断腸亭料理日記2007
さて、太助寿司、で、ある。
昨日は、合羽橋やら、松が谷のこと。
TXの浅草駅ができたといえ、
合羽橋はさほど便利な場所にあるとはいえない。
いや、単に、便利でない以上に、合羽橋に来る人と、
うまい鮨を食いたい人は、なんだか違っている。
先週、上野ととんかつの関係で書いたが、
盛り場のイメージというのか、位置付けはある程度
決まっており、それに合わせて、行く方も求めるものが決まり、
そしてさらに、そこに来る人種も、なんとなく、決まってくる。
うまい鮨、で、あれば、普通は、銀座や新橋、なのであろうか。
浅草でも、雷門、観音様周辺であれば、まだ鮨を食いにくる、
というのも、なくはなかろうが、
少しはずれた、合羽橋は、違うであろう。
そんな場所に太助寿司はあり、それだけで東京の鮨屋とすれば
少なからぬハンデを持っている。
(今、流行りの、隠れ家、というには、渋い場所である。)
さてさて、せっかく昨日、合羽橋や、松が谷の歴史を
書いてみたのだから、太助寿司の歴史を書いてみようかと思ったのだが、
開業した正確な年を聞いたことがなかったことに気が付いた。
(いつも行っているところで、改まってこういう話は、
なかなかしないものである。別段、取材に行っているわけではない。)
今まで、親方やお女将さんから、断片的に聞いている話を
つなぎ合わせて(差し支えがなさそうな範囲で)書いてみよう。
筆者がこの太助寿司に初めて行ったのは、
2000年、5月。
ここでも書いているが、当時、親方の年齢を50年配と、筆者は見た。
後でこれは、いわれたのだが、50にはいっていなかった、らしい。
この時、正確な歳も聞いているのだと思うが、忘れてしまった。
あれが7年前なので、今は、おそらく50代半ばは過ぎていよう。
親方は千束の生まれ。
家は、食べ物やをしていたが、代々の鮨屋ではない。
学校を卒業し、自分はやるならば鮨屋がよかろうと、修行に出る。
(主として、名前は忘れたが、根岸の鮨屋らしいが、
鮨だけでなく、ふぐ、なども修行しているので、
なん軒か、店はかわってるらしい。)
そして、なん年後なのか、親御さんの援助もあり、
今の場所に、店を開いた。
(この前後に、お女将さんと結婚されていると思われる。)
ということで、この店は、おおかた、30年ぐらいになるのであろう。
(今度、ちゃんとした年を聞いておこう。)
親方がよくいうが、この店は土地も建物も、先に書いたように、
自分のもので、店の経営という意味では、有利であるという。
銀座やら、新橋やらで高い地代を払って商売をするとなると、
それに見合った値段を付けなければならない。
しかし、ここではそうした気遣いをしなくてもよいので、
高い魚を使える、のだといつもいう。
まあ、これが、太助寿司の高級ネタをリーズナブルな値段で
出せる秘密、ということになろう。
もっとも、そういう店でも、この品質の魚を使っていれば、
もっと高い値段をつけても、なんら問題は、なかろう。
(この場所で、それが可能かどうかは置いておいて。)
だが、やはり、そうはしない。
どことはいわないが、比較的リーズナブルな値段を看板に
繁盛をし、大きなビルになっているところもあるが、
そんなことろは、本当にいい材料は使っていない。
それじゃぁ、ダメだよ、と、親方もたまには、そんなこともいう。
ともあれ、そんな気持ちでやられている鮨やである
もう一つ、太助寿司を語るには、落とせないものがある。
それは、出前、で、ある。
親方によれば、太助寿司は出前で、伸びてきた、という。
店で食べていても、出前の電話がよくかかってくる。
また、5月から6月、下谷、小野照崎、三社、鳥越と、この界隈は
祭りの季節。太助寿司では、それぞれの町内の神酒所(みきしょ)に
鮨を差し入れる。これは、祭りへの寄進、サービスであるが、
むろん、宣伝にもなっている。
祭り期間中、それ以上の出前の注文がある、というわけである。
筆者も、元浅草に住んでいるので、鮨の出前は、
今は、むろん、太助寿司、で、ある。
上鮨、1150円。
これは、一般的な、値段からしても、決して高くはない。
いや、むしろ、安いくらいではなかろうか。
そして、ネタは、店で出すものとは、すべて同じではないが、
はっきりいって、うまい。
今の、元浅草の新築のマンションに引越してきた当初、
太助寿司でない雷門の鮨やのメニューが入っており、
頼んでみたが、かなりのレベルの高さに驚かされた。
それまで住んでいた、葛飾の四つ木、あるいは、それ以前に
住んでいた、23区内だが、東京西部の私鉄沿線の鮨やとは、
随分に違う。
やはり、このあたり、浅草界隈の鮨やは、出前といえども、
レベルは高いのである。
そして、当然ながら、上鮨であれば、この程度の価格以上は、
つけない、のである。
まあ、これはここに住んだ者の特権であろう。
出前もハイレベルの、合羽橋・太助寿司。
といったところで、引っ張るようだが、紙数が尽きた。
結局、本編の太助寿司は、また明日。
合羽橋・太助寿司
電話番号:03-3841-4811
住所: 東京都台東区松が谷2丁目26−6
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