断腸亭料理日記2020
2020年令和二年
あけましておめでとうございます。
本年も相変わりませず、よろしくお願い申し上げます。
皆様に佳き年となりますよう、お祈り申し上げます。
断腸亭
さて。
年があけた。
正月は冥土の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし
一休さん、一休宗純の歌、といわれている。
まあ、狂歌でよいのか。
一休さんは室町時代の臨済宗なので、禅宗の坊さん。
一休禅師などともいわれる。
最近は、後小松天皇の落胤との説が支持されているよう。
この歌は当時の無常思想といったことになろうか。
池波先生も言われていたが、人というもの、生まれたら
死に向かって生きている。
これを常に頭に置いて、日々暮らしていくべきである、
ということ。
こういう思いを持っていれば、自ずと毎日が変わってくる、と。
毎日、のんべんだらりと私など暮らしているが、
正月にあたって、改めて心に留めもよいことかもしれぬ。
ともあれ。
私の年越しは、判で押したように、毎年一緒。
おせちは、市谷佐土原町の旧知の鮨や[鮨太鼓]から届けて
もらっている。
ちらしというのか、混ぜ込みというのか、鮨。
なかなか豪勢。
松茸も見える、鮑、うになども入っている。
うまいのだが、毎年、量が多いので、食べ切るのに苦労をする。
こちらが一の重でよいのか。
今年から、少し内容が変わっている。
蒲鉾、玉子焼き、笹の葉に包まれているのはあんこの入った
生麩。干し柿、くるみ入りの田作り。
黒豆、いくら、大根のなます細切り昆布入り。
栗きんとん、昆布巻き、煮いか。
二の重。
煮物、今まで比較的濃い味であったが、かなり薄味に変化。
椎茸、筍、人参、蓮根、くわい、ふき、など。
海老、下に煮たつぶ貝か。はじかみ、魚は鰆の塩焼き。
昨年までぶりの照り焼きであったと思うが、これも薄味に。
数の子、鴨の薫製、からすみ、八幡巻き(肉巻きごぼう)。
以上、四万円也。
薄味はよいのだが、日持ちがちょっと心配である。
年越しそばも例年通り。
大晦日の午前中に自転車で出て、神田須田町の[まつや]。
予約をしてある。
だが、それでも列。
夕方になって、寒くなったが、午前中は、小春日和と言ってよいほど
暖かかった。
[まつや]からこれも例年通り、上野中央通りの和菓子や
[うさぎや]でどら焼きと最中の詰め合わせを買って、帰宅。
[まつや]のそば。三人前入り。
紅白が始まって、作り始める。
鴨肉が買ってあったので、鴨汁せいろにする。
鴨肉。なかなか立派なもの。
内儀(かみ)さんが近所の鶏やで買ってきた。
脂身を細かく切ったものと、肉をつくね用に叩く。
つゆに長く切ったねぎ。
脂身と叩いた鴨を丸めて入れる。
そばをゆで、ざるに盛る。
箸の向きが反対であった。
[まつや]のそばで、鴨汁せいろは、ありがたい。
年が明け、元朝。
炭を熾し、火鉢へ。
餅網で、餅を焼く。
もちろん、角餅。
やはり、炭はきれいに焼ける。
雑煮は、鶏ガラのしょうゆ。
入るものは、小松菜、里芋、鶏肉。
パラリと三つ葉。
アップ。
それから[うさぎや]。
どらやきと、最中。
毎年のことだが、ここのどらやきは、本当に、うまい。
店では、その日に食べてくれ、という。
やわらかく、甘すぎず、素朴だが実に丹念に
作られているのがわかる。
皆さんのお正月はどんなであろうか。
鮨太鼓
03-3267-6919
新宿区市谷砂土原町1-2-57 久貝ビル 1F
03-3251-1556
千代田区神田須田町1-13
03-3831-6195
台東区上野1-10-10
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