断腸亭料理日記2004

湯島・天神下・鮨・一心

7月29日(木)夜
さて、昨日は御徒町界隈で新規開拓。
今日ももう少し、この辺を開拓。

メディア露出している店でも、近所のくせに、
まだまだこのあたりは筆者自身、手が付いていないところも多い。

寿司である。
この界隈も、寿司屋は多い。

一心。

合羽橋の太助と、なにか、セットのようであるが、
当然、無関係。

ここも、説明しずらい場所にある。
春日通り沿いに湯島方向へ行き、パーキングのある路地を
右に入り、左側。

寿司屋らしい寿司屋を想像していたが、
木の引き戸ではなく、おしゃれなドア。
粋な麻暖簾がかかっている。

かなり混んでいる。予約もなし。

「一人、、ですが、、?」
「どうぞ!」
カウンターに座れた。

座敷もいくつかあり、宴会で満席のようである。

場所柄か、カウンターは、同伴出勤の前の腹ごしらえ
女の子と、親爺、という、いかにも、の組み合わせも、いる。

また、店内はかなり、明るい。

柳橋・美家古(みやこ)鮨の分かれであるという。
カウンターの向こうは、ガラスの冷蔵ケースではなく、
一部、ガラスの部分はあるが、基本的には、ネタが見えない
木製の箱に入っている。

筆者、柳橋・美家古鮨には行ったことがないが
浅草・弁天山・美家古鮨の経験はある。
冷蔵庫のできる前の、
いわゆる、古い江戸前の形を、そのまま、続けている。
ネタはすべて、仕事がしてあり、今の寿司屋のように
その場で切って握る、ということはありえない。
マグロ赤身は当然、ヅケ、白身は昆布締め、貝も、酢締めである。
煮物も多く、煮穴子は当然とし、煮蛤、蛸も味付きで煮る。

さて。

ビール。ここは、モルツ。

光物をつまみで頼む。

生姜ではなく、わさびが添えられる。

さんま。筆者は今年、初である。
生臭くなく、脂もあり、うまい。

鰯。まあまあ。

新子。
これは、太助の方がうまかった。

さば。まあまあ。

このあたりは、普通の寿司屋である。

握りへ。

マグロ(赤身)、いか。

おお、やはり。
ハケで、しょうゆ

(?ただのしょうゆではないと思われる。たしか、しょうゆに酒を合わせ、煮切った
(沸騰させ、アルコールを飛ばす)ものではなかったかと思う。未確認。)

を塗って出される。

これは、昔の形である。

マグロ赤身は、ヅケではないと思われるが
わさびが利いて、塗られたタレと合わさり、かなりうまい。

いか。白いか。あま味と、歯ごたえが抜群。
これも、タレとの相性がよい。

穴子、煮蛤、と思ったが、煮はまは、切れていた。鯵。

鯵は、生か締めたものか、どちらがいいか、聞かれた。
生で。

鯵。ネタ上にしょうが。光物好きの筆者にはこたえられない。

穴子。当然、煮穴子であるが、太助のように、焼いてはいない。
冷たいまま出されるが、柔らかさは、格別。

鰈(かれい)、たこ。
鰈は、ほんのり、柚子の香りが付けられている。
細かい仕事である。

たこ。
佐島(三浦半島)のもの。これは、これは、、、。
かなりうまい。唸っていると、
「わさび、多かったですか?」と聞かれた。
「いや、うまかった。」

かなり柔らかいため、煮たものかと聞くと、少し長めであるが、
茹でただけ、という。佐島のものは茹でただけでも柔らかく、
かといって、皮が煮崩れる、ということも、ないのだと、いう。
近所であるが、寛八のたこは、煮たもの。これも柔らかい。
江戸前の仕事を標榜するところは、
やはり、たこは、看板である。

このへんで、満腹。

太助とはまた違って、男っぽい威勢もあり
昔ながらの仕事も、うまい。

握りであれば、文句はない。

弁天山・美家古は、完全に過去のものを守る、という形であろうが
こちらは、それを、今にアレンジしているような姿勢が感じられる。
まあ、理屈はともかく、うまいことは、間違いない。

地図

\9000(ビール2本込み)

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