断腸亭料理日記2022
4111号
6月19日(日)夜
ざるそばのつけ汁に小さなかき揚げを入れる、
というものがある。
近所の上野[翁庵]のねぎせいろ。
あるいは、元祖といえるかもしれぬが、
日本橋室町[砂場]の天ざる。
ここの“天ざる”は天ぷら別皿のものではない。
つゆに入れたもの。こちらの方が先なのであろう。
この二軒以外には私は知らない。
一般的ではないのだが、私は好きである。
なぜ一般的ではないのか。
食べずらい。
食べ方がわからない、かもしれない。
かき揚げがつゆに入っているので、
そばはつゆにつけずらい。
料理メニューとしてはかなり利便性を欠いた
部分であろう。
私の場合は、酒の肴としてそばを手繰る、
という食べ方をする
かき揚げは、先に呑みながら酒の肴につまんで
しまう。その後、そばを手繰る。
ただ、かき揚げを酒の肴にするには、
少し少なく、物足りない。
まあ、それで、いわゆる別皿の天ぷらを付けた
天ざる、になる、のであろう。
ただ、天ざるというのは、私はそばやでは
ほぼ食べない。
うまく説明できないのだが、天ざるは、野暮な
メニューではないかと思うのである。
江戸・東京っぽくない、と。
不完全であるが、つゆにかき揚げを漬けて出す方が
まあ、粋ではないが、江戸・東京っぽい、と。
考えてみると、そばやなので、天ぷらが主ではない。
あくまでそばが主役でなければいけなかろう。
天ざるは、天ぷらも主役になっている。
これが釈然としないのである。
つけ汁にかき揚げを入れるのは、鴨せいろ
などと同じようにつけ汁に他の味を付ける
というもの。あくまでそばが主役である。
なにかもう少しあるように思うが、
長くなりそうなので一先ず、こんなところで。
かき揚げの具の調達。
吉池である。
[翁庵]のねぎせいろを考えて、いか、を
見てみるが、生のいかにしても天ぷら用のものも
そう安くはない。小柱も高いし、浅利むき身
なんというのも候補だが、置いていない。
やはり、小海老が一番安かろう。
1パック、200円。インドネシア産。
これで十分。
本来、かき揚げの小海老は芝海老であるが、
芝海老でなければいけないとは私は思わない。
正直のところ、国産の芝海老と輸入物の小海老の
違いは食べてもほぼわからなかろう。
そばは、乾麺でよろしかろう。
生そばも売られているが、やはり凸凹があり、
生であればうまいかといえば、必ずしもそんなことはない。
最近の乾麺のそばはかなり品質が上がっている。
わさびは、生がある。
夜、作る。
小海老。
天ぷら油を揚げ鍋に用意し、余熱をしておく。
そばをゆでるための湯もわかしておく。
ボールに全卵と水。
ほぐし、氷。
お椀に小海老、天ぷら粉を混ぜる。
玉子冷水に、小海老を混ぜ入れる。
揚げ油180℃に上げる。
考えてみると、自分で食べる場合、必ずしも
かき揚げである必要はまったくない。
今まで、かき揚げという形にしなければ、と
思い込んでいたといってもよいかもしれぬ。
かき揚げというのは、形にするのが最大のハードル
である。どうせ崩して食べる。
味は大きくは変わらなかろう。
まとまる必要はない。
大きなスプーンで海老をちゃ、ちゃ、と投入。
よい色になったら、あげる。
これであれば、簡単。
二回で終了。
わさびをおろし、ねぎもきざみ、そばをゆで、
ざるに盛り、つゆはいつもの桃屋で、
出来上がり。
なんだ、小海老の天ざる、じゃねぇーか!。
まあ、そうなのだが、、。
家で作るとこういうことになってしまう。
ビールを開けて、一杯。
小海老天をつゆにひたして、食う。
入れっぱなしにして、つゆに油を出す。
これをしなければ、ただの天ざる?。
まあ、こうなると、もうどうでもよいか。
小理屈はともかく、今日はうまいものができた。
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