断腸亭料理日記2022
4017号
1月21日(金)夜
さて、金曜日。
寒いので、鍋ばかり続く。
天気はいい。
今日は、おでん、と考えた。
いつも、スーパーのおでん種のセットばかり。
どうせ、おでん種など、どれでも同じ、と
考えていた。
だが、今日は、ちょっと目先を変えて、
少しいいものを買ってみようか。
上野松坂屋へ行ってみる。
以前は、おでん種や、が入っていたのであろうが、
地下の加工食品などを並べているコーナーに少し
並んでいる程度。
品揃えを見ると、日本橋[神茂]の商品。
[神茂]という店をご存知であろうか。
カンモと読む。
練り物の老舗。
江戸初期から大正時代の関東大震災まで、
長らく江戸・東京の魚市場、魚河岸のあった
日本橋北詰右手裏に、今も店がある。
東京の白いはんぺんを開発した元祖としても
有名であろう。
創業元禄元年とのこと。
であれば、今年で324年ということになるか。
デパートに品物を入れていたのは知らなかった。
正直のことをいうと、練り物というのは、
子供の頃から、そう好きなものではなかった。
蒲鉾はまだしも、特にさつま揚げなど揚げたものは。
うまいものと思うようになったのは、三十も後半
ではなかったか。
もらいもので、鹿児島のものを食べてからである。
やはり本物はうまい、のである。
まあ、そんなこともあって、スーパーのセットで
よいか、と思っていたのである。
つみれやボール、一通り[神茂]のもの。
はんペんはおそらくあったのであろうが、切れていた。
まあ、はんぺんは私はおでんには入れないので
問題ないのだが。
ただ、値段はひょっとすると倍〜1.5倍程度はあろうか。
なかなかの高価。
豆腐は鱈ちりで使ったものがまだある。
それから、がんもどき。
これは、私のおでんには必須。
おでんてなくとも、がんもどきは好物、で、ある。
帰宅。
里芋が野菜室にあったと思っていたのだが
内儀(かみ)さんが使ってしまったのか、なし。
おでんといえば、野菜は大根という人が多いかもしれぬが、
私は、里芋。
里芋はおでんが味噌をつけて食べる田楽で
あった頃からのもの。いわば伝統のおでん種である。
志ん生師の落語「替わり目」にもおでん種として
出てくる。東京では大きな里芋、八つ頭をおでんに
入れるのも定番であった。ちなみに、この噺の
時代設定は、明治。
むろん、しょうゆ味で煮た里芋はうまい。
里芋はあきらめ、玉子をゆでる。
玉子も必須であろう。
10分固ゆでにし、冷やす。
ゆで玉子をきれいにむくのには、きちんと冷やすことが
大事である。皮をむき、大きな鍋に先に入れ、
しょうゆで煮始める。
味が染みるのに時間がかかるので。
買ってきたもの。
つみれ。
ごぼうてん。
ボール。
野菜てん。
竹輪。
がんも。
さすがに、昆布だけは入れよう。
竹輪を切って、あとはどばっと、鍋へ。
つゆは、東京伝統のしょうゆに水のみ。
煮るだけ。
まあ、といっても一度煮立てて、弱火で10分ほど。
あとは火を止め、置いておく。
これで十分、味が染みるであろう。
毎度書いているが、このおでんは、
しょうゆの煮〆、で、ある。
玉子にも色が付いてきた。
よいかな。
食べる前に、もう一度加熱。
一皿目。
上が豆腐。これは木綿。
その左下が、がんも。
右の大きいのが野菜てん。
左下が、つみれ。
ビールを開けて食べる。
[神茂]の練り物、値段も高いが、なるほど
それなりのことはある。かなり違う。
なにが違うのかというと、舌触りというのか、歯応え。
かなりしっかりしている。
すり身自体も、かなり吟味されたものなのでは、なかろうか。
かなりうまい。
ついでだがむろん[神茂]ではないが、
がんもどきもしっかりしている。
二皿目。
竹輪、ボール、ごぼうてん、玉子。
竹輪なぞ、スーパーのものとは、こんなに違うのか、
と、思うほど、うまい。
日本橋[神茂]、流石、で、ある。
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