断腸亭料理日記2024
4539号
引き続き、浅草[弁天山美家古寿司]。
つまみをもらって、にぎり。
昨日は、すみいか、まで。
白身。
鯛。
ここの鯛は、湯引き。
湯引きというのは、鱗を取って皮目に熱湯をかけ、急冷する。
これは別段、江戸前に限った手法ではなく、日本全国、
和食に共通して行われるだろう。皮を残した方がうまい。
なぜであろうか。
皮がうまい。皮と身の間に脂がある。そんなところ、で、
あろうか。
やはり、厚切りが特徴だろう。
次は、平目。
これも、ここでは定番。昆布〆。
鯛もここでは、昆布〆にすることもあるが、平目の昆布〆は
まず必ずある。逆に昆布〆でない平目は置くことは、ほとんど
ないかもしれぬ。
もちろん、水分が抜け、昆布のうまみが足される。
また、置くこと自体でうまみが増えるということも
あるのかもしれぬ。
いか、白身ときて、光物。
小肌、から。
子持ちというくらいで、随分大きい。
半身で握っている。
ただ、味はよろしい。
なぜであろうか、小肌というのは、身が薄いのが
うまい、のである。
それで、子供が珍重される。
次は、鯵。
ここの鯵は、軽く〆る。
今は、東京の鮨やで、〆るところはまずない、だろう。
〆るのは、冷蔵設備のなかった頃のものではあるが、
必ずしもそうではない。
鯖も〆るが〆ると、まだ別のうまさが生まれる、というのは
皆さんうなづけることであろう。鯵も同様。
生もうまいが、〆たものもまた、別のうまさがある
のである。
そして、しまあじ。
これも厚い。
これに限らないが、サクのものは厚く切ってにぎる。
この店の特徴である。
プリっと、堅めの歯応えと適度な脂ののり。
厚く切るのは昔からのことなのであろう。
次は、鰹。
たたき。
いや、これ、かなりうまい。
たたきだと、生とは違って、多少時間が経った?
ような印象かもしれぬが、左に非ず。
みずみずしさが、堪えられぬ。
鰹というのは、鮮度が命だと思うが、職人の目利きと技
でしか食べられないうまさ。
そして、これ。
なんだと思われようか。
これは、ぶり。美しいではないか。
脂はのっているが、適度でよろしい。
若親方に聞くと、太平洋らしい。
富山のものは今年はやはり、見ないとのこと。
富山湾の漁業が従前に早く戻ってほしい。
だが、若親方もいっていたが、太平洋でも
うまいぶりは獲れる。温暖化で北海道でもたくさん
揚がっているのは周知のことではある。
それはそれで、うまく食べればよい。
次は、海老。
小型の車海老、さいまき海老だが、甘酢に漬けて
あるのがここの江戸前仕事。
そして、内儀(かみ)さんが好きなおぼろを
たっぷりはさんでくれる。
次は、平貝。
やはり、あれば必ず食べたくなる。
貝の中では別格に思うのである。
このサクッとした食感が堪らない。
味も貝らしくない、かもしれぬ。
貝らしい貝は、私はもう一つ、なのである。
ここ数年少なかったのだが、このところ、ここでも
見られるようになってきた。少し持ち直したのか。
調べるとやはり天然ものの漁獲量は減少の一途。
風前の灯火といってよい量のよう。
完全養殖技術の研究開発も進んでいるようだが、
まだ、大きくはなっていないよう。
好物!、是非がんばっていただきたい。
そして、まぐろ。
明日はここ、休みなので、種の数が少なめなのだが、
赤身と赤身のヅケがあるよう。
両方もらった。
赤身。
やっぱり、このぶ厚さ。
ヅケ。
こちらも赤身のヅケなので、やはり、かなり近い。
ともかくも、濃厚なあまみ。
最後は、海苔巻。
干瓢に内儀さん用におぼろ入り。
そして、玉子とおぼろ。
以上。
いつも通り、うまかった、うまかった。
勘定は内儀さんと二人で28,380円也。
ご馳走様でした。
台東区浅草2-1-16
03-3844-0034
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