断腸亭料理日記2006

剣客で秋の10品・

断腸亭、取材、調理&撮影の卷

5月26日(土)

さて、先週も書いたが、取材、で、ある。
10品を作り、その料理写真の撮影、である。
ニューズ出版というところの「IPPO」(いっぽ)という健康誌

から、剣客商売で秋の10品を作ってほしいとの依頼。
その上、うれしいことに、池波作品の江戸の世界と、
江戸のロハス、というような内容で、拙文も載せていただける、という。
冗談かと思っておられる読者の方もいるかも知れぬが、
いや、筆者自身も、私などでいいのか?と思う。
しかし、まあ、本当の話なのである。
(断腸亭メジャーデビュー!?で、ある。)

11時から開始、と、いうことで、材料は、極力、
昨日のうちに、買出しし、煮込む必要のあるものは
煮込んでおいた。
朝、9時に起き、第一食は、毎度のねぎどん

帰りに、合羽橋で、足りない食器の買出し。

帰宅し、作り始める。

テーマは、剣客商売で秋の10品。
「落ち鱸塩焼き」「鴨鍋・鴨飯」
「里芋の煮ころがし(里芋とねぎのふくめ煮)」
「大根鍋」「蛤飯」「煎り鴨の肉と生卵をかきまぜた飯」
「にぎりめしに味噌をまぶして焙ったもの」
「浅利(と、ねぎ)のぶっかけ(飯)と大根の浅漬」
「根深汁(飯、大根の漬け物)」
「蛤の吸い物で、酒」

筆者、プロフィールにも書いているが、
スーパーやコンビニで売られている、
一般の加工食品(インスタントラーメンや、冷凍食品などなど)
の商品企画、マーケティングをしてきた。
この中には、いわゆるプランだけではなく、
パッケージのデザインなども含まれる。
その中で、パッケージに入る調理例の写真、
業界でいう、シズル写真の撮影もしてきた。
(むろん、筆者自身がカメラで撮るわけではない。
プロのカメラマンである。そのディレクション、現場監督である。)

と、いうことで、食いものの撮影などは、実は
仕事としてきたことでもあったのである。

そこで、料理の撮影というものが、どうやったら早く終わるのか、
と、いうのも、よーく、知っていたのである。
一般的に、こうした雑誌用の撮り方と、筆者がしてきた、
パッケージ用のものとは、随分と違う。
食品会社のパッケージにかけるこだわりは、たいへんなものである。
(それは結局、それにかけられる予算の違い、で、ある。)
パッケージの写真は、1カットを撮るのに、
少なくとも、3〜4時間はかける。
料理はプロのフードコーディネーターに作ってもらう。
たとえば冷凍食品のコロッケ。
カメラマンは、表面にパン粉がはげている部分のなどあるとすると、
パン粉のかけらを、ピンセットで一つ一つ、丁寧に貼っていく。
実に、こんなことまでするのである。
そして、何枚も何枚もポラロイドを切って、
クライアントからOKが出て、やっと本番。
まあ、一種の職人仕事である。

今日は、11時に始めて、5時頃までの予定。
準備も含めて、30分程度で1カット。
これはたいへんである、と、思っていたのである。

しかしまあ、段取りである。
要領よく料理を準備し、皿や小物、バック、レイアウトなどなどを
パッパと決め、ライティングも変えず、パッパと撮る。
こうすれば、速いのである。

鱸や、焼きおに、を、ベランダの七輪で実際に炭火で焼く、
などの演出もしたり、、、。

また、ご飯ものがいくつもあるが、事前に白飯を炊いて用意し、さらに
撮影しながら、鴨飯、蛤飯を二つの電気釜で同時に炊くなどもした。
まあ、作ることは普段やっていることでもあり、
要領よくできたのだろう。

最後に、編集の方のリクエストで、着物を着て
筆者のポートレートまで撮影。
ここまでで、3時半。
予定よりも大幅に早くできた。

4時ごろ、カメラマンさんと、編集の方が帰り、
ぐったり。
なかなか、たいへんであった。

しかし、10品分、大量にできてしまった。

少し食べようか。
やはり、鱸(すずき)であろう。
半身丸々買ったので、頭に近いヒレの部分の切り身を
撮影用には、焼くことができた。
これを食べよう。他のものも少し並べて自分で撮ってみた。


左から、鴨飯、茶碗酒、上に浅利とねぎのぶっかけ(深川飯)、
鱸塩焼き、上に、里芋の煮ころがし(ねぎと里芋のふくめ煮)。

鱸はガスで焼いて、七輪に載せて、イメージを撮ったり、と、
あちらこちらへ持ち回ったため、ヒレなどは取れてしまって、
だいぶくたびれている。
しかしまあ、食べるぶんには問題はない。
茶碗酒で、食べてみる。

むろんのこと、江戸前の鱸。
旬というには、まだ早いかもしれぬが、脂もまあまあ、である。

ご飯ものは、やめて、芋の煮ころがしを食って、
いい気分で、転寝(うたたね)。

いやいや、疲れた、疲れた。
しかし、心地よい疲れである。



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