断腸亭料理日記2008

キャベツと酒盗のパスタ

12月13日(土)第二食

今週も、AMは歯医者。
もうしばらく続きそうである。

帰ってきて、昼。
なにを食べようか、考える。

ちらし寿司の残りを食べようかとも思ったが、
内儀(かみ)さんが食べたそうにしていたので、
やめて、、。

お歳暮でパスタが届いていた。
スパゲティーでも作ろうか。

冷蔵庫の野菜室をのぞくと、キャベツがあった。

キャベツのパスタ、というのがあったはずである。
少し調べてみる。

そうそう。
春キャベツ。
柔らかいものを使う、ということであろう。
むろん、今のものは、春キャベツではないが、
まあ、よいか。

どうも、アンチョビと合わせる、というのが
多いようである。

アンチョビはないが、酒盗がある。
酒盗とは、鰹の内臓の塩辛。

酒盗の意味は、酒を盗んでも呑みたくなるほどうまい、と
いうことで、まあ、酒のつまみ、で、ある。

私は、酒盗だけでもスパゲティーにする
これでもうまい。

アンチョビはかたくちいわしの塩漬け。
多少は、発酵もしているのであろう。

塩辛はいかでも、酒盗でも代用がきく。

結局、アンチョビは、塩気と魚の(発酵した)うまみ。
塩辛も同じことである。

魚介類の発酵させたもの。

日本でも塩辛以外にも、たくさんある。

広い意味では、魚を米麹で漬け込んだ、鮨の原型である、ナレズシ。
琵琶湖の鮒ずしをはじめ、鰊、鰯、などなどたくさんある。
また、鯵などを、塩辛のような発酵した漬け汁に漬けてから干す、クサヤ。
あるいは、中国でも鹹魚(日本読みをすると、カンギョ。「鹹」は塩からいこと。
中国ではハムユイ、シュンユイなどと発音するようである。)
といって、そうとうに塩辛い魚の漬物がある。
また、ご存知の秋田のショッツル。これはハタハタの塩漬けの上澄み。
この上澄みは、東南アジアへいくと、ニョクマムやナンプラーになり、
食べると意図ではなく、塩気とうまみを加える、調味料としての
ものになっていく。

偉大な魚介類発酵食文化、で、あろう。
と、すると、ニョクマムをパスタの味付けに使っても
よい、というようなことにも、なるかもしれない。

さて。

スパゲティーを茹でるための湯を沸かし始める。

まずは、にんにくのスライス。
二個ほど。
それから、キャベツは一口の四角に切る。
芯や筋の部分は、薄切りにし、火の通りをよくしておく。

湯が沸いたら、スパゲティーを投入。

フライパンを熱し、オリーブオイルを敷き、にんにくを投入。
弱火にし、香りを出す。

ここに、酒盗。
瓶の残りがわずかであったので、全部入れてしまう。

酒盗などの塩辛の類は、火を通すと形がなくなってくる。
軽く炒める。

ここに、キャベツ。

全体を混ぜながら、しんなりしたところで、
おいておく。

スパゲティーの茹で加減をみる。
フライパンでさらに炒めるので、アルデンテよりも気持ち堅め。

OK。

スパゲティーを湯から上げ、フライパンに移し、
キャベツとともに炒める。

おっと、忘れた。
茹で汁を少し加えるのであった。

少し、水を加え、軽く炒め、胡椒をふる。

味見。

むろん、酒盗には、そうとうに塩分が入っているので、
塩は、入れていない。

ちょっと、足らないか。
少し、足す。

タイムなども入れてもよいのだろうが、やめておこう。
タイムは、くさみ抜き、で、あるが、酒盗のくさみは、
うまみ、である。そのままでよいし、みな、タイムの味に
なってしまう。

盛り付け。


食べる。

酒盗自身は、ほとんど形はなくなっている。
うまみは残り、くさみ、というのは、熱でだいぶ飛ぶし、
キャベツで緩和されてもいるのであろう。

やはりキャベツは、柔らかい方がよかろうが、
それでも、味は全体として、まとまってはいる。

簡単で、うまいパスタができた。




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