断腸亭料理日記2007
5月26日(土)第一食
さて、土曜日、で、ある。
先週の週末は、義母が上京していたりし、なかなか忙しかった。
今週も少し、片付けねばならない仕事などもあるが、
少し、のんびりできる。
第一食、なにを食おうか、考える。
天気もいいし、今日の最高気温の予想も30℃近いようである。
千束のねぎどん、ざるそばの生卵かけ、を、食いにいこうか。
今日は、草履履き、自転車で、出る。
拙亭のある元浅草一丁目から、東に向かい、新堀通りを渡り、
北上。赤札堂の脇の道を、真っ直ぐに上がる。
この通りは、国際通りと平行して北上し、言問い通りを渡った
一角が、ねぎどんのある千束一丁目、で、ある。
この他に、おでんの大多福が、言問い通りを渡ったところ。
元祖恵比寿ラーメンが、国際通り沿いにあったりする。
さて、少し、千束町、というのをみてみたい。
江戸の頃はほぼ、田んぼで、今日は江戸ではなく、明治の地図。
(※毎度であるが、入れているコメントは、現代のものと、昔のものが混在している。)
なんとなくおわかりになろうか。
右下が浅草寺の奥山、といわれていたあたり。
池などがあるが、これはひょうたん池、といわれたもの。
また、花やしきも、ここ、で、ある。
その左の通りが、今の国際通り。
国際通りは、松竹歌劇団(SKD)で有名だった、浅草国際劇場
に由来している。
むろん明治にはない。
国際劇場は戦前、昭和12年にでき、
戦後の昭和57年に閉められている。
水の江滝子、草笛光子、淡路恵子、倍賞千恵子、、、
そんなところが、出身者。
往年は、西の宝塚、東の松竹、といわれ、
浅草演劇華やかなりし頃の一画を占めていた、ということであろう。
今は、その跡が浅草ビューホテルになっている。
その東側、凌雲閣、と、書いたが、明治23年から
震災でなくなるまで、当時では珍しい、高層ビルがあった。
(当時はここから北が、千束町(二丁目)、で、あった。)
高層といっても、12階建てだが、
凌雲閣は、別名を浅草十二階といった。
高さは二百二十尺、というから、一尺が30.3cm、
67mほどであろうか。
用途は、観光用の建物で、上層階には『見料一銭の望遠鏡が
備えられていた。』(下谷浅草町名由来考・台東区)ようである。
高いビルなどのない明治当時、この高さであれば、
浅草上野の甍(いらか)の群れ、上野の山、隅田の堤、大川。
その先に、東京湾。北東には筑波山、北西には秩父の山々。
西南には、富士山。
かなりの眺めが想像できよう。
そして、前にも触れたことがあるが、
『十二階の付近には銘酒屋が並んでいた。俗に十二階下と
呼ばれた私娼窟である。』(前出)
現代の場所でいうと、六区のJRA、ウインズの先、
牛鍋(すき焼き)屋の米久のある、
ひさご通り、というアーケードがあるが、その左裏手、
国際通りとの間の一角、ということになる。
国際通り、に、あたる通りは、今の、言問い通りに
あたる通りにぶつかり、ここから先は、細くなる。
この手前から、左側は千束町一丁目。
千束五叉路、と、書いたが、今の国際通りは、
ここから斜めに左に北上、お酉様の前を通り、
三ノ輪へ向かっている。
そして、もともとの、この通りは、今の千束五叉路から右斜めに入り、
吉原方面へ向かっている通り、で、あろうかと思われる。
千束町は今に比べて、相当に広かったことがわかる。
西側が、一丁目、東側が二丁目。
先に見たように、ひさご通りあたりから、
その北側の千束商店街、千束通りも
今は浅草二丁目、三丁目、四丁目になっているが、
これらもすべて、千束二丁目、で、あった。
さて、ねぎどん。
今年に入っても、なん回かは来ていたかと思う。
二方の道に面したドアは開け放たれている。
風が通り、爽やか。
券売機で買うのは、ざるそば、生卵、おろし、桜海老天。
昨年、ざるそばの生卵かけ、を始めて以来ここでは、これをやっている。
ざるの上で、生卵をうまくそばに絡めるのは、
なかなか難しい。
池波先生は、“手早く器用に”『おはる』などに
絡めさせているが、難しい。
今日は、事前に、小鉢で卵をほぐし、少しずつそばの上にかけ、
絡めていく、ことを思いついた。
うん。こうすれば、うまく絡まる。
生卵の絡まったそばを先に食べてしまい、
おろしを、残っているつゆに入れ、これで
桜海老天を、食べる。
最後に残ったつゆも、そば湯を入れて、全部飲み干す。
うまかった、うまかった。
TEL 03-3873-0738
〒111-0031 東京都台東区千束1丁目17−9
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