断腸亭料理日記2005

鬼平軍鶏(しゃも)鍋

11月15日(火)夜

日曜日に、「鶏と大根の鍋」をやったが
またまた、池正ネタで恐縮である。

どうも寒くなると、どうしても、頭は鍋へいってしまう。

今日は、夕方、親子丼、鶏肉の卵とじ、のようなもの、が食べたい、
と思いついた、ところからはじまっている。

つらつら考えると、鶏肉の卵とじ、つまり親子丼は、そもそも、
江戸の頃の庶民の食い物、軍鶏鍋、から始まっている。
これが、筆者の持論である。

その真偽のほどはともかくも、どうせ、鶏肉の卵とじを
食べたいのであれば、軍鶏鍋、をやろう。
日曜日にやった、鶏と大根の鍋、で使った、鶏皮もまだある。

今を去ること7年前。筆者が名古屋で単身赴任生活をしている頃

自分の作ったものを記録しよう、と、
このような日記を書き始めたわけである。
当時、ちょうど、池波先生の作品にはまり、どなたも感じられるように、
作品に登場する食べ物が、実に、うまそう、である、と、感じた。
そして、それを、再現してみよう、と、思い立った。

そして、その、代表作、であろう。
池波先生の代表作、No1.、といえば、鬼平犯科帳。
そして、そこに登場する食い物の中でも
最も重要な位置を占めるのが、この軍鶏鍋。
本所二つ目、軍鶏鍋や、五鉄、の看板、である。

鶏肉は、なくても、成立はする。
しかし、牛蒡(ごぼう)のささがきが入り、レバーと、皮が欠かせない。

会社帰り、レバーと既に切られた、ささがき牛蒡。
安かったので、もも肉の、から揚げ用、などと書かれた、
既に切られたものを、スーパーで購入し、帰宅。

今日は、まず先に、炭を熾す。
燗をつけるために、鉄瓶も沸かしておく。

鍋の準備。
レバーは煮えるのに時間がかかるため、
先に、ガスで煮る。

今日は、特に意図はないが、
土鍋ではなく、ステンレスの小鍋を用意。

皮から先に、鍋に入れ、しょうゆ、酒、砂糖を
直に鍋に入れてしまう。
ようは、すき焼き、で、ある。

そこへ、レバーを入れ、軽く煮込む。
灰汁が出てくるので、網ですくう。

炭を火鉢にセットし、息を少し吹いて、火力を上げる。

鶏もも肉、ささがき牛蒡を、皿に盛って、卓袱台へ。
取り皿と、生卵を用意。

鉄瓶で燗をつける。

鍋を火鉢に移動。
もも肉と、牛蒡を入れる。
牛蒡と、もも肉は、すぐに煮える。


毎度のことであるが、トップページのプロの撮った、
きれいな写真に比べて、さほどにうまそうに見えない。
このくらいなら、載せない方が、よいような気もする。

しかし、味だけは自慢ができる。
(といっても、上のようにすれば、誰でも簡単である。)

甘辛しょうゆと、鶏肉、レバー、そして、鶏皮から出る脂。
ささがき牛蒡。甘辛と、脂との相性は、牛蒡に止めを刺す。
それを、生卵をくぐらせて食べる。

ハフハフと、レバーや、もも肉を頬張る。

また、菊正宗の燗酒が、うまい。
甘辛のしょうゆ味には、辛口の酒。
これが、江戸=東京の味である、と、思っている。



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