断腸亭料理日記2005

合羽橋・太助寿司・鮭児

10月13日(木)夜

20時過ぎ、帰宅。

と、

太助寿司です〜。」

今日は、出前を頼んでいない、、。
なんであろうか、、、?

妻が出ると、若い衆が
「親方が、差し入れ、です。届けるように、って。」
といって、パックに入れた、オレンジ色の刺身と、
説明書きのコピーを置いていった。

!、!、!、、、、。なんと、鮭児(けいじ)、である。

すぐに、妻から女将さんへお礼のTELを入れさせる。

鮭児とは、幻の鮭、ということぐらいしか知らない。

以前に、大将が、
「まだ食べたこと、なかったっけ?
 秋になったら、鮭児が入るから、、、」
と、いっていたのであった。

説明書きのコピーを読んでみる。

北海道で獲れる鮭には、何種類もあるようである。

普通に新巻鮭として出回っているのは、ご存知のように、
秋になり、産卵に故郷の川を上ってくるところを獲ったもの。
もちろん、これが一番多い。
(秋鮭(あきあじ)。さらに細かくは、産卵の準備が完全に
整っていないものを、沖で獲った銀色ものを「銀毛」。
産卵の準備が整ったものは「ブナ鮭」という言い方をするようである。)

そして、時鮭(ときじゃけ、ときしらず)。
これは、5〜8月、産卵期前に、北海道沿岸に寄ってきた鮭。
産卵の直前である、秋鮭に比べて、より脂がある。
内地で育った筆者などにはあまり馴染みはないが、
北海道出身の妻によると、時鮭は、北海道ではさほど珍しくない
鮭のようである。

そして、鮭児。
これは、主にあがるのは、知床半島から網走あたり。
そして、時鮭は産卵に北海道に戻ってきた鮭であるのに対して、
鮭児は、もっと若い鮭で、大きさも小さい。
(専門的には、鮭児の故郷は、北海道ではなく、
中国とロシアの国境を流れるアムール川方面であるという。
この種の若い鮭が、たまたま北海道近海を回遊し、
網に入ったもの、これが、鮭児、ということらしい。)

そして、鮭児の一番の特徴は、脂ののり。
普通、秋鮭でも、いわゆるハラスの部分は脂がある。
しかし、鮭児は全身が、トロ状態、と、いうことなのである。

幻の、と、冠がつくのは、主な水揚げ漁協である、
知床半島の羅臼漁協で、年間500本ほど(2000年)、と、いう。
(一本の価格は、、、目が飛び出る。)

値段もさることながら、築地に何本も入らないという、
やはり、希少性なのであろう。


これである。瑞々しい、美しい身の色である。
一切れ食べる。

まず、香り。

鮨ねた、として、回転寿司でもある、サーモン。
(そんなものとしか、比べられない、のは、かなしいが、
筆者には、鮭は、それ以外、鮨ねた、としては経験がない。)
サーモン、として、出てくるのは、
軽くスモークもされているのであろうか。
ちょっと、シャケ臭い、というのか、生臭い香り、が、ある。

この鮭児。まったく、そんな生臭味とは無縁。
もちろん、鮮度もまったく違うのであろう。

そして、柔らかくトロトロで、口の中でとける。
かといって、まったく、くどさはない。むしろ、さっぱりしている。
上品、上質、そんな形容詞が合っている。

うーむ、脱帽。

わざわざ、届けていただいたのは、やはり、
いつも入るものではない、ということである。
シーズンにどのくらい入るのであろうか。

地図とTEL

(鮭児はTEL確認が必要であると、思われる。)




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