断腸亭料理日記2007

まぐろあらの煮物〜まぐろに関する考察

9月8日(土)第二食

冷汁のぶっかけ飯の第一食の後、昨日の、台風疲れ、であろうか、
TVを眺めながら、うつらうつらと、午前中から寝てしまう。

昼過ぎ、銀座松屋に先週買った、スーツを取りにいく。
暑いので、車、で、ある。

浅草に戻り、馬道の観賞魚店で、めだかを買う。

魚(食べる)を買おうと、今度は浅草松屋へ。

B1の鮮魚売り場。

ざっと見てまわると、刺身のコーナーで、
まぐろのカマ。カマトロなどというが、
カマの部分。霜降りの見事な大トロである。
これが、¥1800。

養殖、クロアチア産、と書いてある。
養殖が随分増えている。

この他にも、養殖は奄美大島産、などもある。

最近のまぐろの高騰、養殖の増加は知っていたが、
クロアチア産とはびっくり、で、ある。
(だいたい、クロアチアが海に面していたという認識すら、
なかったくらいである。)

浅草松屋の鮮魚売り場は、中島水産というところがやっている。
デパートの魚売り場でも、
近海産の生まぐろはなかなかないのだろうか。

見たところ、近海ものでは、メバチマグロ、ぐらいである。

¥1800のクロアチア産カマトロには、かなり心が動かされたが、
なんとなく、割り切れない思いがあり、やめる。
代わりに、アラのコーナーにあった、加熱用、メバチマグロアラ、解凍もの、
¥350に、目が止まる。
しょうゆで煮よう。脂もあって、うまそうだ。

帰宅。

まずは、霜降り。

湯を沸かす。

大きいものもあるので、食べやすい大きさに切る。

ざるに少しずつのせ、熱湯をかけ、洗う。

鍋に洗ったマグロを入れ、水、しょうゆ、酒、
しょうがスライスを入れ加熱。

煮立ち、灰汁が出てくるので、すくう。

アルミホイルで落し蓋をし、煮る。
魚を煮る場合の鉄則。短時間。
長くとも、6〜7分。

味を染み込ませるのではなく、煮汁を濃くする。
煮過ぎると、魚の身のコラーゲンが出てしまい、
プリプリ感がなくなる、のである。

煮上がった。


ビールを開けて、食べる。

見た目はこんな感じであるが、これはかなり、うまい。
マグロのアラは、脂が多い。
短時間煮ただけであれば、煮汁に脂が出ず、
プリプリで、柔らかい。

¥350でも、こんなうまいものはできる、のである。

さて、そこで、少し、マグロに関する考察、で、ある。

今日、買おうかどうか迷った、見事な霜降りの、
クロアチアの養殖カマトロ。
¥1800は、国産近海の生マグロと比べれば、格安といえよう。

だが、筆者はこれを買うことに割り切れない思いを抱いた。
そんなにも、マグロ(生のカマトロ)が食いたいのか?
このこと、で、ある。

世界中から、魚を買い漁(あさ)る、日本。
これは今に始まったことではないのだろう。
以前は、インド洋やら、世界中の海に日本の漁船がマグロを
獲りにいっていた。
我々は、それをずっと食べてきた。

そして、さらに、今は、世界的な日本食、鮨ブームから、
ご存知のように、マグロも高騰。

一方、マグロも養殖技術が発達し、クロアチアのようなところでも
養殖されるようになり、生で日本に輸入されるように
なっているのであろう。

これはよいことなのであろうか。

クロアチアにマグロの養殖事業が発達し、
クロアチアの経済が潤うということは、よいことなのかもしれない。

だが、筆者にはどうしても、この状態に不自然さを感じてしまう。

はっきりいえば、マグロの生のカマトロは贅沢品で、ある。
日常、これを食わなければならない、というようなしろものではない。

極端な言い方であるが、魚は近海で獲れるもので、
日本人は済ますべき、なのではなかろうか。
それが自然な姿である、と思うのである。
(鎖国でもしなければ、今さら、そんなことはできなかろうが、、。)

どうしても食べたければ、高い金を出して、
近海ものの生マグロを、食べればよい。

マグロでも、筆者が今日買って、作ったメバチマグロのアラのしょうゆ煮、
¥350で、十二分にうまいものが、食える。

無理をして、クロアチアのカマトロを食わなくともよいではないか。

工夫をすれば、安くともうまく食う方法がある。
そういう魚は沢山あり、捨てられているものも多いのだろう。
(例えば、クロアチア産のアラはどうなっているのだろうか。)

筆者は魚が好きである。
だから、魚を大切に食いたい、と、思うのである。





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