断腸亭料理日記2005

雷門・うなぎ・色川

7月25日(月)夜

今年の、土用丑の日は、木曜日28日である。

そして、先日、すぎ田へ行ったら、
色川の親爺さんの顔も見たくなったのである。

その1

その2

20時前。TELしてから、とも思ったが、そのまま来てしまった。

台風が近付いている。
田原町の駅から上がると、路面が濡れているが、今はあがっている。

夕方まで日が照っており、
牛込神楽坂駅を出るときには、降っていなかったのだが、
やはり、影響であろう。

テクテク歩いて、色川まで。

植木鉢に囲まれた、格子戸。
よかった。暖簾が出ている。

がらっと開ける。

カウンターが開いていた。座る。
親爺さんのまん前、で、ある。

「のみもんは?」

「ビール」

すぐ、運ばれる。
手酌でグラスに注いで、一口呑む。

うまいなぁ〜。

「えっと、なに?」

「つまみ、は、なにがありましたっけ・・・」

「う〜ん、、焼鳥か、、」

うな重並と、焼鳥。

やはり、この親爺さんの前に座ると、緊張する。

店は、テーブルも奥の座敷もお客が入り、一杯である。

親爺さん、今日はいつになく、静かである。

時折、「パン」、と、団扇で大きな音を出しながら、
うなぎを焼く。

しかし、あんまりジロジロ見ているのも
なにか、いわれはしまいかと、時折、視線を、外す。

焼鳥が、焼きあがる。
特に、なにも相談はなかったが、二本。
塩、で、ある。

カウンター上に、七味も、す、っと置かれる。

プリプリとし、うまい。

さてさて、うな重。

お重のふたを開けて、さんしょを、振って、、、。
食べる。

これである。
このタレの染みた、シャッキリとした、ご飯。

もう、これを食うだけで、死んでもよい、と、思うのである。

これは、誇張でも、比喩でも、レトリックでもない。
本当に、そう思う。それだけ、うまい、飯(めし)なのである。

うな重の飯と、して、これ以上、完璧なものは
世界中、どこへ行っても、決して、お目にかかれない。
僭越ながら、うな重の飯の炊き方部門で、
人間国宝を進呈してしかるべきだと、思う。
(総合部門は、尾花である。)

東京の人間であれば、うな丼や天丼の飯は、
どうしたって、堅め、でなくては、ならない、と思う。

(そうではありませんか?ですよね!?東京出身の方。)

これ以上、シャッキリと、堅めの飯には、お目にかかったことがない。

やはり、夢中で掻(か)っ込む。
どうしても、この、飯のうまい、うな重は、掻っ込む。
掻っ込みながら、自然に、笑顔になってくる。

むろん、蒲焼だって、うまい。
この親爺さんの前では、四の五のいう言葉もない。

帰りがけ、

「焼鳥、うまかっただろ?」

「はい。タレかと思いましたよ」

「あたりめぇだろ。タレだと、タレの味で誤魔化せんだろ!」

だ、そうである。

ともあれ、うまかったし、元気になる。
やっぱり、この親爺さん、たまには顔を見に来なくてはいけない。
(頻繁には来れない。やはり、恐いから、、。)


地図


電話: 03-3844-0590

住所: 台東区雷門2-6-11





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