断腸亭料理日記2023

稲荷町・中国意境菜・白燕 その2

4373号

引き続き、課題のフカヒレ姿煮を目的にきた
稲荷町の[白燕]。

昨日は、スープまで。

次は魚。

魚ではあるが、フリッター。

鯛、と、のこと。

緑は、万願寺唐辛子。
白いのは、ホワイトアスパラ。

万願寺唐辛子は油通し。
アスパラは焼いてあるよう。

見た目がもはやフレンチ。

ソースがニョニャと。
ニョニャというのは、ここでたまに出る。

ニョニャ料理というと東南アジア系、
マレーシアの料理。
マラッカが中心といわれるが、古くから貿易のため
華僑の進出があり、中華料理とマレー料理が融合して
生まれたのがニョニャという。
中華鍋を使いベースは中華なのだが、ココナッツミルク
だったり、レモングラスだったり、マレーのスパイスを
使っている。

辛みは抑えめで、甘酸っぱいソース。
なにかフルーツも入っているのではなかろうか。

鯛もおそらく、万願寺唐辛子もホワイトアスパラも
国産であろう。
こういう料理は、日本人の中華のシェフならでは
のもの、なのではなかろうか。
日本人のイタリアン、フレンチのシェフも同様で、
それぞれのベースの技術に日本人の食材の知識と
センスを加え独自の世界を広げている。
アドバンテージであろう。
特に、この人は自由自在。

こういう料理を見ると、日本人の和食の料理人は、
なにをすればよいのだろう、と思ってしまう。
和食、割烹料理などというのは、長い長い歴史と
伝統があり、守らなければいけない。
それはとても大切なことだし、それだけでも
並大抵なことではなかろう。それを踏み出せば
邪道ともいわれかねない。

ともあれ。

きた。

ふかひれ姿煮。

おお!、こういうものか。
想像していたふかひれ姿煮、とは違っている。
もっと透明感のあるスープかと思っていたが、
白濁。

そして、器は、土鍋。
フツフツと滾(たぎ)っている

シェフ自ら、説明にきてくれた。
北京の宮廷風、とのこと。

大きくて、なかなか土鍋に入らなかった、と。

また、このところ、ふかひれは品不足、値上がり
状態、とのこと。
良質のものは、日本、三陸のもの。
コロナの影響で消費が減り、生産が減った、とも。
いずれ、戻るのか。

ちょっと箸で崩してみた。

スープというのか、たれ、というのか、かなり
とろみある。
そして、この色、なんであろうか。

コラーゲンもふんだんなのか。
いろいろ入っているのであろうが、ベースは
鶏、ではなかろうか。
香りは鶏。ガラではなく鶏ではなかろうか。
また、味付けが濃い、というのではなく滋味のある濃厚さ。

肝心のふかひれは、コラーゲン質と、ちょっと
シャリっとした歯触りが心地よく、ほんのり
ふかひれの香り。

酒のつまみのエイヒレを食べたことのある方は
多かろう。シャリっというのは、焼いたエイヒレを
噛んだ時の食感。あれである。

うまいのだが、冷静に考えると、やはり不思議な
食い物、で、あろう。
どうして、こういうものが出来上がったのか。

北京宮廷風といっていたが、ふかひれ料理はちょいと
調べると、上海、広東と他にもいろいろなものが
あるよう。

ふかひれ自体は、中国ではかなり昔から食べられていた
というが、料理として発達したのは、清朝という。
乾隆帝だったり、西太后の満漢全席の一つ、という
ことになるのか。
つまり、これ、北京宮廷風が正統ふかひれ料理
ということでよさそうである。
乾燥した三陸のふかのひれは、同じく乾燥あわび、
同なまこ昆布などと並んで、清朝なので、江戸期の
日本の清への輸出品の目玉の一つであった。

さて、ご飯。

ルーロー飯。

ここでは、比較的よく出るか。
ご存知台湾のもの。
正直のところ、私はあまり得意ではない。
八角は強いと、もう一つ。

デザート。

お茶は、前回も出たと思うが、
福建の緑茶といっていたか。

デザートも前回と似ているか。
マンゴープリンにタピオカや果実。
冷たく、うまい。

右は山形のさくらんぼだが、紅てまり、とのこと。
比較的新しい品種のとこと。

以上。

お会計は二人で34,210円也。

料理もすごいが、やはりフカヒレの値段が、
すごい。

ご馳走様でした。

 

白燕

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台東区元浅草2−7−10
オルタンシアIV 2F

 

 

 

 

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