断腸亭料理日記2019
11月10日(日)第一食
さて、うどん、である。
寒くなってきたので、温かいうどん。
そばでももちろんよい。金曜日[翁庵]でねぎ南蛮を
食べてもいる。
だが、うどんを食べたいこともある。
このところ、実は、うどんというと[丸亀製麺]の上野の店へ行っている。
チェーンであるが、意外にうまい。
盛んにCMもしているが、ここは店でうどんを打っている。
冷蔵庫に入れたうどん玉を客に見えるように置いている。
いつも食べていたのは、こんな感じ。
ぶっかけにおろし、ちくわ天ととり天。
だが、讃岐もよいが、この季節寒くなると、もう少し柔らかい
うどんがよくなる。
ヤワうどん、というジャンルというのか、柔らかいうどんの地域、
がある。
讃岐うどんのブームから、うどんといえば、強い腰がベスト、
ということになっていると思うのだが、よくよく考えると
全国ではそうでない地域の方が、実際は多いのではなかろうか。
うどん食文化圏で有名な、京都、大阪も然り。
博多もそうである。
柔らかいうどんも、うまい、と、思うのである。
某“知らない世界”でも特集をしていた。
強い腰一辺倒になっているが、確かに、柔らかいうどんも、
見直してもよいように思う。
ヤワうどんといえば、伊勢うどん。
伊勢うどんというのは、三重県伊勢の名物。
その昔、お伊勢参りにきた人々が、疲れているので
柔らかいうどんを提供するようになった、などと
説明されている。
残念ながら、私はまだ食べたことがない。
東京で食べられるところがないか、探してみた。
やはり、伊勢うどんを名乗っているものがあった。
見つけたのは、本郷[二代目甚八]というところ。
近所である。
本郷というのは、上野から末広町の西隣。
ご存知の通り、本郷は台地で、坂がある。
自転車ではあまり行かないのだが距離は近い。
こちらから行くと、佐竹商店街の南端から、真っ直ぐに
西に向かうと、練成通りという通りの名前になる。
練成通りというのは、今は公園の名前に残っているが
元は、練成小学校→中学校という学校名に由来していた。
“練成”という名前にちょっと特徴がある。
そもそもこれはなんであろうか、ちょいと調べてみた。
もともと明治初期に練塀町にあった練塀小学校が明治31年、
下谷と神田に分かれた。その後に、神田側の小学校は練塀の「練」と、
御成街道(中央通り)の「成」を合体させてできた「練成」に
変わったのだそうなのである。(昌平小学校HP)
このあたり、神田区と下谷区の区境がなん回か変わっており、
その関係で小学校を同じ場所で、下谷区と神田区に分けたようなので
ある。
武術の道場かなにかと思ったが、なんのことはない、
こんな由来であった。
閑話休題。
三組坂という坂になり、さすがに自転車は降りねば上がれない。
三組というのは江戸期の町名が由来。さらに町名の由来は
江戸初期、御家人の三組の屋敷があったから。
霊雲寺という大きなお寺が右にあり、一度下り、サッカー通りの
信号を越え、また上がった左側に[二代目甚八]。
思いがけず広く明るい店内、大きなテーブルがたくさん。
昼ちょい前、あいているところに座る。
伊勢うどん、以外にもきつねやら、
他のうどんも取り揃えている。
もちろん、伊勢うどん。さらに玉子、肉入りを頼む。
伊勢うどんだけだと、457円。
玉子のせは+65円、肉のせは+335円。
結構高くつく。
きた。
よくかき混ぜて、というお姐さんのご指示。
TVなどでは見たことがあったが、見た通り、
どろどろのたれが入っている。
地味噌のたまり、という。
いわゆる溜りじょうゆよりもあまく、粘性が高い。
うまい。
そして、肝心のうどん。
柔らかいことはやわらかいのだが、いうほどでは、ない。
腰はそこそこある。
伊勢では、茹でるのに1時間ほどかける、という。
ここはノーマルなうどんもあるので、
そちらに引っ張られているのか。
はたまた、こういうものか。
現地で食べてみなければ、まあ、しょうがなかろう。
ともあれ、今日のヤワうどん欲は満たされた。
そして、伊勢うどん、味のイメージはある程度わかった。
いつか伊勢へ行って食べてみよう。
さてさて。
ヤワうどん、他にどこで食べられるか。
二代目甚八
03-3868-2819
文京区本郷3-22-9 真鍋ビル 1F
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