断腸亭料理日記2020

カレーソーセージ、支那そば大和、かんだやぶそば

夏休み、明治初期の御徒町のことを書いてきたが、
その間に食べたものを少し。

 

 

 

 

 

8月8日(土)第一食

まずは、これ。

カレー粉が一杯で、わかりずらいが、これカレーソーセージ。
ハナマサで買ってきたちょっと太めのソーセージ。
切れ込みを入れて、フライパンで焼く。
一緒に玉ねぎのスライスも炒める。

太いソーセージはフライパンだけでは中まで火が通らないので
先に、ほんの少しレンジで温めてから、フライパンへ。

焼けたらカレー粉をかけて、ケチャップ。

確かこれ、ベルリンの名物であった。
それも社会主義時代の東ベルリンでよく食べられていた
のものであったという。

玉ねぎではなく、キャベツもよい。
こんなものだが、かなりうまい。

8月9日(日)第一食

ラーメンが食べたくて、ご近所、支那そば[大和]。

黒のワンタンハーフ。

アップ。

つけ麺や冷やしたものもあるが、ここは熱いノーマルなものが
よいだろう。
黒と白のスープに、肉と海老のワンタンの組み合わせ。

魚介系ではあるが、よくある煮干しが立ったものではなく、
海老なども感じられる上品なスープ。
わんたんもプリプリに仕上げられレベルは高い。

月に2〜3回は行っているか。
拙亭近所では、ここと、もう一軒浅草通りをはさんだ、
元浅草側の[稲荷屋]。近所にこの二軒があるのは
ありがたい。

03-6231-7026
台東区東上野6-1-7 MSKビル 1F

8月10日(月)第一食

この日は、自転車で神保町の三省堂へ。
大きな麦わら帽子を被って。
それでもむろん、焼けるように、暑い。

帰り道、須田町の[かんだやぶそば]へ。

神保町へきたのだから、餃子でも、と、
[スヰーポーズ]へ行ってみたのだが、閉店していた。
この6月だったよう。
そういえば、この斜向かいのキッチン[南海]も閉店が
ニュースになっていた。
老舗の閉店は心が痛いが、コロナの影響も少なからずあった
のかもしれぬ。

ともあれ、[かんだやぶそば]。

生ビールで、鴨肉をもらう。

この暑さ、エビスの冷えた生が、うまい。

半生の鴨肉もうまい。
なん回か食べているが、ここの鴨肉、香りがよい。
赤ワイン?。
漬けて、表面だけ焼いているのか。

注文を通す女将の長く伸ばす独特の声がする

「せいろぅ〜 いちまいぃ〜〜」

今の女将はなん代目なのかは、わからぬが、
昔に比べると、声が響かないような気もする。
新築され、店内が広くなったからであろうか。

この注文を通す声というのは、この店の看板の一つ
であろう。
ある意味、東京食文化の無形文化財といってよい。

どこのそばやでもこういう通し方をしていたのでは
ないかったと思うが、やはり“薮本家筋”、時代が変わっても
受け継いでいっていただきたいと、私は思う。

また、毎度書いているが、食い物やというのを
きちんと文化財認定をして然るべきである。

和食の世界遺産認定から随分時間が経っているが、
食い物、食い物やというのは、歌舞伎や能など芸能、
あるいは歴史のあるお祭りなどと同じ守り育てるべき
無形文化であることは、異論をはさむ余地はないと
私は思うのである。
なぜ日本では、声が上がらないのか。
東京であれば、鮨、天ぷら、うなぎ蒲焼、そして蕎麦。
どれも江戸から続く、東京発祥、あるいは固有の食文化である。

そういえば、この近所のあんこう鍋の[いせ源]なども
そうであろう。戦前の建物は歴史的建造物に指定されている。
建物だけではなく料理そのものや提供のされ方が文化財として
認定されていないのは、どう考えても不釣り合いであろう。
[いせ源]のあんこう鍋も東京の無形食文化財であることは
言うまでもなかろう。

熱燗の件なども、

この文脈に入ると思うのである。食にまつわる習慣や言葉も
立派な無形食文化である。だが時代とともにどんどん変わっていく。
一般には変わっていくのは、残念だが致し方のないこと。
だが、本来はこれが正しかったということは、伝え残して
然るべきだと思う。

閑話休題。

そばは、とろろのせいろをもらった

“やぶそば”本家筋のここのそばは、緑がかったもの。
今、薮系でもあまり見ないと思うが、元来は“薮”の
特徴であったと聞いたことがある。

とろろのつゆがうまい。
やはり、塩梅、なのであろう。

せいろを一枚お替り。
とろろもそば湯をちょいと入れて飲み干す。

勘定をして出る。
ご馳走様でした。うまかった。

 

 

かんだやぶそば

 

 

 

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