断腸亭料理日記2021
3892号
7月7日(水)第一食
さて、[小粋そば]、で、ある。
立ち喰いそば。
チェーン、といってよいのか。
ただ、調べるとそう数は多くないようなのである。
小ぎれいで真新しい店で、浅草と、稲荷町と、
近所に二軒もあるので、大規模なチェーンかと
思っていた。
浅草は、東武浅草の北ガード脇、
町中華の[ぼたん]の前。
稲荷町は、稲荷町交差点の浅草通り北西側。
ちょいと調べるとどちらも[せんねんそば]
であった。やはり。
どちらも変わったのは最近のことだと思うが、
ひょっとすると[せんねんそば]がみんな
[小粋そば]に替わったのか?。
(銀座、岩本町も替わっているよう。)
まあ、定かではないが。
ともあれ、浅草の[小粋そば]。
表に、浅草「肉そば」と看板を出している。
看板には名物東京かきあげ、ドアのガラスには
小粋浅草と、江戸文字で書かれている。
この「肉そば」というのに惹かれてたのである。
「肉そば」といえば、浅草では[角萬]
であろう。
ねぎと豚肉、次郎系ともいえる、ざっくり太いそば。
そして、その冷やし。
さて、どんなものか。
入ると券売機。
いたるところに「花川戸」推し。
なにかというと、花川戸○○。
確かに、ここ、町名は花川戸で間違いはないが、
ほぼ、関係ないと思うのだが。
昨年あたりからか、浅草に、江戸、浅草、下町?
といったものをイメージした新店ができている。
まるでテーマパークのよう。
観光客をターゲットにしているのか。
こんな時期なので気の毒ではあるが。
浅草[小粋そば]も、どうも、その流れっぽい。
まあ、おもしろくてきれいなのは
よいのだが。
細かいのがなく、外国人の女性店員さんに、
両替してもらい、ついでに「肉そば」は
冷やしができるのか、確認。
冷やし、で頼む。
おそばゆでますので、と、お嬢さん。
カウンターに座って待つことしばし。
すぐにきた。
山盛りの細切り海苔。
豚肉と天かす、そして、つゆの表面には
ラー油。
あー、これであったか。
ご存知の方は、ご存知。
元来は、数年前に閉店した、虎ノ門の[港屋]
であろう。
課長島耕作の弘兼憲史氏が行きつけにし、
一躍超有名行列店になった。
私など、気付いた時には、とても並べるような
長さではなくなっており、結局、行けずに
閉店してしまった。
以降ラー油入り冷たい肉そばは[港屋]以外にも
広まってチェーンのようなところもできている。
(秋葉原、昭和通り沿いにある。)
食べてみる。
ふむふむ、なるほど。
十分にうまい。
ラー油入りの肉そばを食べたことがない方は
辛いのでは?、と思われようが、見た目ほどではなく、
これが意外に、うまい、のである。
まあ結局、ラー油入り肉そば、ざるなりかけなり、
いわゆる日本そばとは別のものとして、定着していく
のであろう。
これはこれで、よいことではなかろうか。
なかなか先が見通せない昨今ではあるが、
浅草にしても、蕎麦やにして、やはり時代は
変わってきていることは、間違いはなかろう。
03-4291-0024
台東区花川戸1-6-7 ライオンズマンション1F
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