断腸亭料理日記2006

箱根・塔ノ沢・福住楼2006 その3

またまた今日は昨日の続き。

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12月23日(土)夜

湯元から戻り、
さらに、年賀状書き。

夕方、風呂にいき、ビール。
少し、転寝(うたたね)。

18時半、夕飯、で、ある。

会席料理、という形であろう。
昨年からか、板長がかわり、お品書きが出てくるようになった。

ちょっと書き出してみる。

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師走 献立

お通し
鮟鱇肝 レモンしょうゆ 紅葉卸し

前菜
かに奉書揚げ 栄螺チーズ焼き 火取からすみ 
牡蠣有馬煮 細根大根 味噌

刺身
鮪 わらさ ぼたん海老 五味菜

焼き物
鰤かけしょうゆ焼 ゆずおろし 酢橘

鍋物
鮟鱇鍋 白菜 ねぎ 榎木茸 菊菜

中皿
百合根饅頭 銀餡

揚物
山百合豚香味揚げ 青唐 レモン

煮物
関東炊き 
大根 赤芽芋 蒟蒻 飛竜頭 菜花 辛子


山芋 浅葱 七味 

  香の物 三種

デザート
いちご 生クリーム

料理長 某

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まず目に付くのは、鍋。
味噌仕立ての鮟鱇鍋、で、ある。
ちょっと、びっくり。

筆者にとって、鮟鱇といえば、神田須田町のいせ源
であるが、ここは、甘辛しょうゆ味の東京風。
本場(というのか?)、水戸や大洗などでは、肝を溶いた味噌味、
というのは、知識として知っていたが、食べるのは初めてである。
楽しみである。

温まるまで、お通しと、前菜。

お通しは、アンキモ。
そして、前菜は、目にもきれいに、並べられている。
真ん中に、細根大根、麦味噌をつけて食べる。
そこに添えられているのが、からすみ。
お品書きには頭に「火取」(ヒトリ、と読むようである。)と
ついているが、これはなんであろうか。
よくわからぬが、いずれにしても、からすみ。
筆者、これも初めて、で、ある。

からすみは、ボラの卵巣の塩漬け。珍味として有名である。
出されたものが特別なのか、そういうものなのか、
けっこう生臭いものである。

牡蠣有馬煮。
「有馬煮」とは実山椒を使って煮る料理法のこと、らしい。
甘辛く煮てある。

「かに奉書揚げ」と、あるが、ここでいう奉書の意味がよくわからないが、
食べたところ、カニの足を、パンで巻いて、揚げてあるようである。
「栄螺チーズ焼」。栄螺はさざえ。サザエのコリコリした食感が、よい。

刺身は、鮪とわらさ、とあるが、わらさではなく、鮪の赤身と中トロ。

鮟鱇鍋が温まってきた。
汁をまず飲んでみる。

なるほど、これは、なかなかうまいものである。
鮟鱇の身も、こりこりとし、ぷにぷにとしたゼラチン質
もまた、うまい。

焼き物がくる。
鰤の照り焼きである。

それから、百合根饅頭、銀餡。
鳥の巣に見立てているのであろう。
針のように細いもの(そうめんの揚げたもの?)をまわりに散らし、
真ん中に、玉子型の饅頭。その上に茹でた三つ葉の茎が二本。
饅頭の中は鶏挽肉と、なにかわからぬが、コリコリとした食感の
(きくらげを細かく切ったような)ものが一緒に入っている。
見た目もよいが、うまい。

ビールから酒にかえる。

お猪口を、湯で温めて出してくれる。

揚げ物、豚の竜田揚げ

これはまた、、、。

筆者、豚のてんぷらなどは、好きで、
これもうまいが、ヘビーと感じる人もいるかもしれない。
この板長は、やはり、お若い。
ちなみに、山百合豚、とは、
神奈川県産の豚をブランド化しようというものらしい。

関東炊き

飛竜頭(ひろうす、ひりょうず、ひりゅうず)は、がんもどき。関西の言い方。
赤目芋は、なにかと思い、調べてみると、里芋なのだが、
いわゆるセレベスと、呼ばれているもの。
インドネシアのセレベス島(現スラウェシ島)原産ということ。
粘り気が強めで、薄味の煮物に向き、
高級品種、と、いうことらしい。

これはこれで、それぞれ、薄味の煮物として、うまいのであるから、
なにも、突っ込むこともなかろうが、
ここ、箱根は、関所を越えた、立派な関東。
関東にあって「関東炊き」とは、なんであるか?!で、ある。
(本当であれば、喧嘩を売っているのか?、で、ある。)

ご承知の通り、関東炊きとは、東京のおでんが、関西に伝わり、
関東炊き、という名前で呼ばれるようになった。

基本的に、八百善をはじめ、正統の江戸の会席料理は、
ほとんど滅んだといってよいのか、今、東京でも、
割烹料理、会席料理の類は、関西、京都大阪の料理が主流であろうし、
こうしたところの板さんも、ほとんどが、
その流れの修行をしているのだろう。

それはわかる。
わかるのだが、感情的に、関東炊き、というメニュー名で、
関東にいながら、食わされるのは、関東の人間としては、
釈然としないものが残るのであるが、、。

、、大分酔っ払ってもきたし、、まあ、よしとするか。

最後。おつゆとご飯である。

これは、赤だし。団子が入っているが、この団子は、
おろした山芋を、揚げてあるようである。

うまいが、ここまでくると、かなりまあ、ヘビー。
やはり、この板さん、お若い。

酒も呑んだし、腹も一杯。
満足は満足である。

そのまま、転がって、寝てしまった、、、。
(よくしたもので、すぐに、床を延べてくれる。)

夜中に一度起き、もう一度、風呂、またまたビールを呑んで、
朝八時まで、ぐっすり、就寝。

よく寝た、よく寝た。
ここのところの疲れとストレスも、多少は、取れたであろう。


福住楼


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