断腸亭料理日記2023

カリーライス・神田・エチオピア

4312号

4月2日(日)第一食

さて。
また、カレー、で、ある。

暖かくなってきたからなのだが、
食べたくなると、しばらく続けて食べたくなる。

今日、思い付いたのは、神田駿河台下の[エチオピア]。

ちょっと古いスパイス系(?)のカレーやの中で、
上野[デリー]がNo.1としてその次、である。
むろん、私の好みの順位であるが。

私が食べたのはずっと後だが、[エチオピア]の創業は
昭和も終わりの63年(1988年)。
激戦といわれる神田のカレー店の中でも草分けに
近かろう。立派な老舗。

一般的には、辛さ〇倍といくらでも辛くできるので、
激辛好きの格好の舞台だが、私はクローブが
効いているのが好みの理由。

場所は、駿河台下交差点近く、明大通り沿い。
坂下の交差点からちょっと上がった左側の
小さな小さな店。

このあたりの昔、あまり振り返ったことがなかった。
江戸期はほぼ武家屋敷のみで、まあ、あまりドラマと
いうのか、おもしろみがなさそうに見えたから。

今日は、試みに見てみよう。
基本、このあたりご存知の通り、白雲なびく明治大学をはじめ、
学生街、あるいは大学病院。また、楽器、スポーツ用品の街。

まず、現代。

江戸の地図。

そして、明治40年。

お分かりになろうか。
明治のものは、現代とそう大きく変わっていないが
江戸のものは、多少違っているのがわかる。
ただ、江戸期は、大名屋敷もあるが多くは大小の旗本屋敷で
まったく町家はないといってよさそう

明大通り、靖国通りにあたる通りはあるが、坂下が
大きな「御用屋敷」と書かれた区画になっており、坂下の
交差点はない。今冨士見坂といっている斜めの路地。

ここは、譜代の大きな武家屋敷地であったが、
この地図出版時は幕府の用地であった。
風雲急を告げる幕末、幕府の歩兵屯所として
使われていた記録があり、その頃のもの。これは
倒幕勢力との戦いに備えたものである。

現代の地図でちょっと目を引くのは「甲賀通り」
というもの。明大通りを横切っている細い通り。
これなんであろうか。
明治の地図を見ると、この通りの南北が、南北甲賀町
という町名で、市電の電停(停留所)も甲賀町。
江戸の地図にも甲賀坂という名前が見えて、
このあたりの呼称であったといってよさそうである。

このあたりが、広く駿河台と呼ばれているのは、
家康亡き後、駿府で家康に直に仕えていた旗本の
屋敷をこのあたりにまとめたというのはご存知であろう。
また、高台なので富士山がよく見えたから、とも。

坂の右側に小栗豊後守の名前が見える。これ、幕末の
勘定奉行、小栗上野介の名で知られている小栗忠順の
屋敷である。ここに屋敷があるのはやはり旗本として
小栗家の出自のよさであろう。

さらにその中に、甲賀出身者の拝領屋敷があったよう。
(江戸明治東京重ね地図)
ちなみに、甲賀町というともう一か所、千駄ヶ谷甲賀町。
江戸期、青山千駄ヶ谷に甲賀百人組という大きな
組屋敷地があった。ここは、今の神宮外苑、神宮球場、
絵画館前あたりの広い区域。甲賀出身者の鉄砲組の
組屋敷地であった。

また甲賀町の南の[エチオピア]のある場所は、現代は
小川町三丁目だが、この呼称は完全な武家屋敷地であった
江戸期からのものだったよう。

小川町は、千代田区のページに先の歩兵屯所の件とともに、
太田道灌由来という詳しい解説があった。

流石、千代田区。
しかしやっぱり、武家屋敷地はさほどおもしろみはないか。

閑話休題。

店に入ろうとすると、店内に3人ほど待ち。
日曜なので、覚悟はしてきた。外でしばらく待つが
すぐに入れた。
左側の券売機で、チキンカレーとビール、
それからアチャール80円も買ってみる。
また、ここでも待ち、5分、10分。
やっとカウンターに座って、さらに待ち。
ちなみに、辛さ10倍を指定。
私には、ちょっと、辛いかなー、という感じ。

以前からそうだったような気がするが、ここ、
座ってからも待たされる。

先にじゃがいも。

その後、ビール。あまり見ないが、ここはハートランド。
ビールくらい一緒に出せそうだが。

やがて、カレーとアチャールもきた。

クローブが効いた、うまいスパイスカレー。

クローブというのは私はホールで入れるが、
これはパウダーなのか。存在はわからない。

アチャールは、黒い粒々が入っている。
これはマスタード?。

ご飯の盛がかなり多い。
さすが学生街?。

うまかった、ご馳走様でした。


エチオピア

千代田区神田小川町3-10-6
03-3295-4310

 

 

 

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