断腸亭料理日記2007

浅草千束・おでん・大多福(おたふく)

10月3日(水)夜

なにを食べようか考える。

、、、涼しくなってきた。
少し気が早いが、おでんが食いたい。

筆者にとって、おでんといえば、しょうゆで真っ黒の、お多幸
なのであるが、少し、気を代えてみよう。

浅草、雷門そばの、仲見世から細い路地を入ったところの
ひょうたんなべというところ。

筆者知らなかったのだが、有名のようである。
(なんでも、駒方どぜう、の、グループのよう。)

大江戸線を上野御徒町で銀座線に乗り換え、浅草まで。

雷門側の出口から出てすぐ、の、ところ。
ガラス戸を開けてみると、満員。
ありゃ、、。

待つのも、間抜けである。

千束の大多福にしようか。

雷門から、千束まではずいぶんある。
浅草公会堂から、六区、ひさご通りを抜け、言問い通りに出て左折。
国際通り、との交差点を渡って、さらに、言問い通りも渡り、
大多福の提灯が見えてきた。

すたすた歩いてきたので、さわやかとはいえ、
薄汗が出てくるほどである。

提灯の出ている入り口から、店の入り口まで、石畳、
左右の乙な植え込み。

戸は開け放たれている。

みんな考えることは、同じなのか。
こちらもなかなかにぎわっている。

入ってすぐ、鰻の寝床のように細い店。
カウンターが奥へ続いており、数mで、くの字、に曲がる。
格子のある帳場があって、実は、その左奥は座敷で、広い。

おそらく、最初の細長い、鰻の寝床のところが
開業当時の店で、きっと、後でその奥を買い足し、
増築をしたのであろう。

少々お待ちください、と、いうことで、帳場前の椅子に
腰を下ろして、準備ができるのを、待つ。
ふき出す汗を、手ぬぐいでふく。

ほどなく、カウンターに場所を作ってくれて、座る。
カウンターの中には、おでん鍋。その向こうに、
よく似た顔の旦那と若旦那。
大旦那は、帳場。三人ともよく似ている。

如才ない若旦那の前。
お通しが出て、、、

お酒を冷やで。

樽酒と普通のものとどちらにします?

普通ので。

と、ここは、ねのひ、のようである。

さて、おでん。
毎度書いているように思うが、最初に頼むのは
決まっている。

すじ、つみれ、ちくわぶ。

すじは、むろん、練り物のすじ。
ちくわぶは、小麦粉で作った、ちくわ、の、ようなもの。
つみれは、全国にあると思われるが、
すじも、ちくわぶも、関東のもの。

ここ、大多福は、関西風のつゆを看板にしている。
初代のご主人が、大阪からきて、ここに店を開いた、
と、いうことらしい。

しょうゆで、真っ黒な、東京本来のおでんを代表する(?)
お多幸とは、まったく違う食い物といえるかもしれない。

今の、コンビニのおでんなどをみると、
関西風が日本中を席巻してしまった、ということだろう。
(それだけ、元々の東京のおでんに普遍性がなかった、
と、いうことなのであろう。うまいのだが、、。)

関西風のここのおでんも、ちくわぶ、や、豆腐などには
あの濃いしょうゆ味の方がやはり、筆者にはいい。
しかし、おおむね、これはこれで、うまい。

お酒をもう一本

二回目。
焼き豆腐、玉子、がんもどき。


がんもどきは、椎茸やら銀杏やら入り、
関西の飛竜頭(ひりゅうず、ひりうず、ひろうす、、
いろいろな言い方があるようである。)
と、いった方がよいかもしれない。
これであれば、薄いつゆもよく合っている。

なぜだか、玉子だけは、しょうゆで煮しめた色。
うまい。

さらに、ねぎま、と、小玉ねぎ。
ねぎまは、串に刺した、ねぎと、まぐろ。
これも、しょうゆ味の方が、イメージであるが、
まぐろは脂のあるところなのであろう。
煮え具合もよく、うまい。
小玉ねぎは、丸のまま、つゆで煮てある。
ポトフのようで、これもいける。

うまかった。
終了。

帳場へいって、勘定。
3000円ちょっと。

ここは、おでん以外のつまみは、意外に高価格である。
おでんだけだと、こんな感じであろう。

帰りは、タクシー、ワンメーター。

一先ず、今年のおでんの口開けは、こんなところ。

浅草千束、関西風おでん、大多福。
時代の付いた雰囲気もよし。
(便所に貼ってある、明治、大正、昭和の吉原の地図が
毎回気になるのである。)
旦那も若旦那も如才なく、居心地のよい店では、ある。

HP


住所:東京都台東区千束1-6-2
電話:03-3871-2521






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