断腸亭料理日記2006

森下・手打ちそば・京金

1月27日(金)夜

今日は、社内のちょっとした報告会が終わり、
どかっと、修正の課題がまた、与えられた。

考えなければならないこと、やらなければならないことも多い。
その上、明日も出勤。

18:00。
今日はだめだ。全部、ぶん投げて、帰る!。
(部下にぶん投げたわけではない。来週の自分に、である。)

まあ、こんな日もあってもよいだろう。

そば、で、ある。

今日は、3月上旬並という、少し、温かかった。
冷たいそば、が食べたい。

深川、森下の京金。

故杉浦日向子氏なども書いている。
ソバ屋で憩う―悦楽の名店ガイド

有名店と、いってもよいのだろう。

森下といえば、筆者には、山利喜
そして、高橋のどぜう、伊せ喜、桜鍋のみのや。

深川森下は、今でも、住みたい町の一つでもある。
いい街、で、ある。

昔風にいうと、二つ目。清澄通りと新大橋通りの交差点。

都営新宿線、森下駅、で、ある。

例によって、この界隈深川北部の、江戸の地図、で、ある。

深川の北部である。
この地図を見てわかったのだが、本所と深川の境は、
五間(ごけん)堀り、のようである。

五間堀りは、むろんのこと、今はもうない。五間堀りに架かるのが弥勒寺橋。
鬼平ファンであれば先刻ご承知であろう。お熊婆さんの茶店のある、
弥勒寺は本所。そして、目と鼻の先に、竪川(立川)に架かる、二つ目橋。
その袂(たもと)には、同じく鬼平にはなくてはならない、軍鶏鍋の五鉄。
お熊婆さんの茶店と、彦十のいる五鉄は、こんな近くである。

閑話休題。京金、で、ある。
前から存在は知っていた。
来たいと思っていたのだが、初めて、で、ある。

清澄通り沿い、交差点から2〜3軒目であろうか。
ビルの一階であるが、玄関まで玉砂利に飛び石という
乙、な感じである。

入ると玄関。
床は低いが、靴を脱いで、上がるようになっている。

テーブルが5〜6。左奥に、小上がり。

眼鏡の小母さんが、柔らかい物腰で、出向かえる。
下足の札をもらって、
「テーブルでも、お座敷でも、お好きなところへどうぞ〜」

18:30頃。四組程度のお客。

入り口に近いテーブルに座る。

酒も、いろいろあるようだが、今日は、ビール、で、ある。
ヱビスの瓶。

つまみは、、、なにがよかろう。
鴨たたき、そば苗おひたし。これでいこう。

のどが渇いていたせいで、ビールがうまい。
ゴクゴクとのどを鳴らして、呑んでしまう。

この店、正確な歴史はわからないが、一見、趣味そば。
しかし、情報を総合すると、中身は、そうではなさそうである。
(まあ、筆者の、趣味そばを嫌う理由の大きな部分が、
汁の味の薄さ、であるから、これさえクリアすれば、
受け入れ可能であるが、、、。)

鴨たたき。

そば苗おひたし。

そば苗おひたしは、そばの芽のおひたし。
シャキシャキとした食感が、よい。
そして、鴨たたきが秀逸。
ほとんど、生、で、ある。
よく見ると、脂身の表面を炙ってあるようである。
ほんのり、胡麻油の香りがする、、ような、、。
これは、これは、うまい。

さて、鴨とおひたしで、ヱビスを一本呑んで、
そば、で、ある。

ここは、おろしそば、が、ちょっと、知れている。
メニューの裏に、食べ方がいろいろと、書いてあり、
力の入り方が、うかがえる。

どんぶりに細めのそば。
つゆが、かけ用と、もり用の二種。
辛味大根のおろしと、花かつお。そして、わさびと、ねぎ。
こんなところが、お盆に載ってきた。

二種のつゆは、ぶっかけにしても、もりそばのように、
つけて食べてもよい、と、いうことである。

おろしと、花かつおを、そばにかけ、よく混ぜる。
そして、おろしの入っていた器に、もり用、のつゆを入れ、
つけて食べてみる。

おお、これは、辛い。
しかし、これが、うまい。

おろしの量が、また、多い、のである。
そば湯が運ばれているので、そば湯を飲んで、一息つきながら、
そばを、たぐる。

そばの量も多い。
しかし、どんどん、後を引く味、で、ある。

そばを食べ終わったが、そばに混ざり切っていなかった、おろしが、
どんぶりに残っている。今度は、かけ用、のつゆを、どんぶりに入れ
おろしも、ともに、飲み乾してしまおう。

きりっとした出汁で、おろしも辛いが、これもまた、うまい。

まさしく、堪能。かなり、満腹、である。
京金、趣味そば、風ではあるが、
やはり、しっかり、深川のそば屋。

森下、よいところで、ある。



鴨たたき¥840、そば苗おひたし¥525、
おろしそば¥1470 

地図



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