断腸亭料理日記2005

岩本町・四川家常菜・巴蜀

3月23日(水)
なにか、急に、それも、無性に、麻婆豆腐が食べたくなった。

先日、担々麺を自作して、
改めて、中華、それも四川料理の難しさがわかった。
(どうでもよいが、担々麺なのか、坦々麺なのか、
どちらが、正しいのであろうか。
調べると、どちらも、使うようであるが、、、。)

調味料の種類が多く、また、完成形、本当の味を知らない、
もしくは、本当の味にすると、食べられない(?)。

これ、考えてみると、インドカレーも同様であった。
筆者が、インドカレーを作り始めたのは、大学1年、18歳の頃であった。
大学の図書館で、レシピを調べ、作ってみた。

まったく、最初は、食べられたものではなかった。
試行錯誤、レシピも自分で変えながら、食えるものになっていった。
それと比べれば、今、初めて作っても、担々麺、そこそこ、食えるのは
進歩、であるか・・・。

ともあれ、やはり、何度も作ること、これしかなかろう。
また、本格から、街の中華、まで、食べて回るもの必要であろう。

そこで、今日は、本格。

東京で、本格・四川の麻婆豆腐といえば、今、いくつあるのか。
かの、鉄人・陳健一氏の、赤坂四川飯店と、その支店。
(陳健一麻婆豆腐店というのも展開している。)
一度だけ食べに行ったことがあった。
ここは、確かに、麻婆豆腐だけは、違っていた。
どちらかというと、黒っぽく、また、刺激も強かったように記憶している。
または、陳健民氏の弟子の店、根津・天外天、、など。
あるいは、最近、本場、成都、から鳴り物入りで上陸した
元祖「陳麻婆豆腐」(お台場他)、あたりであろう。
(もちろん、昔はいざ知らず、今、筆者の知らない、四川料理店は
この他にも、この東京には、たくさんあろう。)

それぞれ、評判も色々聞く。

そこで、ここ、四川家常菜・巴蜀(はしょく)。
(ちなみに、巴蜀の「蜀」は、かの、三国志の魏・呉・蜀の、
「蜀」の国のことで、四川地方の古い呼び名である、という。)
近所であるが、ちょっとした動線の違いで、行けなかった店。

昨年の開店で、料理人も日本の方であるが、本格と評判

雨風のなか、オフィスから都営新宿線経由で向かう。

靖国通り沿い。ビルの1階である。
吹き抜けになった店内は開放感がある。
(というよりも、天気と季節のせいもあろうが、「寒い」感じもある。)
女性のグループと、中年の男女カップル、筆者のような、男性一人。

棒棒鶏と水餃子に生ビールがついた晩酌セット、のようなもの、
と、麻婆豆腐を頼む。

余談であるが、この、晩酌セット、前にも名古屋時代、書いていた
(小市民的な感じで、名古屋的、などと、書いている。
名古屋的かどうかはともかく、お父さんのささやかな楽しみ、
予算は同じであっても、先日来行っている、親爺の、立ち呑みとは、
かなり方向が違う。

筆者、やはり、ダメな親爺になりたい、のかも知れない。
「ささやか」よりは、「ダメな感じ」(ダメ親爺ではない。)
に居心地のよさを感じてしまうのである。)

閑話休題。

棒棒鶏は花椒の風味が利き(噂の、香辣醤と荳辨醤?)新鮮。
水餃子。なかなか、ジューシーであるが、にんにくの風味が強い。
(中国黒酢が出てる。)
どちらも、うまい。

ここで、料理人の方が出てこられ、
「これ、しょうが、で作ってみたのですが」
棒棒鶏の、しょうが、バージョンの試作のようであった。
油(サラダオイル?)に漬けた、おろししょうがを鶏肉にまぶしただけ、
のように見えたが、かなり、さっぱりしていてうまかった。

さて、麻婆豆腐。
成都麻婆豆腐、と、メニューには出ていた。
(成都とは、いうまでもなく、四川省の省都。)

運ばれる。
やはり、ラー油はぶ厚く浮いているが、ベースの部分は黒っぽい。
ただし、赤坂四川飯店のものよりは、少ない。
比率とすれば、ラー油部分が8割はあろう。

一口食べると、

辣と、麻、と、いうのであろうか。
刺すような辛さと、痺れる辛さ、と香り。

強烈である。

汗がだくだくと、流れるが、爽快にうまい。

よく味わうと、黒いベース部分は随分甘い。
甜麺醤なのであろう。トウチはどのくらい入っているのか
あまり、感じられなかった。

ベースの味と、ラー油の量的なバランスが、一つはポイントであろう。
自作する場合、もっと、ベースは多めにしてしまう。

7〜8年前であるが、北京の四川料理店で食べたことがあったが
そこのものも、同じようなバランスであった。
(当時、登小平氏が健在で、「四川出身の彼がいるから、
北京は四川料理もおいしいんだよ。」と、
現地に住む友人が言っていた。)

一品料理を一人で完食。
途中、汗を流しながら、お茶を頼んだら、
サービスで、ご飯も一椀いただいた。

どかーん、と、打ちのめされる、麻婆豆腐であった。

うまかった。


地図



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