断腸亭料理日記2019
11月5日(火)第二食 6日(水)第二食
さて。
秋刀魚、で、ある。
今シーズン最初。
最後かもしれぬ。
やっと、というべきであろうか。
不漁で高価。
こうなると、無理して買おうと思わないし、
食べたいとも思わない。
少し前から、安くなっていたのであろうが、
目にもとまらなくなってもいた。
ROXの西友で頭を落としたもの、二本で150円ほどの
物を見つけた。
このくらいの値段であれば、食べてみようか、である。
2パック4本。
おろし一回分の大根も売っているので買ってきた。
こんな感じ。
ギラギラと光り、思ったほどわるくはなさそう。
半分に切って、焼く。
煙も出る。
脂ののりはそこそこのよう。
大根は皮をむいておろす。
大根おろしをのせしょうゆをかけて、食べる。
秋刀魚というのは、はらわたがうまい。
頭を落としてあるのでその分減っているが、
御の字。
十分うまい。
安いので文句は言えまい。
書いていて気が付いた。
塩をしていない!。
それで秋刀魚塩焼きではなく、焼き秋刀魚。
気が付かないくらいなので、塩なしで十分ということになる。
魚の種類にもよろうが、しょうゆとおろしで食べる、
そこそこ脂のある秋刀魚は、別段塩なしでも、
なんら問題は、ない、ということであろう。
焼き魚は、塩をして焼くのが当たり前だが、
こうなると、見直してもいいような気がしてくる。
さて、翌日は、秋刀魚飯。
秋刀魚となると、私の場合、秋刀魚飯はワンセットで
必須である。秋刀魚飯、うまい。
米を洗い、酒、しょうゆで水加減。
酒を入れるので、浸水時間は3時間以上取る。
半分に切り、腹を完全に出して、洗い、これは意識して塩なし。
せっかくある脂をあまり落としたくない。
生焼けはいけなかろうが、軽く焦げめが付いたらすぐに火を止める。
浸水したお釜に並べる。
カタメモードでスイッチオン。
炊けた。
尻尾と中骨を取り除き、身をほぐし、
混ぜ込む。小骨はそのまま。
取るのもむずかしいし、食べてもまったく問題ない。
もみ海苔。
これは必須である。
漬物も出す。
しば漬け。
なぜであろう、漬物も必須である。
秋刀魚飯。
これは、うまい。
秋刀魚の脂と香りが飯に染みて、ばかうま。
やめられない。
いくらでも食べられる。
かろうじて、二膳でとどまる。
脂のある秋刀魚、やはり、うまいもの、で、ある。
しかし秋刀魚、どうなってしまうのか。
基本、私は、獲れないものを高い金を出して、
食べる必要はないと考える。
希少性から高い値段で、初物を鮨やなどで、生で出すのも
興味はない。
脂がある秋刀魚であれば、焼くのが最もうまい。
合わないものをバーナーで炙って無理してにぎり鮨にする
必要はまったくない。
余談だが、バーナーで無理やり焦げめを付けているのも
あまり好きではない。そもそもバーナーは焦げめだけではなく、
下手をすると煤が付く。香ばしいのではなく、煤やガスのにおい
になりやすいのである。鮨や和食やであれば、炭火というものが
あったではないか。炙るのであれば、せめてガスのコンロで
遠赤の出るセラミック網であろう。
ともあれ。
秋刀魚の不漁は、台湾やら中国などの大型船が沖合で大量に獲る。
これが毎年繰り返され、数そのものが減ってしまった、という
経緯なのであろう。
昨年まで決裂していたものがやっと今年関係国で来年からの
漁獲制限が決まったよう。粘り強く取り組むしかなかろう。
我が国も含め、アジアなどは欧米に比べ漁業資源のサステナ
ビリティーについてそうとうに意識が低い。
本まぐろ、日本うなぎ、、。
注目されていないが他にもたくさんある。
ここにも書いているが、江戸前鮨で欠かせない穴子。
東北から九州まで、沿岸にどこにでもいたものが、今はほぼ
獲れない。国内流通のほとんどが対馬と韓国済州島産。
他に、蛤、車海老、するめいか、、数を減らしている鮨、和食に
欠かせない魚介類は枚挙にいとまがなかろう。
経済論理だけでなく、和食文化で胸を張るのであれば、その主役で
ある魚介類を大切にしなければ、文化そのものが消滅する。このことに
漁業者、卸、小売り、料理人、消費者、政治家、役人、研究者、、
関係するすべての人々が、そろそろ本気で頭にとめなければいけない。
落語「目黒の秋刀魚」の目黒の秋刀魚祭が冷凍ものというのでは
本末転倒、関わられている方には同情するが、それこそ洒落にも
ならない。滑稽であり、悲しい。
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