断腸亭料理日記2024

南稲荷町・手打ち蕎麦・志づや

4536号

4月1日(月)第一食

ここ、知らなかった。

自家製粉、挽きたて打ち立て、とのこと。

南稲荷町というのは、むろん旧町で、東上野二丁目。

最寄り駅は新御徒町か稲荷町か。
拙亭ご近所だが、場所を説明しずらい。
近くに目印になるようなものがないので。

清洲橋通りの西、春日通りの北の一郭。

マンションやら住宅も混じるオフィス街といってよいか。

こんなところに、こんな店が、と思える玄関。

驚いた。
完全な路地、通り沿いでないので、まったく気付かなかった。

開店は一昨年2022年でそれ以前は、蕎麦打ち教室で
あったよう。

夜の営業もあるのだが、昼行ってみる。

昼の営業時間は14時までと早い。

拙亭から清洲橋通りを渡って自転車なら5分も掛からない。

最近、私もあまり使わなくなった言葉だが、
“趣味そば”といっていた。

趣味のそば。なんとなくお分かりになろう。

藪だったり、砂場だったりの、老舗系でもなく、
または老舗の暖簾分けの町のそばやでもない、
趣味のそばや。
最近だと西浅草 [ひら山] に行ったがそれに入る。
もちろん、有名店も多数あるが、凸凹もあることも事実。

13時頃到着。そこそこ席は埋まっている。

お嬢さんが愛想よく迎える。
あいていたテーブル席へ。

最初なので、一杯呑もうと思ってきた。

広島の亀齢(キレイ)という名前の、辛口純米。
初めて。冷(ひや)といったが、冷やしたもの。
味は少し軽く、呑みやすい。

お通しのようなものはなし。これ、趣味そばでは
よくあるか。そばやなら、付けてほしいが。

そばは、品書きの一番上にある天せいろ。
特上はなく、上、1,900円也。

比較的、すぐにきた。

これでもかなり大きな海老天。薄く切ったごぼう天も。

呑みながら海老天。添えられている塩で。
天つゆや、そばつゆではなく、塩で、というのも
趣味そばの特徴であろう。これ、どこが始めたのか。
別段わるいことではないが。
かなりしっかりした衣。ちょっと堅すぎる?。
ごぼう天はカリカリで、うまい。

そばの香りを、と書かれているので、つゆなしで
食べてみる。が、やはり、私、正直のところ、
違いのようなものは、わからないのである。

そばは細くもなく太くもなく、黒くもなく、
白くもない。とても標準的。ただ、多少短め。
短いのは手繰りやすくてよい。
わさびを箸につまみ、手繰る。
つゆは、濃いめ。これは、この界隈下町の味に
近いが、気持ち甘味が勝っているか。
だが、十分うまいそば。

そば湯は写真左の器にテーブルに置かれている
そば粉を自分で入れて、お湯に溶いて作る。
意図はよくわからぬが。

お嬢さんはとても腰が低く、こちらが恐縮するほど。

ご馳走様でした。

4月3日(水)第一食

ご近所なので、書く前にもう一回食べてみることにした。
今日は雨、歩いて向かう。

今日は、酒はなし。
ちょっと見たことがないので、せいろだが
西京鴨せいろ(ロースト)1,500円也。

そばなのに、西京味噌のつゆ。
ニューウェーブ。

入っているのは、鴨肉と焼いたねぎ。
黒いものが浮いているのだが、なにかを焦がしたもの?。
なんだろう、胡麻かとおもったら、違う。
細かく切ったねぎの焦がし?。わからぬが。

甘い西京味噌とそばが合うのか、というのかと
いえば、けっこう合う。まあ、甘辛なので?。
十分うまい。

そして、これ、鴨肉が絶妙のレアで、かなりのレベル。
低温調理かもしれぬ。
それもなかなかの量、入っている。
ここ夜は[さ和鶏]という名前で鴨肉料理店も
やっており、お得意か。

ただ、このつゆ、段々薄くなってくるのが気になる。
これは、味噌だから、ということもある?。
味噌の方が、薄く感じやすい?。
いや、そうでもなかろう。
しょうゆの甘辛でも薄くなると感じるものはある。
もう気持ち、濃くしてもよいのではなかろうか。
最初が濃すぎると感じない程度?。

だが、総じて、水準以上。
鴨せいろで、鴨肉たくさん。
これで、1500円は御の字であろう。

うまかった。

ご馳走様でした。
これだけのご近所。
よいかもしれぬ。

 

志づや

台東区東上野2-4-3
03-6284-4295

 

 

 

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