断腸亭料理日記2024
4493号
1月29日(日)夜
さて、ちょっと久しぶり。
田原町の焼鳥[鳥なお]。
相変らず、予約は取りにくい。
17時からに。
ここ、昨年までミシュラン・ピブグルマンとして
掲載されていたのだが、今年はなし。
まあ、ここについてはミシュラン掲載かどうかは、
もはや私にはあまり関係はなくなっているのだが。
ただ、ミシュランというのは、私には新しい店の開拓という
意味でやはりあった方がよい。また、今、ネットの評価が
フューチャーされることが多いが、あれほどあてに
ならぬものもない。ネットは一過性であるし、店のよしあしは
多数決でもない。一般の人々の評価と、有識者、ある程度
見識、信用のある人・メディアの評価の違いは明らかでは
あるし、必要であると思っている。また、ミシュランは一応、
星など評価する条件を定義、公開しているのもよいところ
である。
今、特に、TVはほぼあてにならぬと思っている。
タイアップもあろう。彼らだって、番組にするネタがほしい。
よい店もあろうが玉石混交。話題だけで、評価でもなかろう。
ただ、もちろん、ミシュランにも偏り、不可解な評価は
あることはあろう。まあ、大前提としてすべての人に完璧な
評価などありえない。飲食店評価本、メディアは、今、
ミシュランの独り舞台といってよいと思うが、ほんとは
複数あった方がよい。
私はここになん度も行って、ここがよい、ここが
自分に合っていると思っている。
昨年一年の間に、ここがなにか変わったのかといえば、
そんな風にも思わない。
変わらず、うまい焼鳥やだし、いやそれ以上に和食店
としてもレベルは高いと思っている。
つまりミシュランから外れても私の評価は変わらない。
今はそれで十分であろう。
だが、なぜ外れたのかはやっぱり気になる。
あるいは店が断るということもあるのか。
わからぬが。
ともあれ、そんなことなので、今日は
この件はお店の方とは話をしないことにする。
5時ちょうど、暖簾が出るのを待って、入る。
カウンターの奥から三つ開いたところに掛ける。
三人の予約があるのであろう。
掛けて、まずはビール。
サッポロ赤星、中瓶。
ここ、最初は汁物。
夏は、冷たい汁物などが出てきて、暑い空気を
和らげてくれる。
今日は、これ。
粕汁です、といって出されて。
開けると、
こんな感じ。
もちろん、温かい。
吸い口というのか、細いねぎを斜めに切ったものをぱらり。
柚子も浮いている。
にんじん、大根。そして、鶏肉。
どれも、薄く切られたもの。
和食、特に割烹料理というのは、汁と具は一緒に煮ない。
別々に拵えたものも、最後に合わせる。
具から出る味をきらう、のであろう。
まあ、具から出る出汁が必要な場合は別であろうが
おそらく、これもそういう作りの味。
また、つゆの味。
粕汁というのは、酒粕のみで作ることはあまりない。
味噌と半々が通常であろうか。酒粕にはうま味は少ない
ということであろう。
これもおそらくそうなのだが、私の舌ではどんな味噌が
どのくらいの割合で入っているのかなど、判別は
できない。それだけ、まとまった味。
上品。立派な割烹料理であろう。
次は、これ。
焼きそら豆。
今、そら豆は一年中あるが、今はそうとう高価。
鞘の内側もスプーンですくって食べて下さいということだが、
これは、すくうほどは、なかった。
むろん、炭で蒸し焼きのそら豆は、うまい。
ここから、焼鳥。
一本目、はこれ。
ささみ。
上にのっているのは、山わさび、とのこと。
ここのご主人の焼き方は、すべてに共通すると、思うのだが
実にみずみずしい。
表面カリ、中の水部は残す、というのが、基本的に
うまい焼き方なのだと思うが、ここはそれ以上に
表面も柔らか。
脂がまったくないささみなど、ふっくら柔らかく焼くのは、
至難ではなかろうか。すぐに堅くなろう。
山わさびと最近いうようになったが、ホースラディッシュ
と、言っていた。あるいは西洋わさび。
以前はローストビーフによく添えていたと思うが、
これもあまり見なくなった。
今、ほとんど北海道産なのか、山わさびは、彼らが
言い始めたのでは、なかろうか。
酒を替える。
内儀(かみ)さんは、みかんの酒。私は右の焼酎。
普段は、いわゆる本格焼酎はあまり呑まないのだが、
試してみる。
種子島の南泉というもの。
ラベルのデザインがまるで、泡盛のよう。
ロックで。
ほんのり、芋の香りすっきり。呑み易い。
呑み過ぎに注意、で、ある。
みかんの酒は、甘い。まるで缶詰のみかんのような
懐かしい味。
つづく
050-5593-4854
台東区雷門1-5-9 いさよビル 1F
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