断腸亭料理日記2007

鰯飯、イワシフライ、鰯煮付け

7月14日(土)夜、7月15日(日)夜

土曜日午後、例によって、アメ横の魚屋にいく。

台風が近付いているが、今日はまだ魚はあるであろう。
(この時点の台風は、まだ鹿児島の南。)

きてみると、色々ある。
鯛、それから、巨大な鯔(ぼら)。
鯵も安い。それから、秋刀魚。もう出始めている。

先日、鯵はちょっと失敗したので、
またまた、鰯にしてみようか。真鰯、で、ある。
一山、¥300。

ここの一山は、例によって、大量にある。
二十匹弱はあるかもしれない。

先日は、刺身と、なめろう、を作った。

今日はなにを作ろうか。

とりあえず、今日は、刺身。三匹ほどおろす。


先日の、和歌山のものよりも、多少太り方が悪いが、
それでも脂はたっぷりある。

今日、実は、奥歯を抜いた。
酒は、なし。
しばらく禁酒、で、あろう。

さて、もう一つ。
飯に、しようか。
鰯飯。

以前に、秋刀魚飯、というのを作った。

これは、池波レシピ、として作ったが、
素焼きにした秋刀魚をそのまま釜に入れ、しょうゆ、酒で炊き、
炊き上がってから、骨を抜く、鮎飯式。
(鮎飯も池波レシピ、で、ある。)

同様に、鰯も炊いてみよう。
秋刀魚がいいのなら、鰯でもいけるだろう。

米を研いで、酒、しょうゆを入れ、普通に水加減をする。
鰯の場合も、秋刀魚同様、少し濃い目がよかろう。
刺身用におろしたしょうがが、少し余っていたので、
これも入れてしまう。風味がよかろう。

酒を入れた場合、米の浸水が悪くなるので、普通の浸水時間では
芯ができてしまう。2時間以上は浸した方が安全である。

四匹ほど、頭を落とし、腹を出して、素焼き。

そのまま米の上にのせ、炊く。

炊き上がって、箸でほぐし、中骨だけ抜き、
小骨はそのまま。鰯の小骨なら、なんら問題はなかろう。

もみ海苔が、欠かせない。一膳ほど夜中に食べる。


ふむふむ、鰯でもいける。
うまい。

さて、翌、日曜。

第一食は、レンジで温めて、また鰯飯を食う。

鰯は、まだ大量に残っている。
なににしようか。

開くのが、ちと、面倒であるが、フライはどうだろう。

イワシフライというと、定食やのメニューであろう。
筆者は、名古屋時代を思い出す。
千種駅すぐそばのオフィスのから、程近いところにあった
路地裏の定食や、で、ある。

なにがうまかったかというと、ソース、なのである。
ソースといっても、特別なものではないのだが、
名古屋、と、いうのは、広島などと同様に、
ソース文化圏でもあると思っている。
カゴメというケチャップメーカーは日本人なら誰でも知っている
トップメーカーであるが、発祥は、名古屋である。

実は名古屋では、カゴメは単なるケチャップメーカーではなく、
ソースメーカーでもある。
東京で、ソースといえば、今話題のブルドックであるが、
名古屋のスーパーに並んでいるのは、カゴメブランドのソースである。
しょうゆや味噌は、地の食文化であるから、
地方によってブランド違うのはあたり前だが、伝統食品でもない
ソースまで違うのは不思議である。

ちなみに、カゴメの創業は、明治30年代、愛知県東海市である。
カゴメというのは、籠目、で、元は昔のいわゆる商家の印(しるし)
であろうかと思われる。
創業当時のカゴメの商標は丸に、ちょうどユダヤのダビデの星
を書いたもの、これが籠目、であった。
ダビデの星は、竹で編んだ籠の目に見えるであろう。)

にんべん、キッコーマン、ミツカン、皆、古くから店の、
印であったものが、商標、
今いう、ブランドマークに、社名に、なっていった。

籠目は、着物などの、和の柄としても残っている。

また、横道にそれてしまった。

その名古屋、千種の定食やで、イワシフライがあったのだが、
そこでは、小さなパウチ入りのソース、ケチャップ、マヨネーズを
三種同時に出していたのである。
三つ、同時に付いている、といって、なにも三種類を
一度に使う必要はないのだが、筆者は、なんとなく、名古屋では
そういうものか、と、妙に納得し、混ぜてイワシフライに
つけて食ってみた。これはいわゆるオーロラソース、
というのだと思うが、なかなかイワシフライに合っていたのである。

さて、鰯を、内儀(かみ)さんの分も合わせて、
六匹、開く。
鰯の身は、柔らかいので、けっこうたいへんである。
やはり、包丁を使わないと骨に身が残ったり、
身が崩れてしまうので、面倒だが、包丁できれいに中骨をはずす。

キャベツを忘れてはいけない。
なかったので、買いに出る。

千切りにし、水に漬けておく。

揚げ油を鍋に用意。
ボールに玉子の冷水、パン粉をパッドに用意。

ボールに小麦粉を入れ、溶く。
ここに開いた鰯を浸し、パン粉のパッドに移す。
上にもパン粉をかけ、上から押し、よくパン粉を馴染ませ、
上げる。

六枚、衣付け終了。

このあたりで、キャベツは水から上げ、
水切りのため、ざるのまま冷蔵庫に入れておく。

残りの鰯、まだ、五、六匹残っている。
頭を落とし、腹を出して、冷蔵庫に入れておいた。
同時進行で、煮付けも作る。
そのまま、水から煮る。
味付けは、しょうがスライスを入れ、しょうゆ、酒、砂糖。

イワシフライを、揚げる。
油温は、高温でよいだろう。
六枚、手早く、カラッと揚げる。

盛り付ける。


これはビール、しかないのであるが、
呑めないのは残念、で、ある。

例の、オーロラソースも作る。


ウスターソースに、ケチャップとマヨネーズ。
イワシフライは、やはりなまぐさいので、
これだけ、濃いソースが合っているのであろう。
ビールを呑まなくとも、うまいものは、うまい。

鰯の煮付け。


皮が柔らかいので、取れてしまったが、
味は、よい。

いやいや、鰯。
今年は大漁なのであろうか、安い上に、使い道は広い。
そして、どれも、うまいものである。





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