断腸亭料理日記2022
4086号
5月15日(日)夜
さて、日曜。
今日は、ご近所、三筋の天ぷら[みやこし]。
数日前に予約をしていた。
土曜は一杯で、日曜になった。
お客も戻ってきたよう。
元浅草に住んでいるが、三筋は隣町。
拙亭からは歩いて10分もかからなかろう。
春日通りを渡って三筋湯という銭湯の先。
三筋は江戸からの地名。
地名ではあるが、元は正式な町名ではない。
まあ、通称。
以前に出したものだが、江戸の地図を
出しておこう。
大御番組と御書院番組という幕府家臣の組屋敷があり、
その中に、三本の南北の筋があり、それで三筋町と
言っていた。通称だが切絵図などの地図にも表記
されることもあったものである。
江戸府内の土地は武家屋敷地、寺、神社地、町人の
住む町と大きく三種類に分けられる。
このうち、武家地、寺社地には正式な町名はない。
それ以外の商人、職人など“町人”が住む区域を
文字通り町と呼んだわけで、名前が付けられていた。
これが正式な町名である。従って武家屋敷地には
正式な町名はない。
だが、長い間に武家屋敷地などにもそこに特徴的な
通称名、愛称とでもいってよいのであろう、そんな
名前が生まれた考えられる。
通称なのでどこの武家地にも必ずあるというものでもなく、
また、命名にルールのようなものもないといってよい
ようである。
閑話休題。
三筋の天ぷら[みやこし]。
5時半、店到着。
名乗って、カウンター。
今日は奥側の真ん中。
先客はなし、一番乗り。
ビールを頼み、お通し。
今日は、すみいかの下足。
ぽん酢しょうゆにもみじおろし。
いつものご飯付きの天ぷら定食の特、6,050円也を。
海老から。
さいまき海老二本と、頭。
さいまき海老は、小型の車海老のこと。
東京の天ぷらやの最初は、海老に決まっている。
なぜであろうか。
考えてみれば、他のものでは、やはり座りがわるい。
きすでも穴子でもなかろう。
天ぷらの三番バッター。
うまいものは、最後、、としてもよさそうだが、
腹が減っている最初に、一番うまいものを出すのが
最も効果的ということであろう。
次は、いか。
この順も決まりであろう。
いかは、すみいか。
この時期なので、多少堅め。
きす。
なかなか大きなもの。
美しく揚げるものである。
白魚。
冬から初春、ということになっているので
もう時期もお仕舞に近いのであろう。
淡泊なので、塩がよいだろう。
カリっと、極上に揚がっている。
香ばしい。
自分でも揚げるが、こうは揚がらない。
180℃を越える高温なのかもしれない。
白魚は生で軍艦の鮨か、こうして天ぷらが
最もうまかろう。
ここで出るのは珍しい、山うど。
新潟のお知り合いから送ってもらっているとのこと。
無口なご主人に代わって、女将さんが話してくれた。
葉の部分はちょっとほろ苦く、うまい。
穴子。
塩でもうまい。
ひょっとすると、生ぐさくなるのだが、
むろん、プロの仕事。
カリッカリで、身はホッカホカ。香りもよし。
天つゆ。
やっぱり穴子天が優るのは、天つゆ。
どうなのであろうか、ここの天つゆは、標準よりは
気持ち濃いめか。ただ、浅草に多い天丼メインの
ところよりは、薄い。
野菜天。
ここが本来の野菜天の位置。
椎茸、蓮根、季節で小玉ねぎのこともあるが、
今は、ししとう。
右の壁の木札には青唐と書かれている。
最後は、天丼。
小さな小柱のかき揚げ。
丼にせず出してもらえるし、天茶でも。
赤だしは蜆。
以上。
いつも通り、うまかった。
ご馳走様でした。
このご近所で、このレベルの天ぷらが食べられるのは
幸せ、で、ある。
台東区三筋2-5-10 宮腰ビル1F
03-3864-7374
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