鮨やであれば、ちょっと寂しいか。
今日も寒いので、お酒をお燗でもらう。
そこそこの鮨やであれば、おまかせ、であるが、
こんなところでは、むろん、お好み。
おすすめ、が、黒板などにもかいてあり、それも見ながら、
ヅケまぐろ、寒ぶり、小柱。
2カンずつ出てくるのも、まあ、普通である。
こんなところで、1カンにしてくれとはいえない。
びんとろ(びんちょうまぐろの、中トロ)、と、白魚。
煮はま、小肌、鯵。
穴子と、生げそ
(スミイカ?もしくは、ヤリイカ?聞かなかったのでわからない。)。
都合10種、20カン。
酒はもう一本頼み、2本。
これで、30分はいないであろう。
むろん、ネタはまだまだあるが、このくらいで、
腹もちょうどよい。
勘定をして、パッと出る。
2600円。
これはひどい、というものはない。
どれも普通に食える。
うまかったのは、ヅケまぐろ、びんとろ、鯵、
生げそ。小肌もわるくなかった。
ヅケまぐろは、いつも置いてあるようである。
やはり、回転寿司よりは、よほど、いい。
いや、それ以上に、鮨やとは、本来こういうものであった。
好きなものを、ちょ、ちょ、っと、つまんで、
軽く呑んで、出る。
これがほんとの姿、そんな気もしてくる。
都々井ずし
TEL : 03-3440-1743
住所 : 〒 141-0022 東京都品川区東五反田1丁目26−2
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