断腸亭料理日記2005

東上野一丁目

スタンドカレー・サカエヤ

6月11日(土)昼

(ちょっと、書き忘れ、一日戻り、である。)

お祭り最中であるが、昼飯である。
土曜日の町内神輿(みこし)の渡御(とぎょ)は、夕方からである。

鳥越祭りの土曜は、筆者の住むあたりでは、
北部八ヶ町の連合渡御、と、いい、
春日通りより北側の八ヶ町が集まって、お神輿を担ぐのである。

八ヶ町とは、三筋北、栄久、阿部川、北松山、南松山、
菊屋橋、永住、七軒、である。

ちなみに、すべて、旧町である。今はこれらの地名は存在しない。
しかし、町内会は立派に、存在しているのである。

昼、上野に自転車で、買い物に出る。

何を食べようか、、?

懸案であった、スタンドカレーのサカエヤ。
ここは、例の、旧町名でいえば、下谷の西町。
春日通りを挟んで、竹町の北である。

今いう、東上野一丁目。

春日通り沿い、大江戸線、新御徒町駅から
御徒町駅方向へしばらく行った右側である。

路麺と、スタンドカレー、なにか、一脈、通ずるものがある。

路麺も、店によっては、なぜこんな場所にあるのか?
飲食店の立地、と、いう意味では、妙なところにある店が少なくない。

このサカエヤも、春日通り沿いではあるが、
JRの御徒町駅からは、随分離れている。

近所である。何度も店の前は通っており、気に掛かっていた。

なにが、気に掛かったかと、いうと、
まず、店の前に張り出している、テントの屋根に
「待ち時間0分」と、書かれている。

スタンドカレーであれば、まあ、これは、当然であろう。
わざわざ、それを大書している、というのは、
なにか、気に掛かるものがある。

そして、もっと、妙、なところは、「けんちん汁」である。

文章は「けんちん汁始めました。」で、あったか。
外からわかるように、貼り紙が出ている。

カレーに「けんちん汁」。これは、妙ではなかろうか。

もちろん、人間の好みである。人それぞれ。
カレーには、是非ともけんちん汁でなくてはならない、と、
いう人がいても、なんら、問題はない。

しかし、筆者には、いささか、妙、な取り合わせに、
感じられていたのであった。
味の濃いカレーと、和風でどちらかといえば、穏やかな味の
けんちん汁は、違和感が、ないであろうか。

ともあれ、一度、覗いてみなくてはならない、と、
思っており、入ってみたのであった。

12時台。近所でなにかの工事をされている作業員の方々であろう、
団体で入られており、カウンターのみの店内は満席に近い。

詰めていただき、かろうじて、座れる。

スタンドカレーでは、筆者は、神楽坂のメトロ
の例もあり、好物のカツカレーに決めている。

また、この季節になると、謎のけんちん汁は、
もうやっていないようである。
(代わりに、わかめスープがある。
これであれば、まだ“わかる”ような気がするのである。)

揚げる時間がかかる、ためか、メトロ同様に、
「5分ほど、かかります。」と、いう。
メトロほどではないが、このご主人も、やはり、特徴がある。
物腰が柔らかく、表情も柔和な感じである。

待つ。

と、どうでもよい、話であるが、
カウンターに座ってから、ずっと気になっていたことがあった。

筆者の隣に座っている、お客さん、どこかで見たことがある、
それも、ついさっき、見た、ような、、、
はて、誰であったか・・・?、と。

気が付いた!!

上野へ買い物に出る直前に、拙亭のごく近所にある、
歯科医へ行っていたのであるが、その、先生、であったのである。
マスクをし、白衣を着ている人が、カジュアルな格好をしており
まったく別の環境で見ると、わからない、ものである。

この先生、筆者と同年代くらいであろうと、思われるのであるが、
白髪のうえに、だいぶ薄くなっておられる。
つまり、頭に特徴があり、それで、わかったのであった。

1時間ほど前に顔を合わせており、筆者の方は、着ているものも
かわっていない。どう考えても、先生の方が先に、気が付いていると
思われるが、まあ、こうした場合、声をかけないのが
町の掟、というものであろう。
と、いうことで、筆者も、気が付かないふりをすることにした。

ご近所であれば、こういうことも、発生するのである。

さて、カツカレー。


写真では、ちょっと、縮尺がわからぬかも知れぬが、
かなり、盛りが、多いように思われる。
カツの揚げ油はラードではなく、サラダオイルかと思われる。
また、肉は脂身も少ない。
けんちん汁といい、このあたりの感じといい、
食べる側の身体を、考えられているのであろうか。

味は、そこそこスパイシーであるが、
まあ、全体としては普通である。
特段、可もなく不可もない。

10時頃に、例によって、千束の路麺・ねぎどんで、おろしそばと
桜海老かき揚げを食べているせいだろう。
“わしわし”、食べるが、なかなか、減らない。

水をガブガブ飲んでいると、柔和なご店主が、すぐさま、
ついでくれる。

何とか完食。

看板ほど、妙な、印象は当然ない。
居心地のよい店である。

サカエヤHP

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