断腸亭料理日記2024
4640号
9月11日(水)〜
引き続き、断腸亭の夏休み。
昨日は、那覇から、慶良間、座間味島にフェリーで
到着。
ホテルの方の迎えでホテル着。
ホテルは「サンメール座間味」というところ。
昨年の渡嘉敷島同様、座間味も民宿ばかりで、
ホテルらしいホテルはここともう一軒だけ。
チェックイン。
部屋に入って、一休み。
朝飯をコンビニで昨日買ったが、食べていなかったので
食べる。
去年も食べたが、沖縄ローソンに売っているカップの
ゆで麺の沖縄そば。
これ、昨年よりパワーアップ。
前回は具なしの“素”沖縄そばであったが、
具の煮込みの豚肉付き。
味は付いており、お湯を入れるだけ。
紅しょうがが入っている。
沖縄そばというのは、こんなものでも、うまいものである。
もともと腰の強いゆで置き麺を使うので、
お湯を入れるだけでOKというこのカップ麺とは
とても相性がよい。東京のローソンでも
売り出してほしいくらいである。
ただ、なぜ紅しょうがを入れているのか。
沖縄そばには、見なくはないが、必ず入るというものでも
ないと思うのだが。
沖縄の人々は、豚骨ラーメン好きなのだと思う。
日清食品の豚骨の袋麺、うまかっちゃん、も東京では
見ないが、沖縄ではCMまでやっている。
豚骨ラーメンには、必ず紅しょうがを入れるが、
紅しょうが自体も沖縄の人々は好きなのか。
ともあれ。
ちょっと、近所の荒物やまで、買い物に出る。
ホテルにも近い座間味港前に神社というのか、
祠があった。
環境省の説明板もあった。
赤い鳥居。
扁額に、いびぬめい、と書かれている。。
海の神様のお宮、という説明がある。
海上安全という石碑も建っている。
説明板には
「このお宮はイビ宮(イビヌ宮またはイビヌメー)と
呼ばれ、海の神様が祀られています。集落の守り神であり、
催事も行われる島の大切な場所です。
祭事例
・航海安全と大漁を祈願する伝統行事である渡り船
(ながりぶに)(旧暦3月3日)の後祝い
・農作物の豊作や航海の安全、豊漁などを祈願する
儀式である、海御願(うみうがん)(旧暦8月18〜
20日頃)
旧暦8月の海御願では、イビ宮にお神酒や頭つきの魚、
ビンシー(箱型の祭具)を供え、神人たちがこの1年間の
感謝と今後の航海安全・大漁・五穀豊穣を祈願します。
集落の多くの住民は、イビ宮にお参りし、御願バーリーや
道ジュネーを行います。」
ハテ、なかなか難しい。
個々の祭りや儀礼はともかく、まず、昨年調べてわかった、
ここの赤い鳥居。渡嘉敷や竹富にも鳥居はあった。
本来ここは、沖縄の伝統的宗教施設であり、日本の神社
のものである鳥居は、なかったはず。
明治になり、日本国に完全に併合された形になった琉球国の
宗教施設には、鳥居を置くことがおそらく求められ、
今となっては、それが定着してしまっている、ということ
になるのであろう。
だが、やはり多少今も妙な印象は残るだろう。
同化政策ということだが、文化的にはひどいことを
したものである。
そして、いびぬめい、とはなにか。
これは、イビの(ぬ)前(めい)、ということらしい。
では、イビとはなにか。
昨年、わりに細かく書いたと思うので、今回は簡単に書こう。
昨年、渡嘉敷の阿波連集落の祠、イビガナシーを見た時に
書いたが、イビは大和語の石と考えてよいよう。
神の降り立つ依り代=石、と。
そして「イビ(石=依り代)の前」で、イビは、集落の
奥の山のどこかにあってそれを離れて拝する場所、遥拝所
(ようはいじょ)というような意味合いになるよう。
ちなみに阿波連のイビガナシーのガナシーは尊称。
ここで、戻ってしまったのだが、
私はまたわからなくなってしまった。
一般に、沖縄の祠は御嶽(うたき)と呼ばれている。
祀られているものは、祖霊であると説明される。
そして、昨年、渡嘉敷阿波連集落のイビガナシーを
考えたときに、祖霊神の御嶽とは違うものでは、と考えた。
それは、この近くの離島だが、場所によっては、御嶽と
イビガナシーが同時に存在している集落もあり、
また、阿波連の人々からも海の神様と理解されているので。
ここ座間味のイビネメイの説明板には、集落の守り神、
海の神様、と書かれている。
この説明板が学術(文化人類学?宗教学?)的な解釈、
考察に基づいているのか、集落でいわれていることを
書いただけなのかわからぬが、国で書いているものなので
まさかに、テキトウに書いているとも思えぬ。
ある程度、学術的解釈が下敷きはあるのであろう。
一方、昨年、阿波連で調べた際、イビガナシーは離島や、
本島でも海辺に発見できるというのはある程度わかった。
渡嘉敷阿波連と座間味とは距離的にも近い。
阿波連のイビガナシーの神本体と座間味のイビヌメイの
神本体は近しいものと考えてもよいのか。そんな考察も
出てくる。
祀られている本体が祖霊なのか、海の神なのか、あるいは
両方、さらには、既にそのどちらか区別することに
意味はなくなっている?、のか。
今回、ネット以外でこの周辺の研究、報告を新たに調べた
わけではない。琉球大学図書館か、沖縄県立図書館を
あたれば、もしかしたら、既に説明、解釈があることかも
しれぬ。
なんとなく釈然としないが、これ以上進めそうにないので、
今回の私の考察は、ここでお仕舞にしようか。
つづく
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