断腸亭料理日記2005

瓜もみ・あさりぬた

5月27日(金)夜

またまた、読者の方から、メッセージをいただいた。
有難い限りである。

先日の、鯵煮びたし、で、あるが、
鯵煮びたしと、鰯ぬたを作られた、とのこと。

煮びたしもよいが、
ぬた、と、いうもの、なかなか、うまいものである。
筆者、好物といってもよかろう。

メッセージをいただき、食べたくなり、いても立ってもいられなくなり
作ることにする。

鬼平犯科帳には、前回の鯵煮びたし同様、密偵、大滝の五郎蔵の好物として
田螺(たにし)のぬた、が登場する。
(池波正太郎・鬼平犯科帳12巻「見張りの見張り」文春文庫)

昨年、鯵煮びたしと、セットで鰯ぬたを作っていたのであった。

田螺ぬたは、やはり、池波先生の好物であった、と、想像される。

田螺自体は、そうそう、どこでも、売っているものでもない。
近所では、御徒町の吉池であれば、必ず、とは言わないが、
たまには、見かける。
好きな人はそこがよいのであろうが、泥臭い。

無難なところで、あさり、にする。
帰り道、牛込神楽坂駅そばのスーパーを覗くと、生の剥き身と、
ボイルの冷凍もの、があり、多少悩む。生は¥300。

生の方が、よいに決まっているか、、、?!。
生を買う。

それから、やはり、鯵煮びたしと、共に五郎蔵が食べる、
瓜もみ、も作ろう。

瓜は、一個¥100を越える。まだ、少し、時期が早いのか、、。

考えてみると、瓜という野菜、東京では、今時食べる人も
そう、多くはなかろう。
筆者も、子供の頃から食べていた、というものではない。
家庭で、粕漬け(奈良漬)などがよく漬けられる地域では
時期になれば、安く、大量に売り場に並ぶ。

瓜もみ、も、池波先生の好物であった。
鬼平では、先の、密偵・五郎蔵以外にも、筆頭与力・佐嶋が
夜、鬼平の奥方、久栄に出された、好物の瓜もみを泣きながら喰う、
というような、シーンもある。

(鯵煮びたし、田螺ぬた、瓜もみ、どれも、平蔵ではなく、
五郎蔵や、佐嶋に食べさせているのも、おもしろい。)

紫蘇の葉(大葉)も調達。

あさりぬたと、瓜もみだけでは、いかにもさびしい。
またまた、続いているが、鯵。
三枚におろしたものが、半額になっているので、蒲焼にしよう。

帰宅。

瓜は、縦に半分に切り、種の部分をスプーンでこそげ取る。
1mm以下、薄く切るような場合もあるようであるが、
少し筆者は、食感があった方がよいと、思い、いつも
5mm程に切っている。

塩もみ。

30分ほど置く。

さて、ぬた。
今日は、ちょっと、実験的であるが、ねぎは、湯がくのではなく、
湯をかけるだけ、にしてみようと思う。
湯に入れてしまうと、どうしても、あっという間に、火が通り
水が出てしまう。
水が出た、ぬた、ほど、まずいものはない。

あさりも、せっかく、生の剥き身を買ったので、加熱のし過ぎは
だいなし、であろう。

湯を多めに沸かし、
あさりと共に、ねぎ(長ねぎを使用)を笊に乗せ、湯を上からかける。

ふむふむ、若干、生、っぽいがこれでも、よいか。

酢味噌。
白味噌(西京味噌)、赤味噌(八丁味噌)の合わせ、砂糖、酢。
ぬたには、よく、白味噌のみの、からし酢味噌を使うこともあるが、
東京人だからであろうか、筆者は、赤味噌のコクがあった方が
好みである。

鯵は、フライパンに、しょうゆ、酒、砂糖で、煮詰めながら焼く。
簡単である。

瓜もみは、水がでているので、ペーパータオルでふき取り
(やはり、食感が欲しいので、絞らない。)
刻んだ大葉を混ぜ込む。
(白胡麻をふりたかったが、切れており、これは、諦める。)

終了。


やはり、冷(ひや)の菊正を茶碗で、である。

ぬたは、ねぎも、あさりも、ほぼ半生。
好みもあろうが、筆者は、これでも充分であろうかと思う。
ねぎはシャキシャキとした食感が残り、あさりも、柔らかく、よい。
味噌の加減も満足。
(自分の好みに味に合わせており、これは、あたり前である。)

ぬたというもの、ありふれたつまみであるが、
あらためて、うまいものであると、思う。
ことに、日本酒に合うこと、このうえない。

また、濃い味の酢味噌には、辛口の酒、である。

瓜もみは、大葉が入ると、少し、乙な感じなる。
鯵の蒲焼もまあまあ。

結局、ぬたは一人で、ねぎ、二本分を食べてしまった。
うまかった。

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