断腸亭料理日記2007

ハンバーグ

1月22日(月)夜

どうも筆者、凝(こ)りやすい、質(たち)のようである。
昨日の「牛肉と玉ねぎ」のことを考えていたら、
ハンバーグも、どうしても食べたくなった。

帝国ホテルで、シャリアピンステーキを食べた最初の感想が、
「これ、ハンバーグ、じゃないか」、であった。
薄く、切れ目も入れて、柔らかくした牛肉と玉ねぎ。
〆て、ハンバーグであろう、と、思ったのであった。

実際に、自分で、シャリアピンステーキ(らしきもの)を作ってみると、
その本質は昨日書いたような、牛肉と玉ねぎのコラボレーション、
と、いうのか、絶妙の相性をみせていることに、気が付いたわけ、である。

さて、じゃあ、ハンバーグはどうなのか?
と、いうことなのである。
自分で、同じじゃないか、といった手前、確かめてみなければ、
で、ある。

実は、これも、帝国ホテル、であろう、と、電話をしてみたのである。
NHKの例のムッシュ・ムラカミのドラマで
ムッシュを演じた、高島氏が、帝国ホテル流のハンバーグステーキを
会得し、自分で作っている、というようなことも、
いっていた記憶があったからなのである。

電話をしたのは、昨年いった、ラ・ブラセリー、と、いうレストラン。
すると、「ハンバーグステーキは、生憎、現在やっておりませんで、、」
と、とても感じよく、お詫びをされてしまった。
本来であれば、一階にある、ユーリカ、というレストランの
メニューであったのだが、そこが今月初旬、改装に入り、
復活するのは、3月末頃だという。
(余談だが、帝国ホテルの応対は、電話でも、とてもよい。
最近のホテルは、どこも悪くはなくなったように思うが、
中でも帝国ホテルは、格段によい、ように思われる。)

仕方ない。
自作をしようか。

レシピは、ちょうど、先週のチユーボーですよ!が、

煮込みハンバーグであったので、これをベースにしてみる。

筆者、ハンバーグというもの、
ほとんど数えるほどしか作ったことがない。
なぜであろうか。

むろん嫌いではないが、べらぼうに好き、というほどでもない、
からかもしれない。また、うちの内儀(かみ)さんが割りによく
作るメニューだからかもしれない。

会社帰り、牛込神楽坂のスーパーで、
ちょうど、牛7に豚3の合挽きがあったので、これを400gちょっと。
それから、牛脂を売り場で二かけら、もらう。

あとは玉ねぎ、卵、ナツメグ、ラード、パン粉、などなど、だが、
すべて、ある。

帰宅。作る。

まずは、玉ねぎ、3/4個ほど、みじん切り。

つけ合わせは、にんじんのグラッセにしよう。
本当は、俵型、だろうが、面倒なので、小口切り。
一応、面取りだけはする。
深めの陶器のボールにお湯、固形スープの素、砂糖、
バターを入れ、レンジで加熱。
(いわゆる、煮込みモード。これで、簡単にグラッセができる。)

玉ねぎを、炒める。
透明になって、もう少し。

ボールに挽肉、炒めた玉ねぎ、全卵、塩胡椒、ナツメグ、
レシピは生パン粉であったが、普通の乾燥パン粉、
牛乳、牛脂、ケチャップ、ブランデーを入れ、

粘りが出るまで、練る。

餃子などもそうだが、こうした生地のものは、味見ができない。
筆者の場合、料理はすべて目分量で作るため、ちょっと、困ってしまう。
それでも、不精な性格なのか、今日のようにレシピがあっても
やはり、測らない。適当、で、ある。

それでも、ハンバーグには欠かせないナツメグだけは、
香りで加減がわかる。
入れ過ぎもいけないが、やはり、そこそこ主張したものが
好み、で、ある。

手に油を塗り、形にする。
ちょっと、大きなものを二つ、作る。
どの料理の本にも書いてあるが、両手で叩き空気を抜き、
最後に、真ん中を凹ませる。
(これをしないと、割れるおそれがある。)

焼く。
レシピでは、ラード。

鉄のフライパン。
最近はもう、くっつく、ということはなくなった。
煙が出るまで加熱し、一度冷まし、ラードを敷く。

ハンバーグを入れる。
中火。
比較的、ゆっくり焼いてみる。
軽く焦げ目がつくまで。

牛脂も入れているからか、最初に敷いたラードと合わせて、
随分と、油(脂)が出てきた。

いいかな。
形が大きいのでヘラ二本で、慎重にひっくり返す。
OK。

もう片面。
ふたをして弱火。

5〜6分か。
時々裏を見て、焼け具合を確認する。

よさそうかな?
最後に、竹串を刺して、確認する。
生焼けであれば、血が出てくる、はず、で、ある。

OK。
皿にとっておく。

ソースは後にし、もう一つ焼く。

こちらも焼き上がり。

最後にソース。
フライパンに残った肉汁(?)に、ブランデー、
ウスターソース、ケチャップを入れ、よく混ぜ、
煮詰める。

OK。

最初に焼いた方が、冷めかかっているので、
軽くレンジをかけ、ソースをかける。

完成。


フライパンでソースを作っている時には、
気が付かなかったのであるが、肉汁かと思っていたものが
思ったよりも、脂が多かった、、、。
いや、ほとんど脂だったのかもしれない。
少し、減らしておくのであった。

ともあれ、ビールを抜いて、食う。
特大、で、ある。
これだけの大きさのハンバーグは、なかなか、気持ちがよい。

焼具合は、なかなかよいのではなかろうか。
表面は固めでカリッと、中は柔らか。
牛脂を入れたのは、初めてであったが、これがよかったのか。
そこそこ、ジューシーな感じ、で、ある。

しかし、脂が多すぎた。
少し捨ててから、ソースを作ればよかった、
というのが、反省である。
しかしながら、本質的には、ハンバーグに脂が多いのは、
悪いことではない、というのが、今日の結論である。
自分としての満足度は、かなり高い。

さてさて、ここで、最初の疑問に戻る。
改めて、ハンバーグを自作し、食べてみて、明瞭にわかった。

「牛肉と玉ねぎ(≒シャリアピンステーキ)」と、「ハンバーグ」は
明らかに、別のモノ、で、ある。

これを、同じではないか?、などといっていた、自分の
愚かさ加減に、あきれ返る。

昨日も書いたが、シャリアピンの基本は、玉ねぎと牛肉のシンプルな
ハーモニー、だと筆者は考える。

ハンバーグは、玉ねぎに加え、香辛料や調味料を含めて、
あらかじめ、合わせた味。
それぞれが、こなれて、まとめられた味。
シンプルなハーモニーではない。

これは、まったく違うもの、で、あった。

筆者、帝国ホテルで、シャリアピンを食べ終わり、ただ頭で考えただけで、
軽率にも、そんな感想をいってしまったわけである。
あらためて、各位様に、お詫びをしなければならない。




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