断腸亭料理日記2007
4月28日(土)夜
休みに入った。
少し仕事を残しているので、一日ぐらいは、
出ようとは思っているのだが、今日はひとまず、休み。
昼、カレー(ルウの普通のカレー)なんぞが食いたくなり、
作り、ビールを呑んで、そのまま昼寝。
夜、起きて、なにを食べようか、考える。
ふと、思いついたのが、浦里。
浦里とは、乙な名前であるが、
池波作品に出てくる、ものである。
吉原の花魁が、馴染みの客に作ってやる、という。
大根おろしに、梅肉、鰹節なぞを入れて、和えたもの。
「ちょいと、その、うまいもの、である。」
と、いう。
池波先生の実体験からのもの、なのかもしれない。
ともあれ、さっぱりしたものが、食いたくなったのである。
ついでに、紫蘇の葉、大葉。
これだけでは、つまらぬので、よい牛肉のステーキを少し。
そんな感じでどうであろうか。
買いに出る。
三筋の、スーパーヤマザキ、まで。
牛肉は、霜降りのよさそうなのが、角切りになっているのが
あったのでこれにする。
それから、大根と梅肉、大葉。
梅肉は、S&Bのチューブのもの。
かんぱちのカマが、安くなっていたので、買っておく。
帰宅。
大根は皮をむき、おろす。
もともとのレシピにはないが、
大葉、で、ある。刻んで、入れる。
鰹節。これは、「鰹節削り節」。
例によって、理屈っぽいが、そのまま食べる場合は、
これ、「鰹節削り節」である。
なん回も書いているし、ご存知の方は、ご存知であろう。
鰹節のこと、念のために、書いておく。
(ご存知の方は、読み飛ばして下されたい。)
日本には普通に鰹節と呼ばれているものは、二種類ある。
東日本のものと、西日本のもの。
東日本のものは、粉をふいているもの。
この粉は、カビ、らしいのだが、旨みよりも香りがよい。
筆者などは、東京ものであるので、普通に鰹節といえば、
小さい頃から、これだと思っていた。
しかし、西日本のものは、この粉がない。
そして、いわゆる出汁を取るには、西日本のものを
使うのが日本料理では、基本、で、あること。
東日本のものを煮出してしまうと、
持ち味である、香りを飛ばしてしまう。
出汁に使う場合は、煮出さず、仕上げに入れ、すぐに火を止める。
鰹節が二種類あるということは、
それを削った、いわゆる、削り節も二種類売られている。
西日本のものは、「鰹削り節」。東日本のものは「鰹節削り節」、
と、正確には、品名が違っている。
まあ、メーカーが違うし、パッケージも違うので
わかりやすいかもしれない。
東日本のものは、にんべん、が代表メーカーだろう。
パッケージも小袋に入っているやつ、で、ある。
西日本のものは、大きな袋にドサッとはいっているやつ。
ヤマキ、などが代表か。
といった、わけで、おひたしなど、
そのままかけて食べる場合は、にんべんの、
パックのものを拙亭では、かける。
(西日本では、そのまま食べる場合も、彼らにとっては
あたりまえだろうが、西日本のものをかける。
名古屋在住の頃、これを見て、いささか、驚いたおぼえがある。)
牛肉は、両面丹念に塩胡椒をする。
鉄のフライパンを熱し、油を十分に敷く。
一度弱火に落とし、肉を入れる。
中火に上げ、焦げ目をつける。
側面の半分以上、色が変わってきたところで、ひっくり返す。
強火に上げ、こちらの面にも焦げ目をつける。
終了。
皿に、大葉を敷き、肉を載せる。
ビール。
今日は、キリンのチルドビール、グランドエールというのを
買ってきてみた。
(これは、エールというほど濃い感じではなく、呑みやく
うまかった。)
浦里、は、しょうゆをたらして、よく混ぜて、つまむ。
遊里の、乙な、味、というのであろう。
牛肉も塩胡椒のみに、大葉の組み合わせは、
さっぱりして、よい。
さて、またまた、本格的に呑み始めてしまった。
まあ、休みである。よろしかろう。
酒盗(鰹の塩辛)に、クリームチーズ、を出す。
この組み合わせは、今となっては、一般的であろう。
酒盗をそのまま食べるよりも、塩気がマイルドになり、
酒がすすむこと、おびたただしい。
どうも、呑んだくれ、で、ある。
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