断腸亭料理日記2008

上野・蕎麦・翁庵

12月27日(土)第二食

さて、昨日で仕事納め。

難問を抱えながら越年しているテーマもあるが、
ある程度区切りのついた仕事もある。

年の終わりというのは、会社、あるいは、仕事とすれば、
第三四半期の終わり、という程度で、たいした区切りではない。

それでもやっぱり、一年が終わった、という感慨はある。

忙しかったことは忙しかったのだが、それ以上に
今まで関わった仕事の中でも重いテーマが多くなったということ。
まあ、この年齢であるから、新入社員と
同じことをして給料がもらえるわけはないが、
追い詰められもするし、能力、イッパイイッパイ。
厳しい一年であった。
まあ、身体と心を壊さないようにし、
一つずつクリアしていくだけであろう。

私なんぞが、こんなところに書くまでもないが、
それにしても、このところの景況悪化は急激で
著しい。
あの2兆円の利益のあった大トヨタが今期赤字予想。

世界の、経済を中心にした勢力図が変わっていく前の
苦しみ、なのであろう。

我々も構造やポートフォリオを早急に変えていかなければいけない。
そういう時代である。
頑張らねば。

それにしても、1年疲れた。
まあ、わずかだが、年末年始、呑んで、寝て、ゆっくり休んで、
気分をかえよう。

ともあれ。

今日、明日と毎年好例の箱根。
塔ノ沢温泉の福住楼へ、年賀状書きにいく。
実際には、むろん半分以上骨休み、ではあるが。

箱根には夕方に着けばよい。
二時間はかからないだろうから、15時頃に出れば十分。
渋滞も今年は少なそうである。

その前に、年賀状作り。

毎年、同じだが、写真を入れて、データで作り、
カラー印刷をし、それを原稿に、キンコーズで官製年賀葉書に
カラーコピー。

デザインは昨日までに作ってあり、印刷し、13時前、
黄色いダッフルコートを着て、自転車で、出る。

今日も寒い。
暮れらしい、と、いうところかもしれない。

拙亭近所の元浅草、東上野、普段の土曜日とは、多少感じが違う。
界隈の企業は、今日が仕事納め、というところも
あるようで、大掃除をしているような姿も多少見える。
しかし、まあ、ほとんどは、人通りも少なくなり、
年末の姿にかわってきているようである。

キンコーズへいく前に、翁庵で、
ちょいと、腹ごしらえをしよう。

下谷神社を抜けて、浅草通り、上野警察の前。

ここは、本当にいつきても変わらない。
木造の日本家屋。

暖簾を分けて、戸を開けて入ると、中はにぎわっている。
昼時は、入ってすぐ右側で、食券を買う。

ねぎせいろ。
大盛ではなく、普通。

あいていた一番手前のテーブルに座る。

ねぎせいろとは、そばのつけ汁に、いかなどの入った、
小さなかき揚げが浮いているもの。

まあ、ここの名物、であろう。

座って、他の人の注文を聞いていても、
八割方、これを頼んでいる。

聞いていて、もう一つ気が付いた。
ここにはカレーせいろ、も、あるようである。
(メニューには書いてないかもしれぬ。)
カレー南蛮というものがあるが、あれの
せいろ版。つけ汁がカレーなのである。

これは、意外にうまい。
それこそ、やれ石臼挽き、だの、蕎麦粉の香りが、だの、
いう人、趣味蕎麦好きの人には、まったく唾棄すべき
そば、かもしれぬ。

今年、大久保百人町の近江屋で食べた。うまいもの、で、ある。
そういえば、日本橋のやぶ忠、にもあったか。

きたきた。
ねぎせいろ。


ここは、そばそのものがうまい、で、あろう。
細く、しゃっきり。

かき揚げをちぎっては頬ばり。
蕎麦も箸でつまみ、つゆにつけて、手繰り込む。

建物が日本家屋で、中は、囲炉裏型のテーブルがあったり、
他のテーブルなども昭和。
運んでいるお姐さんなども含めて、昭和の街のそばや。
けっして、有名な老舗、ではなく、そばもうまいし、
いつきても、気軽で落ち着けるよいそばや、で、ある。

こういう街のそばやこそ、もっとあってほしい、のである。
しかし、なかなか、ありそうで、ないのも、事実、ではある。

喰い終わる。

そば湯も飲んで、
ごちそーさまー、といって、後ろの戸を開け、出る。

さて、向いのキンコースでカラーコピーだ。




住所 台東区東上野3丁目39−8
TEL 03-3831-2660



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