断腸亭料理日記2007
4月6日(金)夜
さて、一週間がやっと終わった。
4/1、職場の異動があり、新しい環境での一週間。
なかなか、気を抜けぬ日々であった。
今日は、うなぎ。
日本橋本町の、大江戸。
あの、「おいしゅうございます」の岸朝子先生、
お気に入り、と、いう。
日本橋本町の昭和通り沿い。
存在は知ってはいたが、きたことはなかった。
ちょっと、いってみようかと思い立った。
7時半頃、オフィスを出て、JR市ヶ谷駅から神田まで。
あのあたりは、神田駅からも遠くない。
江戸の地図・日本橋本町界隈
このあたり、銀座から歩いたときに、一度書いている。
このとき書いていなかったのが、時の鐘。
今川橋の交差点から、少し南の路地を東側に入ったところ。
このあたりは、本銀(ほんしろがね)町から石町。
時の鐘というのは、文字通り、時を告げる鐘で
江戸市中では鐘の音の届く範囲で、いくつかあった。
芭蕉の句に
花の雲 鐘は上野か浅草か
というのがある。
浅草は弁天山、上野は上野の山で、
上野と、浅草の鐘は、落語などにもよく出てくるが、
有名であろう。
(どちらも現存。上野と浅草は距離が近いので、
両方聞こえたであろう。)
貧乏をしても下谷の長者町 上野の鐘のうなるのを聞く
なんというのもある。
芝は、切通しの鐘。
他に、市谷・亀ケ岡八幡、新宿・天龍寺などなど。
そして、日本橋がここにあり、
石町(こくちょう)の鐘と呼ばれていた。
現在、この鐘は、小伝馬町の十思公園にある。
神田駅を降り、中央通りを渡り、
この、時の鐘のあったあたりを入り、昭和通りへ出る。
江戸通りの手前、右側、うなぎ割烹・大江戸がある。
割烹の入り口らしき、メインの玄関があり、
その右側に、食堂入り口という扉があり、
ここから入るようである。
一階が通常は、食堂とよばれる、一席ずつ暖簾の下がった席
であるようだが、今は、工事中。
二階へ案内される。
二階は大きな座敷と、テーブル席。
座敷に上がる。
朱塗りのお膳が並ぶ、入れ込みである。
二組ほど先客がいる。
あぐらをかいて、座る。
落ち着いて、なかなかよい座敷である。
くつろげる。
ビール。
エビスの瓶をもらう。
お通しは、、なんであろうか、これは。
見たところ、芋茎(ずいき)、のようではあるが、
酢の物になっているようである。
なかなか、うまい。
つまみは、きも焼が切れている、というので、
ぬた、をもらってみる。
特になにも書いていなかったので、
なんのぬたかと思うと、まぐろ、で、ある。
味噌は、芥子の利いた白味噌。
なかなか、乙な味である。
“割烹”の腕なのであろうか。
呑んでいると、女将さんらしき人が、
ビールを注いでいってくれる。
今、こういうことをするところは、なかなか珍しいかもしれぬ。
一人でぼんやり呑んでいると、しみじみ、
一週間の疲れが、取れるような気がする。
さて、うなぎ。
うな重の下から二つ目、ながつき、という、2940円のにする。
肝吸いもつける。
お重がでかい。
色は黒。
金文字で、店名が入っている。
お新香も盛りがたっぷりとしている。
山椒をふって、食べる。
気持ち、飯が柔らかいような気がするが、
蒲焼は、うまいのではなかろうか。
岸先生お気に入り、というだけのことはあろうかと思う。
さて、日本橋本町・うなぎ割烹・大江戸。
いろいろひっくるめると、十分満足である。
東京のうなぎ屋、というのは、ほぼうなぎ蒲焼のみのところと、
うなぎ蒲焼がメインであるが、座敷があって、
いわゆる割烹料理も出す、というところとある。
その「うなぎ割烹」という看板をあげているところに、筆者も
なん軒かいったことがあるが、まああまり、満足したことはない。
商売上手、というのか、どことはいわぬが、看板だけで、高い金は取るが、
疑問符がつくところも少なくない。
従って、あまり「うなぎ割烹」には近づかぬことにしている。
(まあ、大体において、派手な店構えをしているところは、
だめかもしれない。)
しかし、なかでも、よい、と思うのは、神楽坂・志満金。
そして、ここも大江戸も、なかなかどうして、よいのではなかろうか。
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