断腸亭料理日記2005
9月24日(土)第一食
筆者、「台東区に旧町名を復活させる会会長」に加えて、
「東京・鴨せいろ、ご意見番」を名乗ろうか。
先日、読者の方から、メールをいただいた。
毎度の事ながら、こうしてメールをいただくのは、
ありがたい限りである。
表記、渋谷の宮益坂下の平野屋、と、いうそば屋の
鴨せいろ、うまいので、是非食べてみてほしい、
鴨ささめうどん、と、いうのも、うまい、と、いう。
意見を聞きたい、ともお書きになっていた。
意見などという、大層なものではないが、
名乗るのは勝手である。ひとまず、
「東京・鴨せいろご意見番」を名乗ることとしよう。
東京、と付けたのは、東京以外で鴨せいろを食べたことがないから、
という、ことである。
やっと涼しくなり、鴨せいろの季節、で、ある。
この情報をいただいて、無性に、食いたくなった。
ここのホームページ(文末)も書き添えられており、
ページを見ると、「鴨せいろのおいしい店」と、
店名に肩書きを付けている。
“ご意見番”かどうかはともかく、鴨せいろ好き、を自認する
筆者としては、一度食べてみなければなるまい。
渋谷というと、筆者の住む浅草からは、
東京の対角にあり、随分と、遠い。
しかし、むろんのこと行ったことがないわけではないし、
むしろ、よく知っている。
結婚してすぐ、住んだのが、井の頭線の明大前であった関係で、
その当時、渋谷は、うろうろしていた街、であった。
しかし、その後、葛飾、浅草と引越し、ここ10年以上
仕事以外では、ほとんど足を向けない街になっていた。
これは、渋谷という街が嫌いになった、ということではなく、
ただ単に、遠い、と、いうことだけである。
雨模様。
車で出掛ける。
清洲橋通りから、内堀通りへ出て、北の丸を抜け、
三宅坂から、青山通り、渋谷、である。
宮益坂は、青山通りから渋谷駅の方に下っている坂である。
坂を下って、明治通り、まっすぐ行くとガードをくぐって、
ハチ公前から、道玄坂へ続いている。
ちょうど、その宮益坂下、明治通りとの交差点
坂上に向かって左上の角。
ビルの一階、である。
こんなところに、こんな店が、あったのか、
という印象である。店先に「鴨せいろ」の大きな看板がある。
入り口はさほどに大きくないが、中は広い。
感じは新しくもなく、古くもない。
間違っても趣味そば、ではない。
大きな町の普通のそば屋、そんな感じである。
先に食券を買う。
連休中日(なかび)の土曜日、渋谷の日本そば屋の昼下がり。
年配の方が、一人で呑んでいたり、
近くのOL風の二人組みのお昼だったり、
ぽつり、ぽつり。
ひとまず、鴨せいろそば。¥1000。
つゆ。量は多目。鴨肉は、細かく切ったもの。
なぜか、細かく切った、かまぼこも入っている。
そして、三つ葉。
そばを取って、つゆに付けて、たぐる。
つゆの濃さは、満足である。
何度も書いているが、ある一定以上の濃さがなければ
筆者の場合は、だめ、である。こればかりは、しかたがない。
東京の濃い味で育った味覚である。出汁の味がわからなくて
下品であると、いわれようが、こればかりは、譲れない。
東京の、一部の、かも知れぬが、食文化である。放っておいてほしい。
(くどいようだが、どうしても書きたくなってしまうのである。
ご愛読の諸兄には、恐縮である。)
ちょっと、そばが違う、、、ような気がする。
食感、コシ?、香り、であろうか。
明確に指摘できないが、なにか、もう一つ。
しかし、鴨せいろは、なんといっても、つゆ、である。
筆者のうまい、と、思うのは次の二店。
思うに、突き詰めると、肉はなくともよいのである。
脂とだしが出ていれば、それでよい。
なまじ、スライスの肉などを入れて
堅くなるまで煮込む方が、いけない。
その点、ここの鴨のつゆは、細かく切った脂もある肉で、
だしを取る、と、いうことに専念している。
充分、うまい。
さて、こうなると、ささめうどん、の方も食べてみなくてはいけない。
+¥300で、そばでもうどんでも、
おかわりができるのは、とてもよい。
見た目、うどんというよりも、ちょっと太い冷麦という印象。
お、これは、これは、、。うまいではないか。
うどん(系)の、鴨せいろは、初めてであるが、
この細い麺と、つゆの絡みがとてもよく、また、
食感、風味、のどごし、絶妙、である。
存分にうまい。
そば湯で割って、つゆも全部飲み干す。
池之端藪や、おざわ、と比べるべきものではないだろう。
そもそも、値段が違う。
池之端藪の、鴨ざるは、¥1600である。
¥1000もしくは、¥1300で、この量と
この味の鴨せいろ、特に、ささめうどん、◎である。
「東京・鴨せいろご意見番」へ、鴨せいろ情報を!
『募集』
「断腸亭に食わせたい店、もの」、随時、大募集。
あなたのお勧め、ご紹介いただければ、うれしく思います。
その他、ご感想、ファンメール(?)も是非!!
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