断腸亭料理日記2006

蕎麦掻き・その2

さて、今日は、昨日の続き。
蕎麦掻き、で、ある。

***

蕎麦粉とボイルのあさりを買って、
帰宅。

蕎麦掻きの作り方は、いろいろあるようであるが、
基本的には、まずは、お湯で練る。

昨日の、鬼平に出てくる、お熊婆さんのように、
練るだけでも、蕎麦掻きには、なる。
また、練るときに、火にかけながらやる方法。
そして、さらに練ったあと、湯を通し、
茹でる、方法も、ある。

いずれにしても、さほどの手間はかからないだろう。

まずは、あさりのかき揚げの準備。

天ぷら油を用意。

ボールに生卵と氷、水を入れ、よく溶く。

ねぎは、大きめ、10〜15mmの厚み、に
ざくざくと、切る。

ここで、油に点火。

小麦粉を溶き入れる。
かき揚げであるから、比較的堅め。

ねぎ、あさりを入れる。

油温をみる。

OK。

小さめのお玉でたねを取り、油に投入。
続けて、もう一つ。

10秒ほど置き、ひっくり返し、様子を見る。
厚い部分に、菜箸を突き刺す。
なかなか、慣れてきている。

どんどん揚げて、5〜6個揚がった。
さて、蕎麦掻きに取り掛かる。

この蕎麦粉は、比較的白っぽい。

カップ一杯の粉に対して、
熱湯同じくカップ一杯。

鍋に入れ、木の棒(これは、中華の点心用の麺棒を流用。
直径15mm、長さ20cmほどである。)で
掛き混ぜ、練っていく。
この時、弱火のガスに掛けながら、で、ある。
火にかけると、鍋肌から、固まってくるので
外し、また、練る。
そしてまた、練りながら火に掛ける、を、繰り返す。
堅くなると粘りが強まり、これは、けっこう力のいる、作業である。

適当なところで、やめ、まずは、木の棒で、まとめ、
最後は、水で濡らした手で形を作る。

このあと、茹でると、より堅めになるが、
今日は、ここでやめ、お作法通り、木の葉の形に
成形、模様もつける。

器に入れ、先程の鍋にもう一度熱湯を入れ、
鍋肌にくっついているそばを、こそげ落として、
簡易のそば湯を作り、器に入れる。

これで、蕎麦掻き、の、完成。

そして、あさりとねぎの、かき揚げ。


つゆと、わさびじょうゆを用意。
つゆは桃屋の原液。

ビールを抜いて、食べる。

まずは、蕎麦掻き。
茹でていないので、けっこう柔らかい。
また、先に書いたように、白っぽい粉で、
食感は、なめらか。

蕎麦粉には、何種類かある。
一番白いものを一番粉。これは蕎麦の実の中心部分。
これだけで打ったそばは白く、更級(さらしな)などは
このジャンルに入る。
二番粉、三番粉、四番粉まであり、一番外側の
甘皮まで丸ごと使うのが、黒っぽい田舎そば、であるという。
(前にも書いたが、筆者は学生時代、そば屋でバイトをしていた。
そのそば屋では、一番粉は、打粉といって、くっつかないように、
ふり掛ける粉に使っていた。)


してみると、今日の蕎麦粉は比較的、中心部分の多い
粉だったのではないかと思う。
(ちなみに、長野県のメーカーのものであった。)

味は?
まあ、そば、の味。
それ以上でも以下でも、ない。

昨日も書いたが、やはり、びっくりするような味ではない。
わさびじょうゆでも、つゆ、でも、どちらでもそれなり。
素朴な食い物である。

かき揚げは、気合をさほど入れずに作ったにしては、
うまく揚がっている。
やはり、かき揚げには、ねぎは欠かせない。
甘くてうまい。

少しまとめよう。
“そば問題”。
この日記を読んでくれている同級生の友人が
いっていたのだが、
「そば屋、ってさ、呑んでも2〜3000円じゃない。
だからさ、薀蓄たれやすいんじゃない?」。
うん。そう、そういうことだ!

それ以上でもそれ以下でもない、と先に書いたが。
そば、は、そば、なのである。

例えば、鮨でも天ぷらでもよいが、そばと他の日本料理と比べて
そこに込められている料理人の技の深さ、
料理としての奥の深さが、違っているのは、素人目にも、知れよう。

そばは、とっつきやすい。先の友人の言のように、
価格も鮨や天ぷらと比べても、まあ、1万円は取られない。

回転寿司とすきやばし次郎との差には、素材の価格はもちろん違うが、
職人の技術も含めれば、天地の開きがあろう。
しかし、田端の路麺・かしやまと、どこぞの“趣味そば”との差は
そこまで広がりようがないものなのである。

誰でも、「“かえし”がどうだ」「新そばの香りが・・・」
など、一言いいやすい。
また、自分で作ってみるにしても、そこそこ、
すぐに、できてしまう。

決して、そばを腐しているのでも、貶めているつもりもない。
料理としての優劣をいってもいない。
うまいものであるし、そば屋で呑むのは楽しいものだが、
そばは、そば。それ以上でも、それ以下でもない。

ここ数週間、悩ませていた、そば問題、
このあたりが結論、で、あろう。



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