断腸亭料理日記2004

酒盗の茶漬け

6月16日(水)第4食(?)
またまた、上野カミヤで軽く呑んで帰宅。

仕上げに、茶漬けでも喰おう。

なにがよかろう。

筆者は、茶漬けといえば、酒盗に留めを刺す。

酒盗。しゅとう。酒を盗むと書く。
盗んでも酒が呑みたくなるという、つまみである。

鰹の塩辛の別名である。

塩辛とは本来、魚を内臓ごと塩漬けにし、
発酵させたものである。

発酵が進めば、液体となり、ハタハタから作る、
秋田のショッツルや、東南アジアのニョクマムに
代表される、調味料、魚醤(ぎょしょう)になる。

魚の発酵ものの特徴は、“くさい”こと。
くさやなど、鼻が曲がるほどの匂いのものもある。

酒盗も妻などに言わせると、くさくてダメだというが、
この程度のもの、筆者はなんでもない。

これがうまいのである。

塩辛も、魚醤もくさやも、筆者は好物である。

しかし、中でも、酒盗である。

なにを隠そう、子供の頃から好きだった。
かなり変な子供ではある。

もちろん、その頃は酒は呑まない。
これで、飯を食う。

小学生の頃、臨海学校かなにかで、伊豆へ行った折に、
筆者は、みやげに、酒盗を買って帰ってきた。
これを見た、酒呑みであった祖父が喜んでいたのを憶えている。

また、今は比較的、高級な珍味になってきている。

以前、といっても、さほど昔ではない、15〜6年前でも
西伊豆の小さな漁港などへ行けば、手作りの鰹の塩辛が
バス停の前のなんでも屋さんなどで、大きな瓶に入って、
¥300程度であったと思う。
鰹の内臓など、鰹節を作る際に出る、余りものであろう。

さて、鰹の塩辛の茶漬けである。
正確にいうと、湯漬けである。

冷蔵庫の冷や飯を、どんぶりによそい、
湯をかけ、一度、レンジ加熱。
数分置き、飯を蒸らす。

一度湯を捨て、再度、湯を入れる。
飯がふっくら戻り、また、一度湯切りをすることにより
きれいな湯で、湯漬けが食える。

ここに、ちょちょいと、鰹の塩辛をのせる。
白ごま、海苔、三つ葉などをかけてもよかろうが
このまままでいい。

よく混ぜで、掻っ込む。

この味である。

幸せである。

過去、こんなものも作っていました
鰹の塩辛のガーリックトースト

断腸亭料理日記トップ | 2004日記リスト1 | 2004日記リスト2 | 2004日記リスト3 | BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2004