断腸亭料理日記2004

池之端藪・鴨ざる

7月19日(月)海の日・振替休日第二食
エアコンは極力付けないようにするが、暑いものは暑い。

妻は、昼前、友人宅へ出掛ける。

こう暑くては、鴨ざるを食いに行こう。
藪。並木ではない、池之端である。
(間違っても、上野でもない。)

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自転車で池之端まで。
途中、御徒町を抜けるが、相変わらず、御徒町は
アジアである。暑いと、なお更、アジアである。

昼下がり、客も少なく、よい。

冷酒(ひやざけ)お銚子で。
それから、すいとろ。

(毎度思うのだが、冷酒とはレイシュではなく、ヒヤザケである。
ヒヤザケとは、常温のことである。
「ヒヤで。」と頼むと、池之端藪でさえ、「レイシュですか?」
と聞かれる。
レイシュであれば、レイシュと言う。)

すいとろとは、つけとろそばの、そばなしである。
つまみである。

汗が流れる。おしぼりで拭く。扇子であおぐ。

お銚子と、そばみそが運ばれる。
ここは、菊正のはずであるが、家で飲むものよりも
心なしか、うまい。

すいとろ。
青海苔が散らされている。

のども渇いている上に、腹も減っている。
酒も、とろろも、ガブガブ呑んでしまう。

さて、鴨ざるを頼む。
あらかじめ、先に頼んだのだが、時間をずらしたいのであれば、
別に、頼んでくれ、と言われた。
(またまた、舐められたか、、。)

(ついでだが、東京では普通、ざるそばを鴨のつけ汁で食べるものは
鴨せいろ、と、いう店が多い。しかし、ここでは「鴨ざる」という。
筆者は、ここで、何度も、言い直させられた。
今日、初老の夫婦が「鴨せいろ」と注文していたものは、
言い直させていない。ここでぼやいても仕方がないが、
筆者、どうしても若く見られる。恥ずかしながら今年、男の本厄である。
まあ、己の不徳のいたすところなのであろう、、が、、。)

準備をしていたのか?すぐに運ばれる。

ざるそばと、つけ汁に浮かんだ、鴨と、ねぎ。
これを見るだけで、もう、たまらないものがある。
この時を至福の時と言わずして、なんと言うのであろうか。

ねぎ。白い部分は、焼き目が入っている。
青い部分はそのまま。

それから、つくねだんご。
鴨肉。これも、焼き目が入っている。
だし用の、鴨の脂身。
また、ゆずが浮いている。

ねぎから食べる。
焼き目を入れるのは、あま味を出すため。
うまい。

つくね。歯ごたえがよい。

青ねぎもうまい。

さて、鴨肉。
焼き目が入っているのだが、みごとに、中はレア。

つまり、ここは、一緒に、煮ていないのである。
前にも書いたが、鴨肉の味を楽しむには、火を通し過ぎてはいけない。
硬くなってしまう。鴨肉はレア。鴨の血の味を楽しむものである。

鴨肉を楽しんだ後、つけ汁に七味をかけて、やっとそばにかかる。

だし用に入れ、煮込んだ脂身から出た、脂の浮いたつけ汁。
これが、たまらない。

最後に、そば湯で割って、つけ汁を飲み干す。

まさしく、堪能。

勘定は、席で。

おいしかったです。

池之端藪

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