断腸亭料理日記2006

浅利とねぎのぶっかけ

5月27日(日)第二食

さて、またまた続き、で、ある。

第一食後、日記書き。

天気もよい。
上野松坂屋へ買い物がてら、下駄を履いて歩いて落語の稽古。

帰宅し、このところしていなかった、声を出しての稽古。
妻に聞かせる。
やはり、たまには声を出さねば、だめである。
道を歩きながらの稽古は、むろん、大きな声は出さない。

『素人は、まず、大きな声を出すこと』これが、師である、立川志らくの
教えであった。
声が大きい、と、いうことは、実際に聞こえる聞こえない、と、
いうこともあるが、お客様に“届く”という意味で必要不可欠。
へたでも大きな声を出せば、「何か」は届くということなのである。

ともあれ、久々に声を出すと、また違う。
本番に向けて、足らない点を多数発見。精進せねば。

さて、汗もかいた。
一杯やろう。

なにがよかろう。と、いっても、昨日のあまりものである。

どかっと、残っていた、「浅利とねぎのぶっかけ」。

剣客商売であるが、深川の裏長屋に住む、鰻の辻売り・又六の
お袋さんが、大治郎へ出す、というもの。(待ち伏せ)

ぶっかけ、とは、むろんのこと、飯にぶっかけ、たもの。
ようは、深川飯、で、ある。

今、深川飯、深川丼、と、いうと、浅利むき身の入った、
しょうゆ味の炊き込みご飯ということになってきているようである。
東京駅の駅弁などでもあるし、門中(モンナカ。門前仲町のこと。)や、
清澄白河あたりにも名物にしている店もある。

しかし、池波先生も書かれているが、もともとは炊き込み御飯ではなく、
浅利むき身とねぎなどを入れた汁を、飯にかけて食べる、
もともとは、深川の漁師の食い方であった。
それを、又六のおっかさんが作る。

この汁であるが、しょうゆでも味噌でもよい、という。
家によって、いろいろあったのであろう。
今回は、味噌で作ってみた。
むろんのこと、好みであるが、浅利には微妙な苦味があり、
味噌味の方が、筆者は好きである。

作り方は、水から、ぶつぶつ切ったねぎを入れ、煮立てる。
そして、そこそこ火が通ったところで、むき身を入れ、
すぐに火を止め、味噌を溶く。
これで再度火を入れ、終了。
(浅利とねぎの順番が逆のように思われるかも知れぬが、
浅利には極力熱をかけない方がうまい、と思われる。
貝は、熱をかけると、水分がぬけて、堅くなる。)

飯にぶっかけて、食う、わけである。

昨日撮影用に作ったものは、飯にかけているので、
当然ながら、置いといて、かけていない、汁の方を
丼によそって、茶碗酒、で、ある。


これは、温め直さず、冷たくとも、いける。

酒にも合うのがまた、よい。

やはり、むき身がたっぷり入っていると、
とてもうれしい。

うまい、うまい。




お詫び:昨日配信分、秋山小兵衛の息子、大治郎を、
大次郎と書いてしまいました。お詫びして訂正いたします。
(よく間違うので、確認して書いたつもりでしたが、
ご指摘をいただき、気が付いた次第。まったく反省しております。)



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