断腸亭料理日記2006
12月19日(火)夜
夜、少し遅くなった。
そろそろ、暮れも押し詰まってきたが、
またまた、仕事が少し、立て込んできた。
なにを食おうか、考える。
先週、おでんを煮たのであるが、それがまだ残っている。
今日は最高気温が東京でも9℃。寒いし、おでんだ。
先週のおでんは、スーパーで詰め合わせで安くなっていた
練り物に、がんもどき、やら、好きな、すじ、やら
里芋なんぞを少し足して、煮ておいた。
これに、大根を足そう。
スーパーに寄り、余らせても仕方がないので、
半分に切ったものを買う。¥80。
21時過ぎ、帰宅。
遅い時間でもあり、煮込む時間もある。
早く食べたい。
スーツも脱がずにそのままの格好で、大根を切る。
面倒なので、面取りなどはしない。
やはり、短時間で煮えるので、圧力鍋。
プラスチック容器に入れて冷蔵庫にしまってあった
おでんを取り出し、つゆだけを漉し取り、圧力鍋に入れる。
これだけでは少ないので、水、しょうゆ、酒を足す。
大根を入れ、ひたひたになるように、さらに水を加え調整する。
ふたを閉め、点火。加圧。
煮立ち、圧が十分に上がったところで、弱火。
(ふたの上に付いている安全弁というのであろうか、
既定の圧になると、ピー、っと音がし、抜けるようになっている。
これが目安である。)
ここから、弱火で、5分ほどでいいだろう。
この間に、着替え。
火を止め、圧が下がるのを待つ。
圧力鍋は、この時間も、調理時間なのである。
加圧の時間が短ければ、それだけ早く圧が下がる。
その間に、メールなどチェックする。
と、読者の方からのメール。
それも海外の方。
先月取材があった、例の、NHKの海外向け放送、
ウイークエンドジャパノロジー。
に筆者が出ているのを見た、ということで
メールを下さった方がいたのである。
NHKのwebで、番組表を見て、実は、知っていた。
先週、15日、海外向けに、当の「鍋」の回が
オンエアされていたようなのである。
これを知ったのは、16日。
ここで、ぼやいても仕方がないが、NHKの担当ディレクター氏は
できたらすぐに、DVDに焼いて、送ってくれる、だの、
放送予定も教えてくれる、だのと、いっておきながら、
まったくの、なしの礫(つぶて)。
筆者の姿を、使っているのか、いないのか、
どんな風になったのかなど、まったくわからない。
材料費の請求書とともに、今週の月曜に、どうなっているのか、
教えてほしい旨、手紙を送ったところであった。
このメールを下さった読者の方によると、
確かに、筆者は出ていたらしい。
なかみはどんなものだったので、あろうか。
日本での再放送はいつであろうか。
ともあれ、この方は、海外でも南の方に住んでおられ、
10数年、日本へは帰られていないとのこと。
四季のある日本、むろん食い物にも季節がある。
そんなものを拙文から読まれている、と書いて下さった。
まったくありがたい限りであるし、
そういうところで、そういうふうな読まれ方もあるのだ、
ということを、あらためて認識した次第である。
しかし、まったく、その通り。
その季節、季節、旬のもの、それも、珍しいものではなく、
池波作品に出てくるような、江戸からある普通の東京の
食い物を食べる。これが、東京人の正しい生活、と
いうものではなかろうか。
従って、寒い日は、おでん、なのである。
そんなこんなで、10分ほど。
ふたを開けてみる。
おお!、なかなかよく煮えているではないか。
さすがに、圧力鍋の威力である。
他の具も鍋に入れ、温め直す。
そして、お酒、お燗。
今日は、火鉢の時間はない。
鉄瓶をガスにかけ、熱くし、お銚子を入れ、燗をつける。
おでんを取る。
大根、里芋、すじ、うずらの玉子入りの揚げ。
大根がなかなかいい色。
味も染みている。
やはり、東京のおでんは、このくらいの色でなくてはならない。
大判のがんもどきも食べて、満足。
こうして、おでんのつゆを取っておけば、
つぎたし、つぎたし、次回も圧力鍋であれば、20分程度で
また、うまいおでんができる。
寒い日は、おでんに燗酒、で、ある。
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