断腸亭料理日記2006

湯島天神門前・

鳥料理・鳥つね

3月4日(土)夜

なまりの味噌汁で飯を食ったあと、昼寝。

と、その間に、妻の母親が、北海道から出てきた。

こう書くと、突然のようだが、もちろん、事前にわかっていたことである。
水戸の偕楽園で梅祭りをしている、と、いうので、見たい、
と、2〜3週前に言い出し、上京してきたのである。

18時ごろ妻に、起こされる。
夜は、同じく、梅であるが、湯島の天神様、湯島天神の、
梅を見がてら、鳥料理の鳥つね、へ、行くことにしていたのである。

筆者、花見でも、東京者のご多分に漏れず、桜花の方は大好きであるが、
梅、と、なると、あまり経験もない。
(まあ、この年で、梅見が好きである、というのも、
爺むさいかとは、思うが、、。)

湯島天神までは、義母(はは)と妻と三人でタクシー。
春日通りをまっすぐ。

とりあえず、門前の鳥つね、まで行き、店の様子を見る。
空いているようなので、そのまま、入ることにする。

この界隈、鳥料理は、何軒か有名な店がある。

筆者は、行ったことはないが、池之端の鳥栄。
創業100年になんなんとする老舗。
ここは柳田國雄、獅子文六などの著述にも残っているようである。
(ここには、一度行ってみなければならない。)

そして、何回か行っているが、湯島三丁目の花ふぶき
鶏水炊きのスープが白濁し、うまい。

そして、ここ、鳥つねは、親子丼が有名である。
店はマンションの一階であるが、ここも、大正元年創業であるという。
義母に天神様の梅を見せるのに都合のよい、ここに決めた、のである。

夜は鳥鍋がメイン。
義母は、少し病気をした後でもあり、あまり食べられぬ。
ここに19年いる、という中居さん。
「しんじょ揚げは、ここの看板ですから、是非食べてください」と、いう。
そこで、「鳥鍋コース花(前菜+しんじょ揚げ+お鍋)6500円」、
というのを2人前で、前菜、しんじょ揚げを一人分付けてもらうことにする。
足りなければ、また、頼もう。

前菜は、つくねの煮たもの。

これがしんじょ揚げ。

なるほど、自慢することだけはある。
鳥のしんじょ、というのであるから、すり身、なのであろうが、
それだけならば、ただのつくね、である。
しかしこれはクリームのように柔らかい。
まさか、クリームが入っているのではなかろう。
なんだろう。山芋のような、、、つなぎ、かもしれない。
それが、ふわっと、揚げられている。


さて、鍋。
店自慢の丹波の方で特別に育てている、という、卵の卵黄の載った、
つくね用の鶏ひき肉。
それから、鶏肉。左側に載っているのが、名古屋コーチン。
右側には、比内鶏。間に、同じく、比内鶏のレバーと、ハツ。

土鍋は、少し変わった形をしている。
鍋が浅く、フタの方が高く盛り上がっている。
聞いてみるとこれは、理由はよくわからぬが、鍋の方を
浅くしたかった。ふたをして煮込むことはないので、
本当はふたはどうでもよいのだが、バランス上、高くなった、
こういうことらしい。
説明になっているようで、なっていない。
なにぶん、この道19年の中居さん、で、ある。

鍋には、既に、鶏の出汁が張られており、煮立つのを待ち、
スプーンで先の卵を混ぜた、つくねを形よく、入れていく。
これも、コツも、この道19年の中居さんが教えてくれる。





さすがに、粋な町、湯島の老舗。
鶏もつくねも、こなれており、格別にうまい。

また、最後のおじや。

の、前に、この道19年の仲居さんが、湯飲みを出してくれて、
スープだけを塩を振って、飲ませてくれた。

ここである。これがうまいのである。
「料理人がつきっきりで、灰汁を取りながらスープをとりますから」
うまいはず、で、ある。

むろんのこと、おじやもうまい。

やはり、鳥つねも、スープが決め手、で、あった。


天神様の境内を抜けて、帰宅。

桜花の開花予想は、今年は少し早いようだが、
湯島天神の境内、まだ、満開にはもう少し間があるようである。

それでも、今日、初めて、といってよいと思うが、
まじまじと見た、夜の梅花。

カップルがちらほらと、歩いていたりする境内。

少し暖かくなった夜の空気の中で、
湯島の天神様という場所のせいであろうか、
今日見た梅は、なにか、艶かしさ、のようなものを感じた。



yahooグルメ



断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2006