断腸亭料理日記2007
8月1日(水)夜
土用の丑の日は過ぎてしまっていたが、
夜、若い同僚と、うなぎを食いにいくことになった。
これは、彼からいい出した。
この彼は、34歳で大阪出身なのだが、前に、
「うなぎでも、白焼き、というのは、うまいものですね〜」
などと、いっていた。
年のわりに、というのと、大阪出身のわりに、というのとで、
ちょっと、意外に思っていた。
なぜ意外か。少し説明しなければわからないだろう。
34歳というと、ご存知、団塊ジュニア。
第二次ベビーブーム世代で、今年であれば、36〜34歳になっている。
団塊ジュニアの特徴は、むろん人数が多い。
そのせいであろう、従来からの会社のいわゆる縦社会では、異質。
上や下とのつき合いよりも、同期、友人などを優先することが多く、
会社帰りに、上司と呑みにいく、ということをあまりしなくなった
最初の世代といえよう。
また、彼らは、バブル後の就職氷河期などを経験している。
このため、筆者らを含めた、バブル以前世代と比べ、
多少高くとも、うまいものを食いたい、というようなことに
興味を示さない。
(逆に彼らは、金を貯める、運用する、というようなことには
熱心な世代かもしれない。)
そして、大阪出身の件。
大阪というのは、東京ほど、うなぎやの数は多くなく、
また、東京人のうなぎに対する思い入れほどには、
大阪人は、思っていないのではなかろうか。
こんなわけで、その彼、ちょっと、おもしろい男、だと思っていた。
そんな彼から、「うなぎの白焼き、を食いに行きましょう」、と、いい出した。
筆者とすれば、「そりゃあいい、行こう行こう」、で、ある。
神楽坂の志満金、で、ある。
志満金では白焼きは食べたことはなかった。
また、10時までやっているので、安心で、ある。
8時過ぎ、オフィスを出る。
この時間でも、暑い。
外濠通りに出て、汗を拭き吹き、二人でスタスタと歩く。
15分程度で、ある。
神楽坂下から、左に曲がり、坂を登りかけて、一本目の路地の先、左側。
入ってみると、土用である。さすがに盛況。
一階は一杯で、二階。
二階もテーブル席は満席で、入れ込みではなく、
襖(ふすま)で仕切られた座敷に案内される。
座敷も始めてである。
その上、入れ込みではなく仕切られた座敷はやはり、ちょっと、
贅沢な感じである。
(もっとも、この襖は、しばらくすると、開けられ、
入れ込みの一部分となった。たまたま、仕切ってあったところに
通された、ということであろう。)
どっかりと腰を下ろし、まずはビール。
肝焼きは、ないとのことで、
肝煮。
それから、お目当ての白焼き。
肝煮は、前にも食べたことがあった。
比較的薄味であるが、うまい。
白焼き。
小皿に、ちょこん、と、本わさびがのっているのが、乙、で、ある。
特段変わってはいないが、甘みがあって、格別にうまい。
連れも、うまい、うまいと、食っている。
これが東京の、うなぎの白焼き、で、ある、
と、自慢をしたい気分、で、ある。
やはり、うな重も食べなくてはいけない。
先日の、うなぎの幇間で、一八(いっぱち)もいっているが、
「土用のうちに、うなぎに対面なんてなあ、ようがすな。」
で、ある。
なにも丑の日でなくともよい。
やはり、梅雨も明けて、本格的な暑い夏がやってくれば、
一度は食っておかなければならない。
ハフハフとかっ込む。
うまかった、うまかった。
満足、で、ある。
(二人で、¥7000。勘定は筆者がはらう。
この場合、当然であろう。)
新宿区神楽坂2丁目1
03-3269-3151
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