断腸亭料理日記

肉巻き高野豆腐

2月28日(日)第2食 その1
先日、NHKの「王様の食卓」で高野豆腐をやっていた。

高野豆腐はこっち(名古屋)へ来てから目にする機会が増えた。

高野豆腐はもちろん食べたことはあるが、自分で作ったことはなく
あまりうまい物である、という印象もない。
高野豆腐の大手メーカーは数社あるがいずれも長野県。
長野県は名古屋の営業テリトリーでもあり、
これらメーカーは弊社有力得意先でもある。
なにを隠そう、筆者はこうした食品メーカーを中心とした
得意先のマーケティングサポートを仕事としている。
そのため、高野豆腐について仕事として考える機会が増えたのである。

なぜ、うまいという印象がないかというと脂っけがまったくない。
同じ様なものながら、がんもどきは好物と言ってもいい。
大きなものをそのまま出汁もとらず(がんもどき自体から味、油が出る)
しょうゆと酒だけで濃く、煮付けたものなどは冬の作り置きのつまみとしては御の字。

「王様の」ではフレンチのシェフが高野豆腐を使って、ということであったが
なんのことはない、やはり和風の出汁で煮含めたものであった。

しかし、まあ、取りあえず作って食べてみよう。

作る。
これがなんと前の晩からである。
高野豆腐は水に浸けもどす。

出汁を取る。昆布、削り節。
昆布は水から30分以上漬け、中火で沸騰する前に引き揚げ、沸騰したところに削り節を。
しょうゆ、みりん、酒、砂糖で味を付ける。
もどした高野豆腐に出汁を可能な限り含ませるため、固く絞り、できるだけ水気を切る。
肉を巻くため、一枚の高野豆腐を中央だけ残し包丁を入れ、面積として2倍の大きさにする。
これを出汁に入れ、一晩。

さて、一晩たった。
ひき肉(合挽き)には塩胡椒で味をつけて
出汁を含ませた高野豆腐で巻き、開かないよう、楊枝を打って止める。
再び出汁に戻し、灰汁を取りながら煮る。
出汁は片栗粉を入れとろみをつける。

食す。
高野豆腐である。間違いなく。

出汁はちゃんと取ったし一晩置いた。出汁はうまい。
まあ、脂っ気のない分、挽肉が救っているが
高野豆腐は高野豆腐である。

「王様の食卓」ではジュディーオングがうまい、うまいと食べていたが
今までの印象はまったく変わらない。
むしろ今回のものは大きい分、食べずらい。
一口大に切って、挽肉あんかけ、のようなものにしたらどうか。
好きな人は、この食感がいいのだろう。
しかし、まあ私は多分もう作らないだろう。

これはだめだ。売れないよ。
 
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