断腸亭料理日記2024
4580号
6月7日(金)夜
金曜日。
明日、明後日とお祭り。
鳥越祭、で、ある。
近隣の氏子町内では、神酒所ができたり、
神輿を納めるテントができたりし始めている。
午後、吉池に寄ってみる。
久しぶりに、以前からやっている、鰈、平目のソテー?、
ムニエルにしようかと考えた。
きてみると、鰈は、めいたがれい、というのが
あった。食べたことがあったろうか。
(去年食べていた。)
いつもは、真子鰈、あるいは、舌平目。
買ってみようか。
ん!。
小鮎もある。
一皿、480円。先日三筋の[みやこし]で食べた。
多少高いような気もするが、こんなところで、
手を打たないと、食べ逃すか。
両方購入。
夜。
両方食べようかと思ったが、さすがに多い、か。
鰈は、、、、お祭りがあるし、、、、冷凍庫に
突っ込んでおく。
と、いうわけで、小鮎だけにしよう。
琵琶湖産。
から揚げ。
鮎はぬめりがあるので、落とした方がよいか。
塩でもみ洗い。
すぐに取れるものである。
揚げ鍋に油を用意し、余熱をしておく。
水を切って、トレーに入れて、天ぷら粉をまぶす。
油温、180℃まで上げて、全部一気に投入。
よい色まで。
揚がったら、塩をふる。
多少多めに。
白い紙を敷いて、盛り付け。
めかぶも出す。
ビールを開けて、食べる。
もちろん、頭から。
ちょっとほろ苦い。
それが値打ち、で、あろう。
初夏の味覚。
6月8日(土)
さて、翌日。
鳥越祭の一日目。
私の住む、元浅草は、ずっと南にある鳥越神社のお祭り。
台東区というのは、どこもほぼ必ず、であろう、
お祭りがある。
きっと、日本中どこも?わからぬが、どこかの神社の
氏子になっているのだと思うが、必ずお祭りがある、
というところは、逆に珍しいのではなかろうか。
お祭りのない、あるいは行われない神社も多いだろう。
私自身も今まで住んできたところはどこもお祭りは、
なかった。
東京でさえ、山手へ行けばないところも多いと思う。
祭の単位は、この界隈は、旧町。旧町は今も機能している
町内会でもある。鳥越は町内会が“睦(むつみ)”という
神社の氏子組織とイコールになっている。
私の住むのは、七軒町。
左衛門橋通り、七軒町の入口に町名入りの高張提灯。
今年は、ここが日曜の神社の神輿、本社神輿渡御際、隣町、
永住からの受け渡し場所になっている。
隣の三社祭もそうだが、土曜日は、一日町会神輿の
渡御なのだが、鳥越は、基本夜祭といって、夕方から。
従って、この時刻、昼すぎは、どこの町でもまだ、
なにも始まっていない。
16時半から、七軒町は町内にある都立白鴎高校の和太鼓部
の皆さんが太鼓演奏をしてくれる。
また土曜は、白鴎生も担ぎ手として参加してくれる。
なんでも、単位になるらしい。
17時。いよいよ担ぎ始め。
町会揃いの半纏(はんてん)を着ている。
台に立っているのが、睦の代表の方。
睦の役員さんは、半纏ではなく、全町睦揃いの着物。
そう、東京の祭りは、祭に着るものを半纏と呼ぶ。
全国的には、法被(はっぴ)であろう。
形はまったく同じものなのだが。
大工などの職人、商人の小僧などが着るのもおなじ
半纏という。
東京でも法被という場合もあって、歴史的に使い分け
がしっかりあった。
落語「文七元結」に出てくるのだが、ご存知の方は
あろうか。噺の序盤、主人公の長兵衛が、細川の屋敷の
博打で、すっかり取られて、身ぐるみはがされて、
帰ってくる。この時着てくるのが、細川の法被。
尻切りの、短いもの。おそらく、細川の屋敷で働く
武士ではない者、いわゆる奴さんの着ているもの。
形は半纏と同じなのだが、これを法被と呼んでいた。
おそらく、これに、こちらが先だと思うが、寺社で
働く者が着るものも法被と呼んでいたと思われる。
こういう使い分け。
ともあれ。
上の写真に赤い丸に“わ”の字が背中にあるのが
鳶頭(とび)の方。むろん、江戸の町火消しからの
歴史を背負っている人々。わ組の鳶頭。この界隈は
その頃から、わ組のテリトリー。(他にもあるが。)
下町の祭はほぼどこもこの鳶頭の人々が表に出たり
裏のみと色々だが、重要なところで関わっている。
鳶、だけでトビだが、これも歴史的に東京では
トビの場合、鳶頭と書くことが多かった。
落語だと、カシラ、と呼ばれる年嵩の人が出てくるが、
これも、鳶頭で、ここはカシラと読みたい。
つづく
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