断腸亭料理日記2005
7月24日(日)夜
古今亭志ん生師が、なにかの枕で、地名の話しから、
それぞれ、縁のあるところに、縁のある地名が付く、
と、いうようなことを言っていた。
三筋(みすじ)のそばには、三味線堀、で、ある、と、いうのである。
三味線は、弦が三本あるため、みすじ、と、いう言い方もした。
三味線堀は、今はもう、むろんのこと、ない。
蔵前(隅田川)から掘られ、現、佐竹商店街のあたりまでの堀割であった。
三味線堀、とは、なかなか、粋な名前である。
由来は、佐竹候屋敷あたりが舟溜(ふなだまり)として少し、
大きくなっており、その形が、三味線の形に似ていたから、と、いう。
この三味線堀と、三筋とは、実際には、むろん、なんの関係もない。
三筋の方は、文字通り、三本の細い路地があったから、と、
いう、たいして、おもしろくもない由来である。
由来はともかく、三筋と三味線掘、粋な縁として、せめて、
記憶の中だけにでも、取って置きたいような気もする。
そんな、三筋の路地にある、天ぷらのみやこし。
前回は三月、小柱のかき揚げが食べたくて来たのであった。
今日も、¥3000のコースで。
車海老と、その頭。
いか。
これはうまい。柔らかく、かみ切ると、半生の切り口から、
ほんわりと、湯気が上がる。
きす。
子鮎。
これは、今日の目玉であろう。
長さ10cmほどの子鮎。旬のもの。
少し前に、合羽橋の太助寿司で塩焼きを食べた。
小さいため、パクリと一口で食べる。
塩である。
はらわたがちょっと苦いが、乙なものである。
穴子。
金属の揚げ箸で、パシッっと、二つに切ってくれるのが気持ちがいい。
これも、とてもほっこりと、揚がっている。
おろしをたっぷり入れた、天つゆに、つけて、
むさぼり食う。
穴子は、あたりまえであるが、天つゆ、以外ない。
それも、たっぷりと、つけたい。
うまい、うまい。
野菜天。
銀杏。
小玉葱。
アスパラ。
蓮根。
野菜はどれも、あまい。
これは、どれも、肉厚で、ほどよく熱が入ると、あまみが出てくる
種を選んでいるせいであろう。
なかでも、小玉葱。半分に切られて揚げられている。
口に入れ、かみしめると、玉葱がほぐれ、ほんわかとした温かさと
あまみが口に広がり、もうたまらないうまさ、である。
最後は、いつもの小柱かき揚げ、小天丼。
(天茶も選べる。)
しじみの赤だし、お新香。
小柱は、偉大である。
先週、池之端藪で、つまみとして食べたが、
かき揚げでも、もちろん、うまい。
これぞ、東京の味であろう。
近所でうまい、江戸前の天ぷら。
そして、この値段。
やはり、幸せである。
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